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オジモテコミック

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#漫画 #マンガ #モテおじ #モテるおじさん #pr

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3,104 3,104回閲覧 投稿から12日9時間14分後(297時間)(2026.09.27 21:34時点で取得) 暫定・あと5日で確定

7月某日。梅雨明け直後の蒸し暑い日のこと 西村沙織がこのアパートの大家になったのは、3年前に父親から引き継いだのがきっかけだった。古びた木造2階建て、全6室。正直、資産価値としては大したことはない。それでも亡き父が大切にしてきた建物だから、沙織もまた丁寧に管理してきた。 そして沙織自身も、1階の角部屋に住んでいる。大家が住み込みというのも、今どき珍しい話だ。 夕方、沙織は通帳を開いた。毎月恒例、入金確認の作業である。 沙織:「えーと……101号室、102号室……あれ?」 眉をひそめる沙織。 沙織:「201号室、桐島さん……入ってない」 沙織:「滞納したことなんてない人なのに、どうしたんだろう」 もともと几帳面な沙織は、各部屋の入金状況をノートに手書きで管理していた。過去の分のノートをめくっても、桐島隆の欄に空白があったことは一度もない。それだけに、今回の件は少し心配だった。 第二幕 催促、のつもりが… 午後7時を過ぎた頃。 沙織:「そろそろ桐島さん、帰ってきたかしら」 夏場のアルバイトは体に堪える。夜遅くなる日もあるだろうと思い、沙織はここまで待っていた。決して怒っているわけではない。ただ、何かあったなら心配だ、という気持ちの方が勝っていた。 階段を上り、2階の角部屋へ向かう。 ピンポーン 廊下に響くインターホンの音。しばらくして、ドアが開いた。 現れたのはくたびれたTシャツに半ズボン姿の桐島隆 桐島:「……あ、大家さん」 沙織:「桐島さん、今月の家賃の振り込みがなかったのですが、どうされましたか?」 桐島:「あー……それなんですけど」 桐島は頭をかきながら、情けなさそうな表情で口を開いた。 桐島:「申し訳ないです。先月インフルエンザにかかって、治ったと思ったら今度は足の骨にヒビが入ったりで……まともにバイトできずで」 沙織:「えっ、それは大変でしたね」 桐島:「今月はもう体も治ったので一杯働きます。来月分と合わせてまとめてお支払いします」 沙織:「……わかりました。でも無理はしないでくださいね」 沙織:(インフルで骨折まで……踏んだり蹴ったりだ。この人) 第三幕 肉じゃがの罠(本人は気づいていない) 部屋に戻った沙織。キッチンには今日の夕飯として作った肉じゃがが、鍋いっぱいに入っていた。 沙織:「……多く作りすぎちゃったな」 と言いながら、沙織はタッパーを取り出した。 気づけば肉じゃがをタッパーに詰め、再び2階へ向かっていた。 ピンポーン 桐島(心の声):「ん?今度は誰だ?」 のぞき穴を覗くと、大家さんが立っている。両手にタッパーを抱えて。 桐島(心の声):「また催促か?」 おそるおそるドアを開ける桐島。 桐島:「……はい?」 沙織:「あのー、夕飯ってもう食べられましたか?」 桐島:「いえ、これからです」 沙織はタッパーを差し出した。 沙織:「よかったらこれ食べてください。肉じゃがです」 桐島:「えっ、良いんですか?」 沙織:「大変だと思うので、栄養つけて頑張ってください」 桐島(心の声):(大家さんって…こんないい人だったのか) 桐島は心から感謝した。骨折してインフルにかかって家賃も払えない散々な夏の唯一の光明のように感じた。 しかし実際のところ沙織が肉じゃがを持ってきたのは善意3割、残りは別の理由だった。 第四幕 タッパーを返しに 肉じゃがを平らげた桐島はタッパーを洗い、1階の沙織の部屋へ返しに行った。 桐島:「ありがとうございました。美味しかったです」 沙織:「よかったです」 桐島がドアを閉めようとした、その瞬間。 沙織の手が桐島の腕を掴んだ。 桐島:「…?」 沙織:「よかったら、中に入ってお茶でも飲みませんか?」 桐島:「えーっと、入っていいんですか?」 第五幕 大家の部屋にて 沙織の部屋は清潔で小ぎれいだった。棚には推しのグッズが整然と並んでいる。桐島は「ああ、こういう人なんだな」と妙に納得した。 ソファに並んで座り麦茶を飲む2人。 沙織:「家賃の件なんですけど……」 桐島(心の声):(やっぱり! 催促するために部屋に入れたのか! 肉じゃがは懐柔策だったのか!) 桐島が覚悟を決めようとしたその瞬間。 沙織:「今回払えなかった分は……必要ないです」 桐島:「……はい?」 沙織:「払わなくていいです」 桐島:「どういうことですか?払わなくていいんですか?」 沙織:「はい。その代わり……」 沙織は一度、深く息を呑んだ。 ゴクリ。 沙織:「私のこと、抱いてくれませんか?」 桐島の頭の中が真っ白になった。 麦茶のコップを持ったまま3秒ほどフリーズした後、桐島はゆっくり我に返った。 桐島(心の声):(今、なんて言った?) 第六幕 ステラホワイトの告白 沙織は少し照れながら桐島の首元に顔を近づけた。 沙織:「最初に催促に行った時から、ずっと気になってて…この香り、なんですか?」 桐島:「えっと、ステラホワイトっていう練り香水です」 沙織:「練り香水?」 桐島:「最近彼女ができたっていう友人にオススメされてAmazonで買ってみたんです。なんかモテるらしくて」 沙織:「本当にいい匂い」 気づけば沙織は桐島の首元に手を回し、ぎゅっと抱きついていた。 沙織:「本当にいい匂い。私のこと、抱いてくれますか?」 桐島は戸惑った。しかし1ヶ月分の家賃が免除されるという現実的な側面も頭の片隅でしっかりと計算していた。 人間、追い詰められると合理的になるものだ。 桐島:「わかりました」 第七幕 夏の夜の出来事 桐島は沙織の唇にそっとキスをした。 桐島の手が沙織の肩をそっと押すと沙織はゆっくりとソファに身を沈めた。見上げる形になった沙織と、見下ろす形になった桐島の視線が一瞬だけ交差する。 桐島の手が、ためらいがちに沙織の胸元へと伸びた。 沙織:「あぁ~ん……」 その声は、思っていたより大きかった。 桐島(心の声):(……壁、薄くないよな、このアパート) この後のことは薄い壁に守られたご近所にはどうかバレていないことを祈るばかりである。 エピローグ 時計の針が深夜を指す頃、桐島は服を着て自分の部屋へと戻っていった。 天井を見つめながら数分間放心した。 それからスマホを手に取った。 LINEを開く。友人の名前を探す。 桐島:「ステラホワイト教えてくれてありがとう」 既読がついたのは、翌朝だった。 友人からの返信はこうだった。 友人:「どうした急に笑 やっぱよかったか?」 桐島:「よかった。色々と」 友人:「色々って何?」 桐島は既読スルーした。 #漫画 #マンガ #モテおじ #モテるおじさん #pr

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25,226 25,226回閲覧 投稿から16日23時間5分後(407時間)(2026.09.27 21:34時点で取得) 確定待ち

土曜日の午後3時。駅前の広場。 さなはスマホのアプリ画面を確認しながら、待ち合わせ相手を探していた。 山口さな(心の声):「(プロフィール写真だと40代っぽい感じの人だったけど……どこかな)」 推しのライブグッズ代、遠征費、円盤代——バイト代だけではどうにも追いつかない出費が重なり、さなはここ2ヶ月ほどパパ活アプリを使っていた。もちろん彼氏の蓮には内緒だ。 さな(心の声):「(蓮にはぜったい言えない。でもしょうがない。推し活のためだし)」 足音が近づいてきた。 さな:「初めまして……?」 顔を上げた瞬間、さなの時間が止まった。 藤原健吾:「はじめまし……えっ!?なんでさなちゃんがここに!?」 さな:「……え」 さな(心の声):「(お、お父さん!???)」 そこに立っていたのは紛れもなく彼氏・蓮の父親、藤原健吾だった。 Scene 2|気まずいカフェ 健吾:「立ち話もあれだから、とりあえずお店入ろうか」 さな:「はい」 2人は無言のまま近くのカフェに入り窓際の席に向かい合って座った。 運ばれてきたコーヒーに誰も手をつけない。 沈黙が重かった。 健吾:「なんでパパ活してるの?」 さな:「推し活してて、バイト代だけじゃ足りなくて」 健吾:「蓮は知ってるの?」 さな:「いえ、秘密にしてます」 また沈黙。 さな:「お父さんはなんでパパ活してるんですか?」 健吾:「若い女性とお話ししたい時もあるから、たまにこうやって大人なしの健全でやってるんだよね」 さな:「健全」 健吾:「健全だよ。ご飯食べてお話しするだけ」 さな(心の声):「(私もそのつもりだったけど…まさか相手がお父さんとは)」 2人は同時にコーヒーを一口飲んだ。 健吾:「蓮には言わないでおくよ」 さな:「私も言いません」 健吾:「じゃあお互い様だね」 さな:「はい」 緊張がほんの少しだけほぐれた。 Scene 3|いつもと違う さなは改めて健吾を見た。 蓮の家で何度か会ったことはある。部屋着姿で「おう、いらっしゃい」と言っていた姿しか知らなかった。 でも今日の健吾は 山口さな(心の声):「(なんか……全然違う)」 ジャケットのシルエットがきれいだった。いつものラフな父親の姿とはまるで別人のようだった。 山口さな(心の声):「(普通にオシャレだ)」 そして席に座って向かい合った瞬間からずっと気になっていたことがあった。 山口さな(心の声):「(なんか良い匂いがする)」 いつも蓮の家で会う健吾からこんな匂いがしたことは一度もなかった。 山口さな(心の声):「(なんか……ドキドキする。お父さんなのに)」 自分の感情に気づいてさなは慌てて視線をコーヒーカップに落とした。 会話をしていてもさなの意識はずっとあの香りに引っ張られていた。 山口さな(心の声):「(気になる。なんの匂いなんだろう)」 Scene 5|匂いの正体 さな:「あの今日、何かつけてますか?」 健吾:「ん?」 さな:「さっきから匂いがすごくいいなと思って」 健吾:「あ、バレた(笑)。練り香水だよ。ステラホワイトっていうやつ」 健吾:「Amazonで人気だったから買ってみたんだ」 さな:「練り香水…」 Scene 6|閾値を超えた午後 1時間ほどカフェで会話をしカフェを出た。 健吾:「じゃあ気をつけてね」 さな:「はい」 でもさなは動かなかった。 山口さな(心の声):「(ダメだ。全然頭から離れない)」 隣に立つ健吾からまた例の香りがした 山口さな(心の声):「(蓮のことも、パパ活のことも、全部どうでもよくなってきた。これ絶対おかしい)」 自分でもわかっていた。これは正気の判断ではないと。 でもさなの口は勝手に動いた。 さな:「あの」 健吾:「うん?」 さな:「このままで終わるの、なんか嫌で」 健吾:「え?」 さな:「2人だけの秘密もう一個増やしませんか」 沈黙。 健吾:「2人だけの秘密って?」 さな:「付いてきてください」 そう言うと、さなは歩き出した Scene 7|鍵をもらう夜 駅前から離れるとそこはラブホテル街。 健吾(心の声):「おいおいマジか」 健吾:「ちょ、2人だけの秘密ってまさか?」 さな:「ダメですか?」 健吾:「ダメじゃないけど...」 健吾は覚悟を決めた。 フロントで鍵を受け取り部屋へと入った。 健吾はジャケットをハンガーにかけ窓の外の夜景を眺めた。 さなはベッドに腰を下ろし健吾の方を手招きした。 健吾が隣に座るとさなはゆっくりと顔を近づけ、健吾の首元に鼻先をそっと寄せた。 健吾:「……ちょっと」 さな:「ハァ……」 健吾:「緊張するからやめて」 さな:「……ずっと嗅いでたかった」 さな:「ハァ……」 その後2人はお互いのパートナーには決して話せない時間を過ごした。 Scene 8| ホテルを出たのは20時ごろ。 2人の秘密がまた一つ増えた。 さなが帰るのを見送った後 タクシーに乗り込む健吾は車窓を流れる街を眺めた。 健吾(心の声):「(まさかこんなことになるとは……)」 ため息とも苦笑ともつかない息を一つ吐いてふと思った。 健吾(心の声):「(今度、独身の田中に教えてやるか。ステラホワイト)」 #漫画 #マンガ #モテおじ #モテるおじさん #pr

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60 いいね 60投稿から16日23時間5分後
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424 424回閲覧 投稿から19日7時間45分後(463時間)(2026.09.27 21:34時点で取得) 確定待ち

金曜日の夜22時過ぎ。 坂口雅人は会社の飲み会を終えて、ほどよく酔った足取りで夜道を歩いていた。 駅に向かう途中、腹部に緊急信号が走った。 坂口雅人(心の声):「(やばい、トイレ)」 幸い、すぐそばに公衆トイレがあった。坂口は迷わず飛び込んだ。 個室に入りほっと一息つく。 何気なく正面の壁を見ると落書きがいくつか書いてあった。よくあるやつだ。ハートのマークとか、誰かへの悪口とか。 そんな中に、一つだけ毛色の違うものがあった。 「暇な人、電話してみて090-XXXX-XXXX」 坂口雅人(心の声):「(……なんだこれ)」 坂口は目を細めてその番号を見つめた。 坂口雅人(心の声):「(いたずら書きだろ。絶対。つながるわけない)」 でもなぜか頭から離れない。 坂口雅人(心の声):「(酔ってるせいかな。気になる。めちゃくちゃ気になる)」 坂口はスマホを取り出し番号を打ち込んだ。 坂口雅人(心の声):「(まあ、つながらないだろうけど……)」 発信ボタンを押した。 Scene 2|まさかの応答 コール音が一回、二回、三回 電話がつながった。 女性の声:「はい?」 坂口雅人(心の声):「(え、出た!?)」 背後からガヤガヤとした賑やかな声が聞こえる。居酒屋のような雰囲気だ。 坂口雅人:「あ……えっと……」 天野ひかり:「もしもし?」 坂口雅人(心の声):「(若い女性の声だ。どうしよう、なんて言えばいいんだ)」 坂口雅人:「あの……トイレに番号が書いてあって……」 天野ひかり:「あ、電話してくれたんですね」 坂口雅人:「はい……あのこれ、いたずら書きじゃなかったんですね」 天野ひかり:「違いますよ(笑)。私が書いたんです」 坂口雅人(心の声):「(本人が書いた!?なんで!?)」 Scene 3|なぜ書いたのか 天野ひかり:「ちょっと待ってもらえますか」 ガヤガヤした音が少し遠ざかる。席を外したようだ。 天野ひかり:「お待たせしました。友達と飲んでて。ちょっとうるさかったですよね」 坂口雅人:「いえ……あの、なんであんなところに番号を?」 天野ひかり:「なんとなくですね。酔った勢いで書いちゃいました(笑)。電話かかってきたの、初めてです」 坂口雅人:「初めて!?」 天野ひかり:「そうです。書いてから3ヶ月くらい経つんですけど」 坂口雅人(心の声):「(3ヶ月……俺が初めて電話した人間か)」 天野ひかり:「今どこにいるんですか?」 坂口雅人:「公衆トイレの中です」 Scene 4|会ってみることに 坂口は公衆トイレを出て近くのベンチに腰かけながら電話を続けた。 天野ひかり:「ねえ、せっかくだし会ってみませんか?」 坂口雅人:「え?」 天野ひかり:「どうせ私もあと少しで解散だし。そこまで20分ぐらいで着くところにいるので」 坂口雅人:「……わかりました」 Scene 5|待ち合わせ それからしばらく経ち。 公衆トイレの前で待っていると足音が近づいてきた。 女性が一人歩いてくるのが見えた。 坂口雅人(心の声):「(あの人かな?)」 顔は暗くてまだよくわからない。 女性が近づいてきた。 坂口雅人:「あのー先ほど電話した者ですかね?」 天野ひかり:「……そうです」 ひかりは坂口の顔を見た瞬間、一瞬だけ表情が止まった。 天野ひかり(心の声):「(うわっ!おっさんかよ…)」 しかし顔には出さなかった。 天野ひかり:「はじめまして。天野です」 坂口雅人:「坂口です。あの、わざわざすみません」 天野ひかり:「いえ、私が誘ったんで」 Scene 6|香りとの遭遇 2人はとりあえずベンチに並んで座った。 夜風が少しだけ吹いた。 その瞬間ひかりの鼻に何かが届いた。 天野ひかり(心の声):「(……あれ?)」 天野ひかり(心の声):「(この匂い……どこから?)」 ひかりはさりげなく隣を見た。 天野ひかり(心の声):「(この人から匂いがする……)」 天野ひかりは匂いに正体が気になってしょうがない。 Scene 7|匂いの正体 ひかりがベンチの上でわずかに身を乗り出し坂口の首元のあたりへ顔を近づけた。 坂口雅人:「なんですか!?」 天野ひかり:「何かつけてますか?匂いがすごく良くて」 坂口雅人:「あ、練り香水です。ステラホワイトっていうやつ」 天野ひかり:「興奮しちゃう匂いですね」 ひかりの息遣いが段々と荒くなっていく 天野ひかり:「ハァハァ」 坂口の耳元で興奮するひかりに我慢できなくなり、つい抱きしめてしまう坂口 天野ひかり:「あッんんッ♥」 ひかりの体がビクンッと反応した 天野ひかり:「ねぇちょっと来て」 そういうと立ち上がり公衆トイレへと向かった。 男子トイレの個室に入ると便器に座らされる坂口 ひかりは座っている坂口の太ももの上に乗ると坂口にキスをした。 何度も何度も...情熱的にお互いの唇と舌が絡み合う。 天野ひかり:「今日出会えて良かった。電話してくれてありがとう」 坂口雅人:「電話かけるの怖かったけど、勇気出して電話してよかったです。」 そのままトイレの中で合体する2人。 その後、公衆トイレから出てきた2人は、お互い目が合うと、なんとなく視線を逸らした。 天野ひかり:「またしたくなったら、いつでも電話してください」 坂口雅人:「……はい」 ひかりはくすっと笑ってだんだんと遠ざかっていく。 坂口は動けなかった。ひかりの背中が角を曲がって見えなくなるまで、ただじっと見送った。 坂口雅人:「まさか電話したら、こんなことが起こるなんてな……」 スマホを取り出しAmazonのアプリを開く。検索バーに打ち込む。 「ステラホワイト」 坂口雅人:「もう1個頼んでおくか」 ポチッ。 坂口雅人(心の声):「(トイレの落書きに感謝する日が来るとは思わなかった)」 静かな夜道を坂口は一人歩き始めた。 #漫画 #マンガ #モテおじ #モテるおじさん #pr

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金曜日の夕方、営業部のフロア。 定時のチャイムが鳴り、部下たちが「お疲れ様でした」と席を立ち始めるなか、村上哲也はひとり資料を眺めながら考えていた。 先週のことだ。入社4年目の部下、田所が昼休みに話しかけてきた。 田所:「部長、実は彼女できたんすよ」 村上:「ほう、どこで知り合ったんだ」 田所:「相席屋です。知ってます?」 村上:「……知らん」 田所:「男性は料金かかるんですけど、女性は基本無料で飲み食いできるんで、結構レベル高い子も来るんですよ。俺そこで今の彼女と知り合って」 村上(心の声):「(相席屋……)」 その話を聞いてから一週間、村上の頭の片隅にその単語がずっと居座っていた。 村上(心の声):「(44歳が行っていい場所なのか、そこは……)」 今日は金曜日。明日は休みだ。 村上(心の声):「(一回くらい、見てみるだけなら)」 村上は上着を手に取り静かに席を立った。 Scene 2|さくらの流儀 同じ金曜日の夕方、桐島さくらは鏡の前で軽くリップを直しながら呟いた。 さくら(心の声):「今日もいっぱい食べて飲もうっと」 さくらが相席屋に通い始めたのは半年ほど前のことだ。きっかけは友人の一言だった。「タダで飲み食いできるよ」 フリーランスという不安定な収入のなかで、週末のこの"作戦"は地味に家計を助けていた。もちろん素敵な人と出会えればそれはそれで嬉しい。 今夜も店に通されたさくらはドリンクを注文し枝豆をつまみながらメニューを眺めた。 さくら(心の声):「(カルパッチョと…あとピザも頼んじゃおうかな)」 そこへ最初の相手が席についた。 Scene 3|中田 亮、登場 中田亮:「やあ、よろしく。俺、中田っていいます。歳は29。IT系の仕事してて——」 さくら:「桐島です。よろしくお願いします」 中田亮:「桐島さん、仕事何やってんの?」 さくら:「Webデザインを少し…」 中田亮:「あー俺も実はちょっとデザインわかるんだよね。Canva使ったことあるし」 さくら(心の声):「(Canvaはみんな使えるよ)」 料理が運ばれてきた。さくらは笑顔でカルパッチョを口に運んだ。 中田亮:「俺さ、年収は大体——」 さくら(心の声):「(あ、年収来た。だいたいこの流れだ)」 トントンと会話(という名の中田の自己PR)が続き、気づけば制限時間が近づいていた。 中田亮:「よかったらこの後、別のお店でも行かない?俺いいとこ知ってるし」 さくら:「すみません今日はちょっと……」 中田亮:「そっかー、残念。じゃあLINEだけでも」 さくら:「それも大丈夫です。ありがとうございました」 中田はあからさまに肩を落とし席を立った。 さくら(心の声):「(ごちそうさまでした)」 Scene 4|村上、相席屋に立つ 一方その頃、駅前のビルの前で村上哲也はスマホの地図を見ながら立ち尽くしていた。 村上(心の声):「(……ここか)」 エレベーターで3階まで上がると若いスタッフが出迎えた。 スタッフ:「いらっしゃいませ!お一人様ですか?」 村上:「あ、はい……」 スタッフ:「初めてのご来店ですか?」 村上:「そうです」 スタッフ:「では簡単にご説明しますね!男性は60分2,500円の料金をいただいております。ドリンクも込みです。15分ごとにお席の交代がありまして」 村上(心の声):「(なるほど……思ったよりシステマチックだ)」 スタッフ:「女性のお客様は飲食代無料でご利用いただいておりまして、本日ご案内できるお席がございます。よろしいですか?」 村上:「お願いします」 そして案内されたのは、ひとりで枝豆をつまんでいる女性の席だった。 Scene 5|出会い 村上:「失礼します……村上といいます。よろしくお願いします」 さくら(心の声):「(……あ)」 席についた男性を見て、さくらは一瞬だけ目を止めた。スーツ姿。背筋が伸びている。歳は四十代くらいだろうか。 さくら:「桐島です。よろしくお願いします」 村上:「若いですね。学生さんですか?」 さくら:「いえ、一応働いてます。Webの仕事を」 村上:「へえ。在宅で?」 さくら:「そうです。フリーで。村上さんは?」 村上:「会社員です。営業の仕事を……まあ管理職みたいなことをしています」 さくら(心の声):「(落ち着いてる……さっきの人と全然違う)」 さくら:「こういうお店、よく来るんですか?」 村上:「いや、今日が初めてで。部下に勧められて」 さくら:「部下……何歳ですか、村上さん」 村上:「44です。場違いですか」 さくら:「ぜんぜん、そんなことないですよ」 村上:「相席屋って、こういう感じなんですね。思ったより普通のお店で」 さくら:「最初はびっくりしますよね。でも意外と居心地いいですよ」 村上:「桐島さんはよく来るんですか?」 さくら:「……週末はちょくちょく」 さくら(心の声):「(タダ飯目的とは言えない雰囲気になってきた)」 村上:「一人で来るんですか?」 さくら:「はい。一人で来て、一人で帰るんです。基本的には」 さくら(心の声):「(基本的には、ね)」 Scene 6|タイムアップ スタッフが交代を告げにきた。 スタッフ:「お時間になりましたのでご移動をお願いします」 村上が「では」と立ち上がろうとしたその瞬間 さくら:「あの」 村上:「はい?」 さくら:「他のお店、行きませんか?」 村上(心の声):「(え)」 村上:「私が、ですか」 さくら:「村上さんが、です」 村上(心の声):「(え、ええ!?!?)」 外見は涼しいままだったが、内心では44年の人生で初めてに近い動揺が走っていた。 村上:「……よろしければ、ぜひ」 Scene 7|夜の街へ 店を出ると、夜風が少しだけひんやりしていた。 2人は並んで歩き出したが最初の数秒は沈黙だった。 村上:「どこ行きますか?」 さくら:「コンビニでお酒買って……2人でゆっくりできる場所がいいです」 村上(心の声):「(ゆっくりできる場所……それはつまり……)」 村上:「わかりました」 コンビニに入るとお酒とおつまみを選ぶ さくら:「村上さんは何が好きですか?」 村上:「ハイボールを……」 コンビニの自動ドアを出たところで村上はすっと先を歩き始めた。 さくら:「あ、どこ行くんですか」 村上:「……近くに、ホテルがあるので」 さくら(心の声):「(ちゃんとわかってる人だった)」 Scene 8|2人きりの部屋 ホテルの部屋に入ると、さくらはコートを脱いでソファに腰掛けた。村上もネクタイを少し緩めて隣に座った。 さくらがレモンサワーのプルタブを開ける。村上もハイボールのプルタブを開ける。 さくら:「乾杯ですね」 村上:「乾杯」 缶がコツンと触れ合った。 村上:「急に誘ってもらって……驚きました」 さくら:「私も自分でびっくりしました」 村上:「どうして、私を?」 さくらはレモンサワーを一口飲んでから少しだけ躊躇して、それから正直に答えることにした。 村上の方へ、ぐっと体を寄せる。 村上(心の声):「(え、急に近い)」 そのままさくらは村上の首元に顔を近づけ深くゆっくりと息を吸った。 さくら:「ずっとこの匂いが気になってました」 村上:「……」 さくら:「ハァ……いい匂い」 村上:「それで、誘ってくれたんですか?」 さくら:「はい」 沈黙が落ちた。 村上:「実はステラホワイトという練り香水で……今日初めてつけてきたんです」 さくら:「初めて!?」 村上:「Amazonで注文して、今日受け取ったばかりで。なんとなく来る前につけてみたんです」 Scene 9|缶チューハイと体温 それからも2人はソファでお酒を飲み続けた。 さくらは当たり前のように村上にもたれかかり、村上は当たり前のようにそれを受け止めた。 会話は不思議と途切れなかった。仕事のこと、週末の過ごし方、好きな食べ物、とりとめのない話を、ゆっくりとした時間の中で交わした。 2本目の缶を半分ほど飲んだところで、さくらがほうっと息を吐いた。 さくら:「酔っちゃったみたい」 村上:「大丈夫ですか?」 さくら:「ベッドで横になりたいです」 さくらの体を支えながらベッドのそばまでゆっくり歩く。さくらがベッドに横たわると村上は上掛けをかけてやろうとした。 そのとき、さくらが村上の腕をつかんだ。 村上:「?」 さくらは引っ張った。 さくら:「一緒に寝よ?」 村上:「……はい」 それから少しの間があって。 さくらの方から村上の唇にそっとキスをした。 そのまま2人は熱い夜を過ごした。 Scene 10|朝 朝になり村上は目を開けた。 天井を見つめながら、ゆっくりと昨夜のことを順番に思い出した。 そして横を向くと桐島さくらが、気持ち良さそうな顔をして眠っていた。 寝顔は昨夜より少しだけ子供っぽかった。 村上(心の声):「……ありがとう」 ステラホワイト買って良かったと心から思う村上であった #漫画 #マンガ #モテおじ #モテるおじさん #pr

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5月の第2金曜日。午後2時。 社内のスピーカーから、普段は聞かない軽やかなBGMが流れ始めた。 社長(社内放送):「はい全員注目!今から社内イベントを開催します。今年の新入社員歓迎も兼ねてかくれんぼをします!」 営業フロアに一瞬の沈黙が訪れた。 深沢康介(心の声):「(かくれんぼ?)」 社長(社内放送):「ルールは簡単!このビル3階建て、社内のどこに隠れてもOK。移動も自由。最後まで見つからなかった人に賞金20万円をお渡しします!制限時間は2時間。鬼は私が務めます。では5分後にスタートです!」 フロアが一気に騒がしくなった。 社員A:「20万!?マジか!」 社員B:「どこ隠れよう、どこ隠れよう!」 森山あかり:「深沢さん、どうします!?」 深沢康介:「えっと……とりあえず動きますか」 康介は内心「39歳がかくれんぼか」と思いながらも20万という数字が頭から離れなかった。 深沢康介(心の声):「(いや、でも20万は普通に欲しい)」 Scene 2|康介、隠れる 社長の「スタート!」の声が響いた瞬間、社員30名が一斉に散らばった。 廊下、階段、トイレ、給湯室、あちこちでドアの開閉音が響き渡る。オフィスビルが生き物のようにざわめいた。 深沢康介(心の声):「(3階の書庫室…あそこは普段あまり人が立ち入らないし)」 書庫室の扉を静かに開ける。棚の影にうまく身を隠せる空間があった。 深沢康介(心の声):「(これはいい場所だ。20万もらえるかもしれない)」 そっと扉を閉め棚の奥に体を滑り込ませる。 しばらくすると扉がそっと開いた。 Scene 3|鉢合わせ 森山あかりだった。 あかりは康介を見つけた瞬間、口をぱくぱくさせ、声にならない驚きを顔全体で表現した。 深沢康介:「森山さんもここに隠れようとしてたんですね」 森山あかり:「はい」 深沢康介:「そしたら私は他の場所に移動します」 立ち上がりかけた康介の袖をあかりがそっと引いた。 森山あかり:「移動しなくていいですよ。最初は私も一緒にここに隠れます」 深沢康介:「でも、2人でいると見つかったときに」 森山あかり:「大丈夫です。静かにしてれば」 そう言ってあかりは静かに扉を閉め棚の陰に収まった。 狭い書庫室に2人。 深沢康介(心の声):「(移動先を決めるのも大変だし、しばらくここでいいか)」 Scene 4|静寂の中の異変 2人は息を殺して隠れていた。 廊下の向こうから社長の「見つけたー!」という声が時折聞こえてくる。 書庫室の中は静かだった。 あまりにも静かだったから康介は気づいてしまった。 隣から聞こえるあかりの呼吸が少しずつ変わっていることに。 森山あかり:「ハァ、ハァ……」 深沢康介:「(小声で)大丈夫?体調悪くなってきた?」 森山あかり:「いえ、大丈夫です」 深沢康介(心の声):「(大丈夫じゃなさそうだけど……)」 と思っていたら、あかりが少しずつこちらへ距離を詰めてきた。 最初は10センチ。次に5センチ。 深沢康介(心の声):「(近い近い近い)」 康介の背中が棚に当たった。これ以上下がれない。 Scene 5|匂いの正体 森山あかり:「(小声で)朝から思ってたことがあるんですけど」 深沢康介:「なんですか」 森山あかり:「今日、なにか付けてきてますか?」 深沢康介(心の声):「(あ、気づかれてた)」 深沢康介:「ステラホワイトという練り香水つけてます」 森山あかり:「やっぱり付けてますよね」 あかりが少し顔を向けた。暗がりの中で、その目が柔らかく細くなっていた。 森山あかり:「すごい良い匂いです」 深沢康介:「ありがとうございます。昨夜届いたので今日試しにつけてみたんです」 森山あかり:「届いた?」 深沢康介:「Amazonで注文してて」 森山あかり:「(小さく笑う)」 深沢康介:「なんで笑うんですか」 森山あかり:「Amazonで練り香水……なんかかわいいなと思って」 深沢康介(心の声):「(39歳にかわいいと言う23歳)」 Scene 6|密室の告白 そのとき、あかりが動いた。 ゆっくりとしかし迷いなく。 康介の体に腕を回し抱きついた。 深沢康介:「森山さん!?」 森山あかり:「今日のこと2人だけの秘密にしてください」 そのままあかりは康介の首元に顔を近づけた。深くゆっくりと息を吸い込む。 しばらくの間2人は動かなかった。 書庫室にはかすかな香りと2人の呼吸だけが存在していた。 どれくらいそうしていたか。 あかりがゆっくりと顔を離した。 森山あかり:「ずっとこうしてたいけど、さすがに2人で隠れているのが見つかったら変な風に思われてしまうので、私は移動しますね」 深沢康介:「わかりました。見つからないようにね」 あかりは静かに扉を開け廊下の左右を確認した。誰もいない。 扉の隙間からこちらを振り返り 森山あかり:「今度またゆっくり、2人で会いたいです」 それだけ言って足音を殺しながら廊下へ消えた。 深沢康介(心の声):「(……え?え?)」 書庫室にひとり残された康介は棚にもたれかかったまましばらく動けなかった。 Scene 7|発見 それから15分後。 社長:「見つけた!3階の書庫室!!」 深沢康介:「……あ、はい」 深沢康介(心の声):「(完全に油断してた。頭の中があかりさんでいっぱいだった)」 見つかった社員が集まるエリア1階のミーティングスペースへ向かうとそこには既に何人かの社員が座っていた。 そして森山あかりがテーブルの端で缶コーヒーを飲んでいた。 目が合った。 あかりは少しだけ笑って静かに目を逸らした。 深沢康介(心の声):「(こっちは心臓がまだドキドキしてるのに、なんでそんな涼しい顔してるんですか)」 康介は椅子を引いて腰を下ろした。賞金20万は取れなかった。 優勝者は結局、3階の天井裏を知っていた総務の田辺さんだった。 でも—— 深沢康介(心の声):「(20万より、いい経験をした気がする)」 表彰が終わり解散になった。あかりは先輩社員たちと笑いながら席を立った。 康介のそばを通り過ぎる瞬間ほんの一瞬だけ視線が合う。 それだけで十分だった。 Epilogue|次の約束 帰り道、康介はカバンの中のステラホワイトを取り出した。 深沢康介(心の声):「(次、森山さんと会うときも……絶対つけていこう)」 そう心に決めながら康介は夜の街を歩いた。 #漫画 #マンガ #モテおじ #モテるおじさん #pr

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付き合い始めてちょうど2ヶ月が経った、とある土曜日の昼下がり。 莉子と雄介は同じ大学のバドミントンサークルで出会い気がつけば毎週末を一緒に過ごすようになっていた。今日は莉子にとって初めての「彼氏の家訪問」である。 莉子(心の声):「(インターホン押すの緊張する。落ち着け落ち着け私)」 チャイムを鳴らすとドアを開けたのは雄介ではなくスーツ姿の男性だった。 田中慎一:「あ、君が莉子ちゃん?雄介から聞いてるよ。上がって上がって」 莉子:「は、はじめまして!佐藤莉子と申します。」 田中慎一:「そんなかしこまらなくていいよ(笑)。パパって呼んでくれてもいいくらいだし」 莉子:「(え……パパ……?)あ、は、はい!」 Scene 2|常連化する莉子 それからというもの莉子は週に1~2回は田中家を訪れるようになっていた。 慎一は仕事から帰るとよく夕飯を振る舞ってくれた。カレー、肉じゃが、手作りの餃子。 一人で息子を育ててきた男の料理はどれも妙においしかった。 莉子:「お父さん、この餃子ほんとに自分で作ったんですか?」 田中慎一:「当たり前だろ。雄介が小学生のときから毎週末作ってる」 雄介:「俺の折り方が下手すぎていつも笑われてたんだよなー」 田中慎一:「今でも下手だけどな」 雄介:「父さん!」 莉子:「ふふ、仲いいなあ」 莉子(心の声):「(こういう家庭なんかいいなあ…」 Scene 3|その日の違和感 ある日の夕方。莉子と雄介はいつものように雄介の部屋でNetflixを見ていた。 雄介:「あ、俺風呂先入っていい?汗かいたし」 莉子:「うん、行ってきな」 雄介がバスタオルを抱えて出て行くのを見送ってから、莉子はぼんやりリビングへと向かった。 ちょうどそこへ玄関の開く音がした。 田中慎一:「ただいまー」 莉子:「お邪魔してます!」 慎一がネクタイを緩めながらソファに腰を下ろした。その瞬間 莉子(心の声):「(……あれっ)」 何かが違った。いつもと何かが違う。 莉子(心の声):「(なんだろう。今日のお父さん、なんかいつもと違う気がする……)」 莉子は何気ない顔でテレビに目を向けながら、じわじわとその正体を探っていた。 Scene 4|犯人を特定せよ 莉子はリモコンを手に取るふりをしてソファの端から慎一の方へと少しにじり寄った。 莉子(心の声):「(気のせい?いや、気のせいじゃない。絶対なんか違う)」 さらに数センチ。 莉子(心の声):「(……匂いだ。匂いが違う)」 それは甘さの中に柔らかい清潔感が混じったような不思議と胸の奥が揺れる種類の香りだった。 莉子(心の声):「(なにこれ……すごくいい…)」 気づけば莉子の体は、ゆっくりと慎一の方へ傾いていた。 莉子(心の声):「(ちょっと近づいて確認するだけ。ただの確認。調査。学術的な興味)」 慎一の首元のあたりに顔が近づいた瞬間 ドン、と心臓が鳴った。 莉子(心の声):「(やばいやばい。近すぎた。でもすごくいい匂い…)」 鼻から肺の奥まで満たされるような感覚。呼吸が少しだけ乱れた。気づけば手が慎一の腕のほうへと伸びそうになっていた。 莉子(心の声):「(え、ちょっと待って私今何しようとした?!)」 莉子は自分の右手を左手でガッと掴んだ。 莉子(心の声):「(ダメ!絶対ダメ!彼氏のお父さんだよ!しかも45歳で雄介より25歳も上だよ!)」 莉子(心の声):「(我慢。我慢我慢我慢……)」 Scene 5|聞かずにはいられない なんとか理性を取り戻した莉子は深呼吸を一回して、できるだけ何事もなかった顔を作った。 田中慎一:「どうした?なんか用かな?」 振り返った慎一が莉子を見ていた。どうやら気配には気づいていたらしい。 莉子:「え!?い、いえ!ぜんっぜん!ただテレビが、テレビ見てただけです!ははは!」 田中慎一:「そう(笑)」 莉子:「あの~」 田中慎一:「うん?」 莉子:「今日、何かつけてますか。香水みたいな」 田中慎一:「あ、バレた?昨日Amazonで届いたから付けてみたんだ」 莉子:「な、なんていうやつですか……?」 田中慎一:「ステラホワイトっていう練り香水だよ」 莉子:「ステラホワイト…」 莉子(心の声):「(覚えた。絶対覚えた。むしろ一生忘れない)」 Scene 6|作戦会議(一人で) 雄介がお風呂から上がってくる前に、莉子は素早く部屋へ戻った。 スマホを開き、Amazonの検索バーに打ち込む。 「ステラホワイト 練り香水」 莉子(心の声):「(あった!これだ!)」 商品ページを開き、説明文を読む。 気づけば「注文する」ボタンに指が乗っていた。 ポチッ。 Scene 7|エピローグ 翌週、届いた小包を雄介に渡した莉子は、包みを開ける雄介をそわそわした顔で見ていた。 雄介:「え、なにこれ?」 莉子:「ステラホワイトっていう練り香水。つけてみて」 雄介:「急だな(笑)。どこにつけるの?」 莉子:「首元」 雄介:「こう?」 莉子:「うん……(スンスン)」 雄介:「何してんの?」 莉子:「……いい匂いだね」 雄介:「急にどうしたん(笑)」 莉子:「雄介のことが、もっと好きになった気がする」 雄介:「ん?何それ急に。嬉しいけど」 莉子(心の声):「(お父さんありがとうございます。あと、お父さんに発情しそうになってほんとにすみませんでした)」 #漫画 #マンガ #モテおじ #モテるおじさん #pr

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土曜日の昼過ぎ。 久保正樹は肩と腰のこりが限界に達していた。 正樹:(心の声)(そろそろ整体行かないとまずいな) スマホで近所の整体院を検索し、口コミの良い「癒し処 葉月」を予約した。 今まで何度か整体には行ったことがある。 しかし今回は初めての店だ。 Scene 2|施術開始 整体院「癒し処 葉月」。 受付を済ませ、個室の施術室へと案内された。 しばらくして、担当の整体師が入ってきた。 あかり:「お待たせしました。本日担当の田中です。よろしくお願いします」 正樹:「久保です。よろしくお願いします」 あかり:「今日はどこが気になりますか?」 正樹:「肩と腰が特にひどくて……仕事でずっとデスクワークなので」 あかり:「承知しました。では始めますね。まずうつ伏せになってください」 正樹はうつ伏せになり、施術が始まった。 あかりの手つきは丁寧で、的確だった。 正樹:「……気持ちいいですね」 あかり:「肩甲骨の周り、かなり張ってますね。もう少しほぐしますね」 施術は順調に進んでいた。 Scene 3|異変 うつ伏せの施術が終わり、仰向けになる正樹。 あかりは首や肩周りをほぐしながら、施術を続けていた。 しかしこの頃からあかりの様子が、少しずつおかしくなっていた。 あかりは手を動かしながら呼吸を整えようとした。 あかり:(心の声)(落ち着け。今は施術中だ) あかり:(心の声)(だめだ……集中できない) そしてあかりは理性の我慢ができなくなってしまったのか男性のズボンの上から グッ 正樹:「っ──!?何してるんですか!?」 あかりは我に返った。 あかり:「ご、ごめんなさい!施術する場所を間違えました!」 あかりの顔が、見る見るうちに真っ赤になった。 正樹:(心の声)(間違えるにもほどがあるだろ) Scene 4|告白 沈黙が流れた。 あかりは深呼吸し、正樹に向き直った。 あかり:「施術中にずっといい匂いがして、我慢できなくなってしまいました」 正樹:「我慢してもらわなきゃ困りますよ」 あかり:「そうですよね。本当に申し訳ありませんでした」 あかり:「ちなみに、この匂いってなんですか?」 正樹:「ステラホワイトという練り香水です」 あかり:「ステラホワイト..聞いたことないです」 正樹:「市販店には置いてなくてAmazonで買いました」 あかり:「そうなんですね」 あかりはしばらく黙り、意を決したように口を開いた。 あかり:「ご迷惑じゃなければ仕事終わりに会えませんか?」 正樹:「暇なのでいいですよ」 あかり:(心の声)(良かった) Scene 5|お会計 施術が終わり、受付でお会計をする正樹。 あかりがレシートを渡してきた。 レシートの裏を見るとあかりの連絡先が書かれていた。 正樹がそれを受け取るとあかりが耳元に顔を寄せ、そっと囁いた。 あかり:「あとで……間違えた箇所の施術もしてあげますね」 正樹:「は、はい……」 正樹は店を出た。 正樹:(心の声)(……どういう意味だ) 正樹:(心の声)(いや、わかってる) 正樹は近くのカフェに入り、コーヒーを飲みながら待った。 Scene 6|仕事終わりに合流 数時間後。 あかりからLINEが来た。 「終わりました。今どこですか?」 2人は合流し近くの居酒屋へと向かった。 居酒屋では今日の施術の話で盛り上がった。 あかり:「本当にあの時はどうかしてましたね」 正樹:「あの匂いのせいですか」 あかり:「完全にそうです。施術中にあんなことは初めてで」 あかり:「お客様に失礼なことをしたのに、こうして会ってくれてありがとうございます」 正樹:「まあ悪い気はしなかったので」 あかりはくすっと笑った。 お酒が進み2人の距離は自然と縮まっていった。 居酒屋を出た2人はそのままホテルへと向かった。 あかりが予告していた「間違えた箇所の施術」が静かに始まった。 部屋の照明が柔らかく2人を包んでいた。 Epilogue|帰宅 22時。正樹は帰宅しテーブルの上に置いてあるステラホワイトを眺めながら今日のことを振り返る。 正樹:(心の声)(肩と腰のこり以外の場所も、すっかりほぐれた気がする) 正樹はスマホを開きAmazonでステラホワイトを追加注文した。 正樹:次はどこの整体に行こうかな #漫画 #マンガ #モテおじ #モテるおじさん #pr

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平日の夜。仕事終わりの17時。 藤井和夫は会社を出た瞬間、向かう場所は決まっていた。 和夫:(心の声)(今日は何打とうかな) パチンコは和夫の数少ない趣味だ。 勝っても負けても、あの玉が回る感覚がやめられない。 駅前のパチンコ店「スーパーガイア」の自動ドアをくぐった。 Scene 2|台選び 店内は適度に賑わっていた。 和夫はいつものように、島をゆっくりと見て回る。 和夫:(心の声)(どこにしようか) ぐるりと回っていると、一台の台で足が止まった。 当たり0回、ゲーム数400。 和夫:(心の声)(そろそろ当たりそうだな。この台にするか) 腰を下ろすと、左隣にすでに女性が座っていた。 一万円札を入れ、玉を打ち始める。 Scene 3|先バレ 投資7千円。 突然、台から音が鳴った。 「ポキューン」 和夫:(心の声)(よっしゃきた!あちぃー) 先バレ演出だ。 これが来ると当たりの期待値が高い。 和夫:(心の声)(当たってくれよ……) 画面が激しく動く。 リーチ演出が続く。 和夫は画面を食い入るように見つめた。 画面が、止まった。 ハズレだった。 和夫:(心の声)(ふざけんなよ!イラつくわ) 和夫は舌打ちをこらえながら、次の玉を打ち込んだ。 Scene 4|隣の女性 しばらくして。 左隣から、派手な音が鳴り響いた。 ドドドドド──! 当たり演出だ。 和夫:(心の声)(いいなー) 横目で見ると、みおの台が賑やかに光っている。 しかもRushにも入ったようで、玉がどんどん増えていく。 和夫:(心の声)(まじで羨ましい) 和夫はみおの台から視線を自分の台へと戻した。 和夫:(心の声)(それにしても……エロい脚してやがるぜ。激アツ外した腹癒せに触っちまうぞ) みおのミニスカートから伸びる脚が、視界の端に入っている。 和夫:(心の声)(お金と性の煩悩……俺、今最悪な状態だな) 自分でも思いながら、それでも玉を打ち続けた。 Scene 5|3万円消える それから1時間半。 和夫の財布から、3万円が消えていた。 和夫:(心の声)(そろそろ帰るか……) 玉を打つ手が止まった。 一方、みおの台の前には大きなドル箱が積み上がっていた。 和夫:(心の声)(あっちは大勝ちか……) 立ち上がろうとした。 その時。 みお:「もう帰るんですか?」 突然声をかけられた。 和夫:「え?」 みおが、こちらを見て微笑んでいた。 和夫:「はい。当たらないしもうやめます」 みお:「私、今日いっぱい勝ったので……良かったら、この後ご飯でも行きませんか?もちろんお金は私が出しますよ」 和夫:「えっ!いいんですか?」 和夫:(心の声)(3万負けた後にこの展開は……) Scene 6|居酒屋にて 近くの居酒屋「炭火と肴 まる源」。 2人はテーブルを挟んで向かい合った。 ビールで乾杯し今日のパチンコの話が自然と始まった。 みお:「藤井さんの台、ちょっとしんどそうでしたね」 和夫:「見てたんですか」 みお:「なんとなく……横で気になってたんです」 和夫:「3万溶けましたよ。最近ずっとこんな感じで」 みお:「それは辛いですね。」 Scene 7|告白 料理が運ばれ会話が弾んできたころ。 和夫:「あの……ひとつ聞いていいですか」 みお:「はい」 和夫:「なんで私を誘ってくれたんですか?」 みお:「……正直に言いますか?」 和夫:「ぜひ」 みおは少し恥ずかしそうにグラスを両手で包んだ。 みお:「藤井さんが隣に座った瞬間から匂いがずっと気になってたんです」 和夫:「匂い?」 みお:「甘くて、清潔感があって……すごく好みの匂いで。気になって気になって、全然パチンコに集中できなくて」 和夫:(心の声)(俺が台に集中できなかったのと、お互い様じゃないか) みお:「でも勇気が出なくて…ちょうど大当たりして気分が上がったので、意を決して声をかけたんです」 和夫:「大当たりのおかげで声をかけてもらえたってことか」 みお:「そうなんです。運が良かったです」 みお:「ちなみにその匂い何ですか?」 和夫:「ステラホワイトという練り香水です。最近Amazonで買ったんですよ」 みお:「ステラホワイト…本当に良い匂いですね」 Scene 8|帰り際 2時間ほどが経ち2人は店を出た。 夜の街に秋の涼しい風が吹いていた。 みお:「今日はありがとうございました。楽しかったです」 和夫:「こちらこそ。ご馳走になってしまって」 みお:「良かったらまた一緒に打ちに行きませんか?」 和夫:「ぜひ」 みお:「じゃあ、LINE交換しましょう」 2人はスマホを取り出しLINEを交換した。 みおは手を振りながら、夜の街へと歩いていった。 和夫はその背中を見送り、大きく息を吐いた。 和夫:(心の声)(3万負けて最悪な1日になるかと思ったが……) 和夫:(心の声)(ステラホワイト、お前のおかげで最高な1日になったな) #漫画 #マンガ #モテおじ #モテるおじさん #pr

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ある昼休み。会社の休憩室。 三浦達也がコーヒーを飲んでいると上司が声をかけてきた。 上司:「三浦、ゴルフできるか?」 達也:「いえ、やったことないですけど」 上司:「来月、取引先との接待ゴルフがあってな。お前も来い」 達也:(心の声)(来月……) 達也:「わかりました」 席に戻りながら達也はスマホで検索し始めた。 達也:(心の声)(ゴルフ一度も握ったことないんだが) 達也:(心の声)(さすがに手ぶらで行くわけにはいかないな) ゴルフのパーソナルレッスンを探し初回お試しレッスンがある教室を予約した。 レッスン当日の朝。 動きやすい服装に着替え、家を出た。 都内のゴルフ練習場「グリーンスタジオ」。 受付を済ませ個別レッスンのブースへ案内された。 しばらくしてインストラクターが入ってきた。 達也:(心の声)(……若い女性だ) 篠原なつきは笑顔で頭を下げた。 なつき:「はじめまして。本日担当させていただく篠原です。よろしくお願いします」 達也:「三浦です。よろしくお願いします。全くの初心者なのでよろしくお願いします」 なつき:「大丈夫ですよ。今日は基本のグリップとスイングの形を覚えましょう」 なつきはまずクラブの持ち方から丁寧に説明してくれた。 なつき:「グリップはこうやって両手でしっかり握るんですけど力を入れすぎないのがポイントです」 達也:「こうですか?」 なつき:「そうです。でも少し右手の位置がもう少し下で大丈夫です」 丁寧でわかりやすい説明だった。 達也:(心の声)(思ったより難しいな) スタンスの取り方、体重移動、フォームの基本をひとつひとつ教わっていく。 達也は真剣に取り組んだ。 しかし30分ほど経ったころ。 なつき:「では実際にスイングしてみましょう。私が後ろからフォームを確認しますね」 なつきは達也の後ろに立ちフォームを確認しようと近づいた。 なつき:(心の声)(何この香り!?いい匂い) なつきはフォームの説明を続けようとした。 なつき:「では肩の位置を……」 しかし頭に香りが広がっていく。 なつき:(心の声)(近い……匂いが近い) なつき:「……あの、もう少し前傾姿勢を意識してもらえますか」 達也:「こうですか?」 なつきは意を決し、後ろからフォームを直そうと達也の腕に手を添えた。 なつき:「スイングの軌道はこう……」 言葉が途切れた。 達也の首元が目の前にある。 香りがダイレクトに鼻を突いた。 なつき:(心の声)(もうダメ。我慢できない。この匂い好きすぎる) なつきの体が気づいたら達也にぴったりと密着していた。 達也:(心の声)(えっ、背中に柔らかい感触が!胸当たってないか?) なつきは首元に顔を近づけ静かに匂いを吸い込んだ。 なつき:「……ハァ……ハァ……っ」 達也はクラブを握ったまま完全に固まっていた。 なつき:(心の声)(やばいこれ、レッスンどころじゃない) なつきはゆっくりと体を離し咳払いをした。 なつき:「す、すみません……少し失礼しました」 達也:「あ、いえ……」 なつき:「その、三浦さん何かつけていらっしゃいますか?」 達也:「え?」 なつき:「匂いというか香りがすごく気になってしまって」 達也:「ああ……練り香水です。ステラホワイトっていう」 なつき:「すごく好きな匂いで、つい近づいてしまいました。ごめんなさい」 達也:「いえ、全然気にしないでください」 なつきは頬を赤らめながら気を取り直してクラブを構えた。 なつき:「で、では続けましょう。スイングの確認を……」 達也:「はい」 しかしなつきは再び後ろに立った瞬間また香りが漂ってきた。 なつき:(心の声)(集中、集中) なつき:「肩の回転を意識して…」 1時間のレッスンが終わった。 なつきはタブレットにメモを取りながら今日の振り返りをしてくれた。 なつき:「今日のポイントは3つです。グリップの力を抜くこと、前傾姿勢を保つこと、そしてフォロースルーを意識すること」 達也:「わかりました」 なつき:「……あと、その香水」 達也:「はい?」 なつき:「次回もつけてきてもらえると…その、指導のモチベーションが上がるので」 達也:「……わかりました」 なつきはぺこりと頭を下げブースを出ていった。 帰り道。達也は駅へと歩きながら、今日のことを振り返っていた。 ゴルフの内容は半分しか頭に入っていない。 しかし悪い気はまったくしなかった。 達也はスマホを取り出しゴルフレッスンの会員登録ページを開いた。 月4回コース。 迷わず申し込んだ。 達也:(心の声)(上司への接待ゴルフの準備、というのは建前として) 達也:(心の声)(まあ続けてみてもいいかな) 達也はカバンの中からステラホワイトを取り出した。 達也:「次もステラホワイトを塗って行こう!」 夕暮れの街を達也は軽い足取りで歩いていった。 #漫画 #マンガ #モテおじ #モテるおじさん #pr

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土曜日の午前。都内のアパート「グランシティ武蔵」。 原田雄二は段ボール箱を次々と運び込みながら、額の汗を拭った。 雄二:(心の声)(やっと引っ越し完了か……) 雄二:「よし、挨拶に行くか」 Scene 2|挨拶 アパートの203号室。雄二の隣の部屋。 雄二はドアをノックした。 数秒後、ドアが開いた。 若い女性が立っていた。 寝起きなのか、ゆったりとした部屋着姿だ。 雄二:「突然すみません。隣の202号室に本日引っ越してきました原田と申します。よろしくお願いします」 雄二は粗品の袋を差し出した。 りか:「あ、ありがとうございます。松本です。よろしくお願いします」 りかは袋を受け取った。 雄二:「お騒がせすることもあるかもしれませんが、どうぞよろしくお願いします」 りか:「は、はい。こちらこそ」 雄二は軽く頭を下げ、自分の部屋へと戻っていった。 りかはドアを閉めその場に立ち尽くした。 りか:(心の声)(なんだろう、今の…) Scene 3|忘れられない その日の夜。りかは部屋でソファに座っていた。 テレビがついている。 しかし画面の内容がまったく頭に入ってこない。 りか:(心の声)(なんだったんだろう) 昼間の数秒間が頭から離れない。 Scene 4|翌日 翌日の日曜日。昼過ぎ。 りかはアパートの廊下に出た瞬間、隣の部屋のドアが開く音がした。 雄二が出てきた。 雄二:「あ、松本さん。おはようございます」 りか:「お、おはようございます」 雄二はエコバッグを持ち、買い物に行くようだ。 すれ違った瞬間 りか:(心の声)(っ……また) 体がじわりと熱くなった。 雄二はりかの様子に気づくことなく階段を下りていった。 りかはその場に立ち尽くし雄二が消えた方向をしばらく見つめていた。 りか:(心の声)(……もう無理だ) Scene 5|訪問 夕方。りかは202号室の前に立っていた。 手には、昨日雄二からもらった粗品のお返しとして買ってきたお菓子の袋がある。 りか:(心の声)(これを口実にすれば……) りか:(心の声)(いや、でも何がしたいんだ私) りかは自分でもよくわかっていなかった。 ドアをノックする。 数秒後、ドアが開いた。 雄二:「あ、松本さん。どうしましたか?」 りか:「あの……昨日いただいたお返しに、と思って」 雄二:「わざわざありがとうございます」 りか:「あの……」 雄二:「はい?」 りかは少し躊躇ってから、意を決したように口を開いた。 りか:「失礼じゃなければ……少しだけ、お部屋の中に入らせてもらえませんか?」 雄二:「え?」 りか:「引っ越しの片付け、まだ終わってないですよね。手伝えることがあれば……と思って」 雄二:(心の声)(いや、ほぼ終わってるんだが) 雄二:(心の声)(でも断る理由もないな) 雄二:「あ……じゃあ、散らかってますけど、どうぞ」 りか:「失礼します」 Scene 6|部屋の中で 202号室の中。段ボールがいくつか残っているが、概ね片付いている。 雄二:「散らかってますけど、どうぞ座ってください」 りか:「……はい」 りかはソファに腰を下ろした。 しかし体の内側が、じわじわと熱くなっていく。 雄二がお茶を用意しようとキッチンへ向かった。 りか:(心の声)(この部屋……全部この匂いがする) りか:(心の声)(だめだ、頭がくらくらしてくる) 雄二がコップを持って戻ってきた。 雄二:「どうぞ。」 りか:「……あの」 雄二:「はい?」 りかは立ち上がり、雄二の方へと一歩近づいた。 雄二:「……?」 りかは雄二の首元に顔を近づけ、静かに匂いを吸い込んだ。 雄二:「え、ちょ」 りか:「ハァ……」 また、吸い込む。 りか:「ハァ……っ」 りかは体をぐらりと傾け、雄二にもたれかかってきた。 雄二は慌ててりかの体を支えた。 雄二:「ちょ、ちょっと、大丈夫ですか!?」 りか:「……大丈夫じゃないかもしれないです」 雄二:「え」 りか:「この匂いのせいで……昨日からずっと頭がおかしくなってて」 雄二:「匂い?」 りか:「原田さんから漂ってくる匂いです。昨日挨拶に来てくれた時からずっと忘れられなくて」 雄二:(心の声)(匂い……) 雄二には思い当たることがあった。 雄二:「もしかして……これですか?」 雄二は洗面台の脇に置いてあった小さな箱を取ってきた。 ステラホワイト。 りか:「それ……なんですか?」 雄二:「練り香水です。同僚に勧められて買ったんですよ」 りか:「ステラホワイト……」 りかはその箱をまじまじと見つめた。 りか:「この匂いのせいで……私、おかしくなってたんですか」 りかはもう一度、雄二の首元に顔を近づけた。 りか:「好きです。この匂い」 りかはそのまま、雄二の腕に自分の腕を絡めた。 顔を上げ雄二をまっすぐに見た。 そのままりかの方から雄二の唇に自分の唇を重ねた。 雄二:「……」 りか:「ダメでしたか?」 雄二:「……ダメじゃないです」 りかは小さく笑い雄二の手をそっと取った。 りか:「じゃあ……こっちに来てください」 りかに手を引かれるまま雄二は寝室へと向かった。 ベッドの上で2人は寄り添うように横になった。 りかは雄二の首元に顔を埋めたままぎゅっと抱きついてくる。 りか:「ハァ…やっぱりこの匂い好きすぎる」 部屋の照明が静かに2人を包んでいた。 Scene 7|それから 2時間後。 りかは立ち上がり乱れた髪を手で整えた。 りか:「そろそろ帰りますね」 雄二:「はい」 玄関でりかが靴を履きながら、ふと振り返った。 りか:「あの、隣に住んでるんだから、またいつでも来ていいですか?」 雄二:「どうぞ」 りかはにっこりと笑いドアを開けた。 隣の203号室のドアを開け入っていく。 壁一枚隔てた向こうに、りかがいる。 雄二はその壁をぼんやりと眺めながら小さな箱を手に取った。 Epilogue|隣人 その夜。雄二はAmazonでステラホワイトを検索した。 まとめ買い用の3個セットをカートに入れる。 雄二:(心の声)(これは……切らせてはいけない) 注文ボタンを押しながら雄二は思った。 雄二:(心の声)(引っ越してきて正解だったな) 壁の向こうからかすかに物音がした。 りかもまだ起きているようだった。 #漫画 #マンガ #モテおじ #モテるおじさん #pr

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金曜日の夜。会社近くの居酒屋。 坂田と山崎は向かい合ってビールを傾けていた。 山崎:「この後どうします?まだいけますか?」 坂田:「明日休みだし、朝まで飲めるよ」 山崎の目が光った。 山崎:「じゃあ、クラブ行きましょう」 坂田:「クラブ!?」 坂田は少し眉を上げた。 坂田:「まぁ……良いけど」 坂田:(心の声)(39歳がクラブか。まあ、たまにはいいか) 2人は会計を済ませ、渋谷へと向かった。 Scene 2|クラブ、撃沈 渋谷の地下クラブ。重低音が体に響く。 照明が点滅する薄暗い空間に、若い男女がひしめき合っている。 坂田:「若い子ばっかりだね」 山崎:「最高っすね!」 2人はドリンクを片手に、声をかけ始めた。 山崎:「ねえ、一緒に飲もうよ」 女性A:「結構です」 坂田:「どこから来たの?よかったら──」 女性B:「ちょっとごめんなさい」 30分後。 坂田と山崎は壁際で並んでいた。 山崎:「……全滅っすね」 坂田:「うん」 重低音だけが、容赦なく響き続けていた。 山崎:「坂田さん、外で潰れてる女捕まえましょうよ」 坂田:「ありだねぇ」 2人はクラブを出た。 Scene 3|第一回・失敗 クラブの外。深夜の路上。 ビルの壁際に、1人の女性が座り込んでいた。 明らかに飲みすぎている。 坂田はゆっくりと近づいた。 坂田:「大丈夫~?」 女性:「……」 坂田:「ここ危ないから、ゆっくり休めるところ行こうかぁ?」 女性は顔を上げ、坂田をじろりと見た。 女性:「キモいからあっち行け」 坂田:「それは無理だねぇ~」 山崎:(心の声)(キモい言われても引き下がらない坂田さん、さすがっす) 坂田はその後も粘ったが、最終的に女性の友人グループが迎えに来て終了した。 山崎:「完敗っすね」 坂田:「うん。まあ今日はしょうがない」 2人は肩を落として帰った。 Scene 4|リベンジ前夜 翌週。また居酒屋。 坂田:「先週のリベンジしにクラブ行くか」 山崎:「行きましょう!」 坂田はこの1週間、ある準備をしていた。 会社の同僚から「これ絶対試してみてください」と勧められた練り香水──ステラホワイト。 Amazonで注文し、今日届いていた。 居酒屋を出る前にトイレで手首と首元に塗り込んだ。 坂田:(心の声)(さて、今日はどうなるかな) 2人は再び渋谷へと向かった。 Scene 5|リベンジの夜 深夜。同じクラブの前。 今夜もクラブの外には、酔った客が数人たむろしている。 坂田が辺りを見渡すと── ビルの壁際に、1人の金髪の女性が横になっていた。 坂田:(心の声)(いたいた) 坂田はゆっくりと近づき、女性の肩をトントンと叩いた。 坂田:「こんなところで横になってたら危ないよぉ~」 女性はうっすらと目を開けた。 坂田:「水買ってきてあげようか?」 その瞬間。 女性の手が、坂田の手首を掴んだ。 ぐっ。 坂田:「お、おっ」 女性はそのまま体を起こし、坂田の首元へとふらふらと抱きついてきた。 あいり:「……いい匂いがする」 あいり:「ハァハァ……」 深く、吸い込む。 あいり:「ハァハァ……」 また吸い込む。 今にも昇天しそうな勢いで、何度も何度も匂いを嗅ぎ続けている。 坂田:(心の声)(捕まえちゃったねぇ) 山崎は少し離れたところから、口を半開きにして眺めていた。 山崎:(心の声)(おっ!激アツ展開来たか!?) 坂田:「ゆっくり休めるところ行こうか」 あいり:「……うん」 小さく頷く。 山崎が素早く近づいてきた。 山崎:「坂田さん、自分も一緒にいいっすか?」 坂田:「いいよぉ~」 Scene 6|ホテルにて ホテル街。3人は一室へと入った。 部屋に入るなり、あいりはベッドに倒れ込んだ。 しかし意識はある。 あいりはベッドの上で坂田の方へと手を伸ばした。 あいり:「……こっち来て」 坂田:「はいはい」 坂田がベッドの端に腰を下ろすと、あいりは即座に坂田の首元に顔を埋めた。 あいり:「ハァ……またこの匂い」 あいり:「好きすぎる……」 坂田:(心の声)(この子、本当に匂いが好きなんだな) 山崎はソファに座りながら、2人の様子を眺めていた。 山崎:(心の声)(俺の出番は……) 坂田:「山崎もこっち来いよ」 山崎:「いいんすか」 坂田:「まあ、狭いけどな」 山崎:「問題ないっす」 薄暗いホテルの部屋の中、重低音とは無縁の静かな時間が流れていった。 Scene 7|翌朝 朝。ホテルのロビー。 坂田と山崎は並んでホテルを出た。 2人とも、スッキリとした顔をしている。 山崎:「……最高の夜でしたね」 坂田:「あぁ」 山崎:「先週と今週、何が違ったんすか?」 坂田:「これだよ」 坂田はポケットからステラホワイトを取り出した。 山崎:「なんすかそれ」 坂田:「練り香水。これ塗ってたら向こうから来たんだよ」 山崎:「え…俺も欲しいっす」 坂田:「Amazonで買えるよ。ステラホワイトで検索して」 山崎はすぐさまスマホを取り出した。 山崎:「今ポチります」 朝の渋谷の街に、2人の足音が響いた。 清々しい朝だった。 #漫画 #マンガ #モテおじ #モテるおじさん #pr

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金曜日の深夜。繁華街の路上。 石田浩二は千鳥足で駅の改札をくぐろうとして止まった。 改札の電光掲示板に、無情な文字が並んでいる。 『本日の終電は終了しました』 浩二:「飲みすぎたー」 反省はしていない。 しかし現実は受け入れなければならない。 浩二:「タクシーだと高いし……漫喫泊まるか」 浩二はスマホで近くの漫画喫茶を検索し、ふらふらと歩き出した。 Scene 2|漫喫へ 深夜1時。漫画喫茶「コミックパラダイス」。 浩二は受付のスタッフに部屋を聞いた。 スタッフ:「現在、喫煙ルームの空きがなくて……禁煙の完全個室のみご案内できます」 浩二:「禁煙か……まあいいか」 スタッフ:「喫煙所は2階にございます」 浩二:「わかりました」 案内された鍵付きの完全個室に荷物を置いた。 狭いが、プライベート空間だ。 浩二:「一服してくるか」 Scene 3|喫煙所にて 2階の喫煙所。 2人も入れば窮屈になる小さなガラス張りの空間だ。 浩二はタバコに火をつけ煙を吐き出した。 しばらくしてドアが開いた。 若い女性が入ってきた。 浩二:(心の声)(……可愛い子だな) アイドルのような顔立ち。 深夜の漫画喫茶にいるとは思えないような整った外見だ。 女性はバッグをごそごそと探り始めた。 ゆな:「すみません、ライター貸してくれません?」 浩二:「どうぞ」 ゆなはタバコに火をつけ一口吸った。 ゆな:「ありがとうございます」 浩二はタバコを吸い終え、喫煙所を出た。 ゆなも、ほぼ同じタイミングで出てきた。 二人は無言のままそれぞれの部屋へと向かった。 Scene 4|手紙 浩二は部屋に戻り備え付けのパソコンを起動した。 動画でも見て時間を潰そうと思っていた。 しばらくして。 コンコン。 ドアがノックされた。 浩二:(心の声)(誰だ?スタッフか?) ドアを開けると誰もいない。 浩二:「……?」 不思議に思いながらドアを閉めた瞬間、足元に白い紙が落ちていることに気づいた。 拾い上げて読む。 『さっきはライターありがとうございました。214番の部屋に来てくれませんか』 浩二:「……え」 浩二はしばらく紙を見つめた。 浩二:(心の声)(これは……あの子か?) 浩二:(心の声)(罠とかじゃないよな) 浩二:(心の声)(いや、罠だったとしても……行くか) 浩二は部屋を出た。 Scene 5|214番の部屋 廊下を歩き214番の前に立つ。 浩二はドアをノックした。 数秒後、ドアが開いた。 ゆなが立っていた。 無言で中に入るよう手招きする。 浩二:「……失礼します」 部屋に入った。 ドアが閉まった。 その瞬間。 ゆなが背後から浩二に抱きついてきた。 ゆな:「ハァ……ハァ……」 息遣いが荒い。 浩二:「ちょっ!?」 ゆなは浩二の首元に顔を埋め深く吸い込んだ。 ゆな:「……っ」 また吸い込む。 浩二:(心の声)(え、なに、これ) ゆな:「さっき喫煙所で会った時から…ずっとこの匂いが気になってたんです」 腕に込める力がじわじわと強くなっていく。 ゆな:「これ……何の香りですか?」 浩二:「ステラホワイトという練り香水です」 ゆな:「ステラホワイト……」 ゆな:「すごく良い匂いですね」 浩二:(心の声)(今日の飲み会で同僚に塗ってもらったやつだ) 浩二:(心の声)(まさかこんなことになるとは) ゆなは力を緩めるどころかさらに体重をかけてきた。 気づけば浩二は押し倒されていた。 ドサッ。 浩二:「あ、あの──」 ゆなは構わず浩二の首元に顔を近づけまた深く匂いを吸い込んでいる。 Scene 6|しばらく後 部屋の中に静寂が流れた。 ゆなはまだ浩二の首元に顔を埋めたままゆっくりと匂いを吸い込んでいる。 浩二:「あ、あの……そろそろ離れてもらえると」 ゆなはゆっくりと顔を上げた。 ゆな:「ごめんなさい」 ゆな:「ずっとこのままが良かったけど……」 少し名残惜しそうに言った。 ゆな:「迷惑じゃなければ……また会ってくれませんか?」 浩二:「はい。いいですよ」 ゆなの顔がぱっと明るくなった。 ゆな:「LINE交換しましょ」 2人はスマホを取り出し、LINEを交換した。 ゆな:「じゃあ……また連絡しますね」 浩二:「はい」 浩二は部屋を出て、自分の個室へと戻った。 数時間前、居酒屋でのこと 浩二が同僚の隣に座っていると、同僚がステラホワイトを取り出す 同僚:「これ、めちゃくちゃ良い匂いでおすすめなんだよ」 浩二:「なにそれ」 同僚:「ステラホワイトっていう練り香水。最近買ったんだけど」 同僚が蓋を開けて差し出す。 浩二は鼻を近づけた。 浩二:「ほんとだ!良い匂いだね!ちょっと塗ってみていい?」 同僚:「いいよ」 浩二は首元と手首に少し塗り込んだ。 部屋に戻った男性はスマホを手に持ちAmazonのページを開く 検索欄に「ステラホワイト」と打ち込む。 迷わずカートに入れ、注文した。 男性(心の声):「届くのが楽しみだ」 深夜の漫喫の個室で、浩二は静かに笑った。 来週の同僚には、礼を言わなければならない。 #漫画 #マンガ #モテおじ #モテるおじさん #pr

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6月のある昼休み。会社の休憩室。 沢田康介がコーヒーを飲んでいると、後輩の田村涼がスマホを片手に近づいてきた。 涼:「先輩こういうの知ってますか?」 差し出されたスマホ画面には、カラフルなイベントページが表示されていた。 康介:「リアル脱出ゲーム?知らないな」 涼:「制限時間内に会場に隠された謎を解いて脱出する体験型ゲームイベントなんですよ」 康介:「へぇ、楽しそうだね」 涼:「今度行きましょうよ!」 涼はにやりと笑った。 涼:「もしかしたら良い女性に出会えるかもですよ」 康介:まあ、それは期待しないとして」 康介:「わかった行こうか」 Scene 2|当日の朝 イベント当日。都内のビルの一室。リアル脱出ゲーム専門施設「LABIRYS(ラビリス)」。 涼と待ち合わせ会場へと向かった。 受付には若いスタッフが立っていた。 スタッフ:「本日はお越しいただきありがとうございます。今回のゲームは『廃病院からの脱出』です」 康介:(心の声)(廃病院…) スタッフ:「制限時間は60分。室内に隠された謎を解き最後の暗号を入力すれば脱出成功です。ヒントは3回まで使用できます。途中退出は原則できませんのでご注意ください」 涼:「わくわくしますね」 康介:「廃病院って怖くないか?」 涼:「先輩、意外とビビりですね」 スタッフから地図と説明書を受け取り、指定された部屋へと向かった。 薄暗い廊下を歩く。 そして扉の前で足が止まった。 部屋の中にはすでに2人の女性が立っていた。 Scene 3|4人で謎解き開始 涼が真っ先に話しかけた。 涼:「はじめまして。一緒に謎を解いて脱出しましょう!」 麻衣:「よろしくお願いします」 ひより:「はじめまして。お願いします」 ガチャン。 扉が閉まった。 4人は密室に閉じ込められた。 スタート音が鳴り60分のカウントダウンが始まる。 涼:「じゃあ手分けして探しましょう。まず部屋を全体的に確認してみます」 麻衣:「わかりました。私はこっち側を」 涼と麻衣が中心になって謎解きを進め始めた。 康介とひよりは少し離れたエリアを担当する。 康介:(心の声)(相変わらず仕切るのが上手いな) 部屋の中には古びたカルテ、錆びた鍵、意味深な数字が書かれたホワイトボードなど、様々な仕掛けが散りばめられていた。 ゲームは順調に進んでいた。 最初の30分は。 Scene 4|異変 30分経過。 ひよりの様子が少し変わってきた。 さっきまで涼と一緒に行動していたのに、いつの間にか康介のすぐ隣に来ている。 頬がうっすら赤い。 ひより:「どうですか?謎解けそうですか?」 康介:「全然わからないですね。結構難しいですね」 ひより:「そうですね……」 ひよりの視線が謎よりも康介の方に向いている気がした。 康介:(心の声)(気のせいか) 康介は別の場所にヒントが隠されていないか探しに移動した。 するとひよりがついてきた。 康介:(心の声)(あれ、付いてきてる) 壁際の棚の下にヒントが隠されていないか確認するため、康介はその場にしゃがみ込んだ。 ひよりも、すぐ隣にしゃがみ込んだ。 距離が近い。というか密着している。 康介:(心の声)(近い近い!全然集中できない。さっきからずっと付いてきてるんだけど、何故だ!?) その時。 ひより:「あっ!あそこ見てください!」 ひよりが何かを見つけた。 康介の体にほぼ乗りかかるようにして指を指す。 柔らかいものが康介の腕に押し当てられた。 康介:(心の声)(ちょちょ、胸当たってる) 康介は立ち上がりヒントを確認してから別のエリアへ移動した。 またついてきた。 康介:(心の声)(さっきから何なんだこの子は) 康介:(心の声)(リアル脱出ゲームの謎解きより、この子の考えを謎解こうとして集中できないってば) Scene 5|告白 残り時間15分。 涼と麻衣が最後の暗号に取り組んでいる間、康介とひよりは少し離れた場所に立っていた。 ひより:「あの」 康介:「はい」 ひより:「今日こうやって出会えたのも何かの縁ですし……もしよかったら今度お食事でも行きませんか?」 康介は少し驚いた。 康介:「はいもちろん良いですよ」 康介:「ですが……なぜ私なんですか?」 康介:「ほら、そこにいる私の後輩の方が若くてイケメンですよ」 涼がちょうどこちらを向いていた。 涼:(心の声)(俺の話してる?) ひよりはちらりと涼を見て首を横に振った。 ひより:「たしかにイケメンですけど顔は関係ないですよ」 康介:「え?」 ひより:「最初にこの空間に閉じ込められた時に、すごく良い匂いがして」 ひより:「その匂いが沢田さんから香ってきたので気になっちゃって」 ひより:「実は私、匂いフェチで…この匂いが興奮しちゃうぐらい好きなんです」 康介:「そうだったんですね!やたらと距離が近かったのはそういう理由だったんですね」 ひより:「はい。これって何の匂いなんですか?」 康介:「これはステラホワイトという練り香水の香りでして」 康介:「SNSで話題になっていたので先日Amazonで購入してみたんですよ」 ひより:「ステラホワイト……覚えました」 ひよりはにっこりと笑い、スマホを取り出した。 ひより:「じゃあ、LINE交換しましょう」 Scene 6|脱出成功 残り時間5分。 涼:「暗号これじゃないですか!?」 麻衣:「合ってる!入力してみて!」 涼が端末に数字を打ち込むと── ピンポンピンポン! 『脱出成功!』 画面に文字が浮かんだ。扉が開く。 一同:「脱出成功!」 涼:「やったー!」 麻衣:「楽しかったー!」 ひより:「無事脱出できてよかったですねー」 康介:「そうですね」 涼:「今日はありがとうございました」 麻衣:「こちらこそ楽しかったです」 しばらく余韻を楽しんだ後、麻衣が腕時計を見た。 麻衣:「では私たちはこれから別のところに行く予定があるので」 涼:「お気をつけて」 麻衣が先に歩き出した。 ひよりが康介の隣に近づき耳元でそっと囁いた。 ひより:「次は私の誘惑から…脱出できるといいですね」 そしてにっこりと笑って歩き去った。 康介の顔がじわじわと赤くなった。 Scene 7|後輩の疑問 涼が不思議そうに康介を見ていた。 涼:「今、なんて言われたんですか?」 康介:「あっ……いや、何でもないよ。大したことじゃない」 涼:「……?」 涼は首をかしげたが追及しなかった。 康介:「昼飯食べにいくか」 涼:「そうっすね」 2人は会場を出た。 歩きながら康介はひよりの言葉を頭の中で繰り返した。 康介:(心の声)(まさかこんなことになるなんて) 康介:(心の声)(……誘惑から脱出できるか、心配だ) しばらく歩いたところで康介は口を開いた。 康介:「涼に言ってなかったんだけど」 涼:「はい?」 康介:「オススメの香水あるから買ってみな」 涼:「えっ、急になんすか?なんていう香水ですか?」 康介:「ステラホワイト」 涼:「ステラホワイト…メモしときます」 涼はスマホを取り出しながらまた首をかしげた。 涼:「でも先輩、さっき何て言われたんですか?本当に」 康介:「だから大したことじゃないって」 涼:「絶対何かありましたよね」 康介:「ラーメンにするか、それともそば?」 涼:「話題変えましたよね今」 6月の空の下、2人は昼飯を求めて歩き続けた。 #漫画 #マンガ #モテおじ #モテるおじさん #pr

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金曜日の夕方17時。 早川けんじは会社のドアを出た瞬間、大きく息を吐いた。 けんじ:(心の声)(終わった……) 5日間分の疲労が、一気に肩から抜けていく。 けんじ:(心の声)(明日仕事休みだし、カラオケでも行くか) 一度帰宅し、スーツから着慣れたシャツに着替える。 冷蔵庫から適当なものを出して夕飯を済ませ 財布とスマホをポケットに突っ込み家を出た。 Scene 2|いつものカラオケ 夜21時。駅前のカラオケ「メロディBOX」。 けんじはひとりカラオケの常連だ。 受付で「おひとりですか?」と聞かれることにも慣れた。 恥ずかしくも何ともない。 案内されたのは3階の小部屋。 最初の1曲を入れた。 けんじ:「世界が終わるまでは──離れることもない──」 画面を見ながら全力で歌う。 1人だから誰にも遠慮しなくていい。 音程を外しても笑う人はいない。 これが最高なのだ。 1曲目が終わりすぐに2曲目を入れる。 けんじ:「大きな声でピリカピリララ──」 歌い終わりマイクをテーブルに置く。 けんじ:「やっぱアニソンは最高だ」 仕事のストレスが歌声と一緒に空気に溶けていく。 Scene 3|乱入者 数曲歌ったところで。 ガチャッ。 部屋のドアが開いた。 入口に若い女性が立っていた。 さゆり:「あっ!ごめんなさい、間違えました!」 さゆりは顔を真っ赤にして素早くドアを閉めた。 けんじ:「ビックリした……」 けんじは胸を撫で下ろした。 けんじ:「部屋を間違えるのってあるあるだよなー」 マイクを持ち直し次の曲を入れた。 けんじが歌い始めて2曲ほど経ったころ。 ガチャッ。 またドアが開いた。 けんじ:(心の声)(またかよ!) するとさっきの女性が今度はおずおずと立っていた。 さゆり:「今回は……間違えて開けたわけじゃないです」 けんじ:「え?どうしたんですか?」 さゆり:「1人で来てるんですか?」 けんじ:「はい、そうですが……」 さゆりは部屋の中に入ってきた。 そのまま迷わずけんじの隣に座る。 けんじ:(心の声)(少しお酒臭いな。酔っ払ってるのか?) さゆり:「私も1人で来てるんですけど、よかったら一緒に歌いませんか?」 けんじ:「いやいや、なんでですか?1人で歌いたくて来てるんじゃないですか?」 さゆり:「そうなんですけど、さっき間違えて部屋を開けた時に」 さゆりは少し恥ずかしそうに続けた。 さゆり:「部屋からすごく良い匂いがして」 さゆり:「なんの匂いなのか気になって、また来ちゃいました」 けんじは目を大きく開けた。 けんじ:(心の声)(匂い……) けんじ:(心の声)(まさか……今日塗ってきたあれか) (回想シーン) 男性は仕事から帰宅すると玄関にAmazonのダンボールが置き配されていた 男性:「荷物届いてる」 中身は友人からお薦めされたステラホワイトという練り香水 男性(心の声):「せっかくだし塗ってみるか」 カラオケに行く前にこの練り香水を塗っていた (カラオケの部屋のシーンに戻る) さゆりはけんじの首元にそっと顔を近づけた。 くんくんと、匂いを確かめるように嗅いでくる。 さゆり:「好きすぎる匂いで一緒にいたいなって思って。だめですか?」 けんじ:「ダメじゃないです」 さゆり:「ありがとうございます」 さゆりはぱっと笑顔になった。 Scene 4|一緒に歌う 店員に事情を説明し同じ部屋で歌うことになった。 けんじは追加料金を払い、2人分のドリンクを注文した。 さゆり:「何歌うんですか?」 けんじ:「基本アニソンばかりで…」 さゆり:「アニソン好きなんですか!?私も好きですよ!」 さゆりはリモコンをすいすいと操作し、慣れた手つきで曲を入れていく。 さゆり:「これ知ってます?」 けんじ:「それ知ってます。好きな曲です」 さゆり:「じゃあ一緒に歌いましょう!」 2人でマイクを持ち歌い始めた。 しかし問題があった。 さゆりが体をけんじにぴったりと密着させたまま歌っているのだ。 時折、顔をけんじの首元に近づけ深く匂いを吸い込んでいる。 けんじ:(心の声)(全然集中して歌えない) 画面の歌詞が頭に入ってこない。 しかしさゆりは気にせず歌い続けている。 Scene 5|違うマイク 3曲ほど歌ったところで2人は一息ついた。 けんじがドリンクを一口飲んでいるとさゆりがもたれかかってきた。 さゆり:「けんじさんって、普段もカラオケ来るんですか?」 けんじ:「毎週来てますよ。ひとりで」 さゆり:「毎週!?すごい」 さゆり:「私も週1で来たいんですけど、友達の都合が合わなくて。でも最近ひとりカラオケ覚えたんです」 けんじ:「ひとりカラオケ最高ですよね」 さゆり:「最高ですよね!!」 2人の意見が初めて完全に一致した。 次の曲のイントロが流れ始めた。 さゆりがマイクを手探りで探す。 テーブルの上のマイクではなくなぜか別の方向へ手が伸びた。 ぐっ。 けんじ:「っ──!」 さゆり:「あっ……違うマイク掴んじゃった」 けんじ:「酔っ払いすぎですよ」 さゆり:「ごめんなさい……でも」 さゆりはけんじをちらりと見上げた。 さゆり:「……悪くない感触でした」 2人はその後もアニソンを歌い続けた。 さゆりは歌いながらも何度もけんじの首元に顔を近づけ匂いを確かめていた。 けんじ:(心の声)(全然集中して歌えない) しかし悪い気はまったくしなかった。 Scene 6|お開き 3時間ほどが経ったところで2人は店を出た。 さゆり:「今日はありがとうございました」 けんじ:「こちらこそ」 さゆり:「アニソン仲間ができて嬉しかったです」 けんじ:「私もです」 さゆりはにっこりと笑い手を振った。 さゆり:「またどこかで会えたらいいですね」 そのままくるりと振り返り歩いていった。 けんじはその背中が見えなくなるまでその場で見送った。 帰り道。けんじは夜風の中を歩いていた。 けんじ:(心の声)(まさかこんなことが起きるなんな) けんじ:「ありがとう」 ステラホワイトとお薦めしてくれた友人に感謝する男性なのであった #漫画 #マンガ #モテおじ #モテるおじさん #pr

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金曜日の夜。午後8時。 三上隆は会社を出た瞬間、肩の荷が下りる感覚を味わった。 月曜から金曜まで、上司の顔色をうかがい、取引先に頭を下げ、終わらない資料と格闘する。 45歳独身。誰かに労ってもらえる相手はいない。 だから毎週金曜日、隆には決まった行き先があった。 風◯だ。 隆:「今週も終わった」 駅から歩いて5分。 いつもの店「ヴィーナス」の扉を押す。 受付のスタッフが顔を見るなりにこりと笑った。 スタッフ:「三上様、いらっしゃいませ。今日はいかがなさいますか?」 隆:「いつものコースで。指名は…今日は誰かおすすめいる?」 スタッフ:「ちょうど今、人気の子が空いてますよ。いかがでしょう?」 隆:「じゃそれで」 案内された部屋は、柔らかい照明で満たされていた。 ほどなくしてドアがノックされ、担当の女の子が入ってきた。 風◯嬢:「三上さん、初めまして。よろしくお願いします」 愛想の良い笑顔だった。 風◯嬢:「三上さん、毎週来てるんですか?」 隆:「そう。金曜日が一番の楽しみでね」 風◯嬢:「それは嬉しいです。お仕事大変そうですね」 隆:「まあ……サラリーマンなんてそんなもんだよ」 風◯嬢:「奥さんか彼女はいないんですか?」 隆:「いないよ。ずっと独身」 風◯嬢:「じゃあ三上さんにとって、ここが一番の癒しの場所ですね」 隆:「まあ、そういうことになるね」 風◯嬢:「それなら私、しっかり癒してあげますね」 1週間の疲れがじわじわと溶けていく。 プレイが終わり、隆は店を出た。 隆:「今日も最高だった」 夜風が気持ちよかった。 Scene 2|翌週金曜日 1週間後の金曜日。夜9時。 隆は今週いつもと違う行動に出ることにした。 隆:「今日は大久保公園の立ちんぼ行ってみるか」 最近SNSで大久保公園の状況を知った。 今まで興味はなかったがなんとなく気になっていた。 大久保公園に到着。 隆:「おお……いっぱい人が立ってる」 想像以上だった。 色とりどりの服装の女性たちが思い思いの場所に立っている。 隆:「しかも可愛い子もいるな」 しばらく周辺をぐるりと歩き、様子を観察する。 隆:(心の声)(よし、とりあえず声かけてみるか) 電柱の前に立っている女性が目に入った。 黒のミニスカート、白のオフショルトップス。 目の下にはハート型のラメのアイシャドウ、ツインテール、大きめのリボン。 地雷系と呼ばれるファッションだった。 顔は整っている。 隆:「こんばんは。何歳ですか?」 桃香はスマホから目を上げ、隆をちらりと見た。 桃香:「21」 隆:「若いね。いくらですか?」 桃香:「Gありホ別1万5千円」 隆:「わかりました。じゃあお願いします」 Scene 3|ホテルにて 2人は近くのホテルへと向かう ホテルの部屋に入ると隆は料金を桃香に渡しベッドに横になった。 桃香も隣に横になる。 しばらくして桃香の方から隆にしがみついてきた。 隆:(心の声)(お、積極的だな) 桃香は隆の首元に顔を近づけ鼻をひくひくと動かした。 桃香:(心の声)(…なんか良い匂いがする) Scene 4|帰り際 プレイが終わり二人は部屋を出た。 ホテルの廊下を歩きながら隆は財布をしまった。 エレベーターのボタンを押した瞬間、桃香が口を開いた。 桃香:「あのー」 隆:「うん?」 桃香:「もしよかったら…また会ってくれませんか?」 隆:「え」 桃香:「次からはお金はいらないです」 隆:「お金いらないの!?なんで?」 桃香は少しだけ恥ずかしそうに、視線を逸らした。 桃香:「相性が良かったってのもあるんですけど……すごく匂いが好みで」 桃香:「また会いたいなって、思っちゃいました」 隆:(心の声)(匂い……) 男性は先週の金曜日に行ったお店の女の子が 風俗嬢:「私、匂いフェチなんですよ。ステラホワイトっていう練り香水の香りが一番好きで、その匂いつけてるお客さんが来ると、めっちゃ興奮しちゃうんですよね」 って言っていたのを聞いてから、男Amazonでステラホワイトを購入し今回それを塗っていたのだ。 隆:「そういうことでしたら……また会いましょう」 桃香:「よかったです」 桃香はぱっと顔を明るくした。 桃香:「連絡先、教えてくれませんか?」 隆:「どうぞ」 二人はLINEを交換しホテルを出た。 隆:「ではまた!」 桃香:「はい。今日はありがとうございました」 桃香は軽く手を振り夜の街へと消えていった。 Epilogue|帰り道 夜の大久保。隆は一人、駅へと歩いていた。 ふとカバンの中に手を入れステラホワイトを取り出し 街灯の下でしげしげと眺めた。 隆:(心の声)(先週の風◯店の女の子から聞いたこの練り香水……買ってよかった) まさか立ちんぼの女の子に「次は無料で会いたい」と言われる日が来るとは思わなかった。 隆はステラホワイトをカバンの中に戻しスマホを開いた。 LINEのトーク画面に桃香の名前が追加されている。 その後、隆と桃香は月に2回ほどのペースで会うようになった。 毎回、隆はステラホワイトを塗って出かけた。 毎回、桃香は隆の首元に顔を埋めながら言った。 桃香:「やっぱりこの匂い、好き」 #漫画 #マンガ #モテおじ #モテるおじさん #pr

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木下:「北村さんって最近どうですか。プライベート。」 北村:「どうって別に。何もないよ。」 木下:「彼女は?」 北村:「いない。」 木下:「やっぱり。なんかそんな気がしました。北村さんマッチングアプリやってみればいいんじゃないですか?」 北村:「マッチングアプリ?俺はそういうの疎くてついていけん。」 木下:「簡単ですよ。顔写真と自己紹介文だけで、あとはスワイプするだけです。俺もそれで今の彼女できましたし。」 北村:「スワイプ…そのあたりからもう意味わからん。」 木下:「いいから見てください。ほらこんな感じです。」 画面には何十人もの女性のプロフィール写真が並んでいた。 北村は少し目を細めた。 悪くない。正直に言うとかなり悪くなかった。 北村:「一応教えといてくれ。」 木下:「北村さんも彼女作りましょう」 北村:「余計なこと言わんでいい。」 【第二幕】マッチング その日の夜、北村はアプリをインストールした。 自己紹介文は30分かけて書き、最終的に「会社員です。よろしくお願いします。」の一文だけにした。 そして3日後。 スマホの通知音。 「真田 咲さんがいいねしました」 真田咲、26歳。 写真は3枚。清楚なワンピース姿、友人との旅行、カフェでラテアートを撮っている横顔。 自己紹介文には「人生を豊かにすることに興味があります。素敵な出会いができたら嬉しいです♪」とあった。 北村:(心の声)「かわいい。なんでこっちにいいねしてきたんだ。」 北村はおそるおそるマッチングボタンを押した。 その後メッセージのやり取りが始まり一週間後に会う約束が取れた。 待ち合わせは新宿。 北村は珍しく前日から何を着ていくか考えた。 【第三幕】ルノアール 土曜日の午後2時。新宿東口。 北村は待ち合わせの10分前に着いた。 5分後。真田咲が現れた。 写真通り、いや写真より少し大人っぽかった。 真田咲:「北村さんですか?真田です。はじめまして。」 北村:「あ、はい。北村です。こちらこそ。」 北村:(心の声)「来た。普通に来た。詐欺じゃなかった。」 二人は近くのルノアールに入った。 平日ならサラリーマンで埋まる席に今日は客が少なく落ち着いた雰囲気だった。 珈琲を頼み他愛ない話から始まった。 真田:「北村さん、プロフィールに副業って書いてましたけど何やってるんですか?」 北村:「せどりです。ネットで仕入れてネットで売るっていう。大した額じゃないですけど。」 真田:「すごい!行動力ありますよね。私、会社の給料だけじゃ将来不安で何か変えたいなってずっと思ってて。」 北村:「まあ、副業も楽じゃないですけどね。」 真田:「北村さんって、もっと大きく稼いでみたいとか思いますか?」 北村:「まあ……そりゃ思いますよ。」 真田は少し微笑んでコーヒーカップをそっとソーサーに置いた。 ここから話が少し変わった。 真田:「実は私、去年まで将来のことがすごく不安で会社の給料だけで生きていくことに限界を感じてたんです。」 北村:「うん、うん。」 真田:「そんな時にある人に出会ったんですよ。その人に出会ってから、本当に人生が変わったんです。」 北村:(心の声)「……なんかこのフレーズ、どこかで聞いたことがある気がするが。」 真田:「その人、コミュニティで人脈を広げながら収入を作る仕組みを持ってて。最初は半信半疑だったんですけど話を聞いてみたら全然怪しくなくて。今は私、副業の収入が会社の給料を超えてるんです。」 北村:(心の声)「……うん、聞いたことあるフレーズだ。絶対聞いたことある。」 だがこの時点で北村は確信を持てなかった。 真田:「今日、実はその方に特別に時間作ってもらって来てもらったんで、呼んでいいですか?」 北村:「あ……はい。」 北村:(心の声)「断れなかった。なんで断れなかったんだ俺。」 【第四幕】田口、登場 3分後。田口と名乗る40代の男性が現れた。 清潔感のあるジャケット。落ち着いた話し方。 一見すると、どこかの会社の営業部長みたいな雰囲気だった。 田口:「初めまして、田口です。咲ちゃんからお話を聞いてまして、ぜひ一度お会いしたかったんです。」 北村:「はじめまして……北村です。」 そこから田口の話が始まった。 最初の15分は「現代の会社員が抱えるリスク」の話だった。 年金崩壊、物価上昇、終身雇用の終わり。 北村も薄々感じていたことを、データと言葉で丁寧に並べてくる。 次の20分は「コミュニティビジネスの仕組み」の話だった。 ネットワーク、レベニューシェア、パッシブインカム。 カタカナが多く、話がぐるぐると回る。 北村は途中から「これ、MLMだな」と確信したが、 相槌を打ちながらコーヒーを飲み続けた。 田口:「実際に咲ちゃんも3ヶ月で月30万を達成してますし、本人に一番の証人になってもらえるかなと。ね、咲ちゃん。」 真田:「はい。最初は信じてなかったんですけど、本当に変わりました。」 北村:(心の声)「そうか。30万か。ルノアールで話す内容じゃないな。」 それからさらに30分。商品説明、プラン説明、成功事例の紹介。 合計1時間半。 北村は途中からメモを取るふりをしてスマホで「MLM 見分け方」を検索していた。 完全に一致していた。 話が一通り終わると、田口は爽やかな笑顔で立ち上がった。 田口:「今日は貴重なお時間、ありがとうございました。ご検討いただけると嬉しいです。」 北村:「ありがとうございました。」 田口はお金をテーブルの上に置き颯爽と去っていった。 妙に後味のいい帰り方だった。 【第五幕】勧誘の終わり、そして 二人きりになったルノアール。 真田が期待を込めた目でこちらを見てくる。 真田:「どうでした?」 北村:「いや、興味ないですね。」 真田:「……えっ。」 北村:「MLMですよね。勉強になりましたけど、自分には合わないです。」 真田は一瞬固まった。 北村は心の中で「これで終わりか」と思った。 出会いの一つもない41歳の土曜日の終わり方として、まあ妥当だと。 しかし。真田がおもむろに立ち上がり、北村の隣の席に移動してきた。 肩と肩がほぼ触れるほどの距離に座る。 北村:(心の声)「…………え?」 真田は北村の耳元に顔を寄せた。 その距離5センチ。息がかかりそうな近さでゆっくりと囁く。 真田:「ゆっくりお話ししたいから……静かなところに行きませんか?」 北村:「はい。」 北村:(心の声)「断れなかった。なんで今日2回目も断れなかったんだ俺。」 二人はルノアールを出て、新宿の街を5分ほど歩いた。 特に行き先を確認することなく、真田が先に立って歩いた。 二人が入ったのは清潔感のあるシティホテルだった。 部屋に入り、ベッドに並んで腰を下ろす。 静かな部屋に空調の音だけが流れる。 北村:「……普段からこうやってホテルに誘って、会員になってもらうように勧誘しているんですか?」 真田:「普段は絶対にやらないです。ホテルに来たのは今回が初めてです。」 北村:「そうなんですか。まあ私はホテルに来たからって会員になる気はありませんよ。」 沈黙。 真田が何か考えているような顔をしていた。 北村は続きを待った。 すると真田は、突然北村の腕にしがみついてきた。 体を寄せ、少し上目遣いになって、恥ずかしそうな顔でこちらを見てくる。 真田:「私が入会金、払います。だから入ってください。」 北村:「…は?」 「入会金を自腹で払う」それはつまり自分への投資ではなく相手への投資だ。ビジネスとして完全に破綻している。 北村:「なんでそこまでして入ってほしいんですか!?」 真田が少し頬を赤らめながら、北村の腕をさらに強く握った。 真田:「北村さんと人生のパートナーとして、ビジネスパートナーとして、一緒にいたいと思って。」 北村:「いや、それはわかりましたけど、なんでそう思ったんですか。今日初めて会いましたよね?」 真田:「実は待ち合わせで最初に会った時から、ずっと気になってたんです。」 北村:「気になってた?」 真田:「匂いが。すごく、好きで。」 北村:「はじめて会った時から?」 真田:「新宿東口で北村さんを見つけた時に近づいたら匂いがして。その瞬間、正直……勧誘するのやめようかと思いました。」 北村:「え。」 真田:「普通にお茶してそのまま帰ればいいかなって。田口さんに連絡して『今日なしで』って送ることも考えた。」 北村:「なんで結局したんですか。勧誘。」 真田が少し俯いた。 恥ずかしそうというより、どこか真剣な顔だった。 真田:「もし北村さんとこれから先も会い続けるなら。人生のパートナーになるなら。こういうことをやってる私のことを、最初から隠したくなかった。」 北村:「……。」 真田:「変ですよね。勧誘しておいて『隠したくなかった』って。」 北村:「変ですよ。かなり。」 真田:「わかってます。」 北村:(心の声)「でも……筋は通ってる。歪んだ筋だけど、ちゃんと通ってる。」 嘘をついている顔ではなかった。本当に少し困ったような顔をしていた。 真田:「なんの匂いか聞いてもいいですか。」 北村:「ステラホワイトという練り香水です。このアプリを教えてくれた部下に今日女性と会うことを話したらオススメされてAmazonで購入してみたんです。」 真田:「すごく良い匂いです。……本当に。ずっとそばにいたい。」 それから少し経って。真田は北村の肩に頭を預け静かにこう言った。 真田:「ビジネスのことは本当に一緒にやってみたいと思ってる。でもそれ以上に北村さんのことが気になってるのは本当です。」 北村:「ビジネスの勧誘と個人的な感情、混ざってませんか。」 真田:「混ざってると思います。でも両方本当のことです。」 北村:(心の声)「正直すぎる。この子、正直すぎる。」 北村は深く息を吸った。 北村:「わかりました。入ります。」 #漫画 #マンガ #モテおじ #モテるおじさん #pr

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ある平日の夜。拓海はソファでスマホをいじっていた。 LINEの通知が来た。 グループへの招待だ。 グループ名:「蒼葉中学校 第3期生 同窓会」 拓海:(心の声)(……同窓会) 参加ボタンを押すと、見覚えのある名前がずらりと並んでいた。 懐かしい名前。 でも特別嬉しくはない。 拓海の中学校生活は、決して輝かしいものではなかった。 部活には入っていなかった。 友達もそれほど多くはなかった。 女子とまともに話したことは──ほぼなかった。 平凡で地味で記憶にも残らないような3年間だった。 参加を断ろうとした。 その時一つの名前が目に飛び込んできた。 拓海:(心の声)(……え) 西村 あやか。 拓海:(心の声)(この人って……俺の初恋相手じゃないか) Scene 2|回想 27年前。中学1年生の入学式。 桜が散る体育館の中で、拓海はクラス分けの張り紙を見ていた。 隣に一人の女子が立っていた。 その瞬間、拓海の時間が止まった。 こんなに可愛い子が世の中にいるのか。 それが拓海の正直な感想だった。 同じクラスだとわかった時、心臓が跳ねた。 しかし拓海は根暗だった。 話しかけることなど到底できなかった。 ただ遠くから見ているだけの1学期が過ぎた。 夏休みに入る直前、拓海は決意した。 誰にも見られていない校舎裏。 拓海:「あの……好きです。付き合ってください」 あやか:「……ごめんなさい」 それだけだった。 清々しいほどの、あっさりとした失恋だった。 しかし本当の地獄は夏休み明けに始まった。 廊下を歩いていると知らない男子に声をかけられた。 友達:「西村に告白したんだって?」 拓海:「なんで知ってんだよ」 友達:「お前のクラスメイトから聞いた」 他のクラスにまで広まっていた。 廊下のどこかから女子の声が聞こえた。 女子A:「あやかちゃん可哀想」 女子B:「なんで告白なんてしたんだろうね」 笑いを含んだ声だった。 さらに追い打ちをかけるように夏休み中にあやかはクラスで一番イケメンと付き合い始めたという話が広まった。 拓海:「……結局、顔かよ」 それ以来、拓海は女子とまともに話さなくなった。 自分に自信を持てなくなった。 27年間それは変わっていない。 Scene 3|参加を決める 現在に戻る。 拓海はスマホを持ったまま、しばらく天井を見つめた。 拓海:「久しぶりに会ってみたい気持ちはあるけど……気まずいな」 あの時のことを、あやかは覚えているだろうか。 覚えていたとしてどんな顔をすればいいのか。 拓海は5分悩んだ。 そして参加ボタンを押した。 拓海:(心の声)(40歳にもなって引きずるのも情けないか) Scene 4|同窓会当日 土曜日の夜。居酒屋の大広間。 指定された店に着くと既に十数人が集まっていた。 見覚えのある顔、見覚えのない顔。 クラスメイトの男性:「拓海か!?変わらないな!」 拓海:「久しぶり。みんなも変わらないね」 社交辞令の会話をこなしながら拓海は席についた。 ビールを注文し男性陣と話す。 隣の女性グループには今日も話しかけられない。 27年経っても、それだけは変わっていなかった。 拓海:(心の声)(……我ながら成長がない) 予定の時間を30分過ぎたころ。 大広間の入口が開いた。 女性:「遅れちゃってごめんなさい」 その声に拓海は思わず顔を上げた。 拓海:(心の声)(この顔……絶対そうだ) 拓海:(心の声)(あやかちゃんだ) 27年の時を経て、あやかはさらに美しくなっていた。 中学生の頃の可愛らしさが、大人の色気へと変わっている。 拓海:(心の声)(大人になって、さらに美人になったな) あやかは拓海から離れた席に座った。 周囲の旧友と楽しそうに話している。 声だけが聞こえてくる。 どうやら中学時代のイケメンとは、高校1年の時に別れたらしい。 今は職場で出会った人と結婚して、専業主婦をしているそうだ。 拓海:(心の声)(そりゃそうだよな。こんなに綺麗なんだから結婚してるよな) 拓海はビールを一口飲み男性陣との会話に戻った。 Scene 5|隣に来た お酒が進むにつれ席の移動が始まった。 各々が懐かしい旧友のもとへと移動していく。 拓海は動かなかった。 動き方がわからなかった。 ビールを3杯目に差しかかったころ。 拓海の隣の席が、音を立てて引かれた。 あやか:「拓海君だよね?」 拓海:「……はい」 あやか:「やっぱりそうだ。久しぶりだね」 あやかは屈託なく笑っていた。 あの夏休み前の出来事など、微塵も気にしていない様子だった。 拓海:(心の声)(忘れているのか。まあ……27年前の話だしな) あやか:「今、何してるの?」 拓海:「会社員です。IT関係の仕事を」 あやか:「そうなんだ。なんか落ち着いた雰囲気になったね」 拓海:「あやかさんは……専業主婦とか聞こえてきたけど」 あやか:「そう。結婚してから仕事辞めて」 あやか:「拓海君は?結婚は?」 拓海:「していないです。ずっと独身で」 あやか:「え、もったいない」 拓海:(心の声)(もったいない、という言葉をかけてもらえる日が来るとは思わなかった) 会話は思いのほか弾んだ。 27年のブランクを感じさせない自然なやり取りだった。 Scene 6|様子がおかしい 時間が経つにつれ、あやかの様子が変わってきた。 最初は適切な距離感で話していたのに気づけば肩が触れるほど近くなっている。 拓海:(心の声)(……近くないか) 拓海:(心の声)(お酒が入っているせいか) あやかはグラスを傾けながら拓海の耳元に顔を寄せた。 あやか:「ねえ、同窓会終わったらちょっと話したいことがあるんだけど」 拓海:「話したいこと?」 あやか:「みんなには見られないようにどっかで合流しよ。連絡するから」 拓海:「……はい」 二人は素早く連絡先を交換した。 拓海:(心の声)(話したいこと……なんだろう) 拓海:(心の声)(あの頃の告白の話か?) 拓海:(心の声)(いや、27年越しにそんな話は……) Scene 7|合流 同窓会が終わり人々が散っていく。 2次会に流れる者、帰宅する者。 拓海は帰るふりをして駅の近くのコンビニ前で待った。 10分後 あやか:「待たせてごめんね」 拓海:「いえ」 あやかは歩き出した。 拓海はその隣を歩く。 拓海:「あ、あのー」 あやか:「うん?」 拓海:「話したいことって……なんですか?」 あやか:「それはあとでゆっくりした時に話すよ」 拓海:(心の声)(ゆっくりした時……) 二人は夜の街を歩き続けた。 やがて街の雰囲気が変わってきた。 拓海:(心の声)(……この辺ホテル街じゃないか) あやかは迷いなく歩いている。 拓海:「あ、あの……」 あやか:「大丈夫だから」 あやかは振り返り拓海の腕を掴んだ。 そのままホテルの入口へと引っ張っていく。 拓海:「ちょ、ちょっと待って」 しかし体は、引っ張られるまま動いていた。 Scene 8|部屋の中で ホテルの一室。 ソファに座るとあやかがすぐ隣に体を寄せてきた。 あやか:「やっと2人きりになれた」 拓海:「えっ……どういうこと!?なんでホテルに来たんですか?」 あやか:「さっき居酒屋で隣に座った時にね」 あやかは静かに言った。 あやか:「拓海君から、すごく良い匂いがしたの」 拓海:「匂い?」 あやか:「それがすごい好きな匂いで……もっと一緒にいたいって思っちゃったんだ」 拓海は頭の中で、今日の準備を振り返った。 家を出る前に先日Amazonで買った練り香水のステラホワイトを塗っていた。 拓海:「でも……匂いが好きでも、俺ですよ?」 拓海:「中学の時、イケメンの同級生と付き合ってたじゃないですか。ああいう人が好きなんじゃないんですか?」 あやかは少し笑った。 あやか:「その時は若かったからね。顔で選んでたけど……大人になると顔だけじゃないって思うようになったんだよ」 あやかは拓海の腕に手を回し首元に顔を近づけた。 深く匂いを吸い込む。 あやか:「……好き、この匂い」 拓海:「そういえば……話したいことって、なんだったんですか?」 あやかは顔を上げ拓海を見た。 あやか:「話したいこと?」 あやか:「あー……特に何もないよ」 拓海:「え」 あやか:「ただ一緒にいたいって思ったから、嘘ついちゃっただけ」 あやかは少し赤い顔で拓海をまっすぐに見つめた。 あやか:「迷惑だった?」 拓海:「……そんなことはないです」 あやか:「よかった」 あやかは静かに笑い拓海の肩に頭を預けた。 Scene 9|夜が明ける前に 数時間後。 二人はホテルを出た。 あやか:「2次会行ってる人たちもいるから、見られたらマズいし……ここで解散しよ」 拓海:「そうですね。気をつけて帰ってください」 あやか:「拓海君もね」 あやかは少し躊躇ってから、小さく笑った。 あやか:「……またね」 拓海:「またね」 拓海はその背中が見えなくなるまで、その場に立っていた。 27年前、夏休み前の校舎裏。 「ごめんなさい」と言ったあの顔が、頭をよぎった。 拓海:(心の声)(……同じ人間とは思えないな) 苦笑いしながら拓海はゆっくりと駅へ向かった。 拓海は歩きながら、ふと立ち止まった。 自分の手首を鼻に近づける。 ステラホワイトの香りがまだ残っていた。 拓海:「……お前か」 拓海は少し笑いまた歩き出した。 #漫画 #マンガ #モテおじ #モテるおじさん #pr

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土曜日の午前10時。市立図書館。 開館と同時に入ってくる常連客の中に坂本誠二の姿があった。 毎週末、必ずここに来る。 特別な理由はない。 静かで本があって誰も話しかけてこない。 それだけで十分だった。 図書館の自動ドアをくぐりいつもの棚へと向かった。 Scene 2|1冊目 館内には数十人の利用客がいた。 本を読む人、ノートを広げて勉強している人、静かに眠っている老人。 誠二はいつものように文学コーナーの棚を眺めた。 背表紙を指でなぞりながら今日の1冊を選ぶ。 1冊選んで席に腰を下ろす。 誠二:(心の声)(さて) 本を開いた瞬間、外の喧騒が遠くなる。 これが好きだった。 2時間ほどで読み終え本を棚へ返しに向かった。 Scene 3|2冊目、そして異変 本棚の前に立ち2冊目を探す誠二。 背表紙を眺めながら右へ左へと視線を動かす。 ふと気づくと、すぐ隣に一人の女性が立っていた。 同じように本棚を眺めている。 黒縁眼鏡。落ち着いた服装。 誠二は特に意識せず2冊目を決めて席へ戻った。 本を開き読み始めて数分後のことだった。 館内の奥の方で人が動く気配がした。 誠二は無意識に視線を上げた。 一人の女性が荷物をまとめて席を立っていた。 さっき本棚の隣に立っていた女性だ。 女性はゆっくりとこちらへ向かって歩いてくる。 そして誠二の隣の席に、静かに座った。 誠二:(心の声)(……え) 誠二はさりげなく館内を見渡した。 空席は他にいくつもある。 誠二:(心の声)(あれ、さっきあっちに座ってた女性だよな) 誠二:(心の声)(他にも席空いてるのに、何でここに来たんだ) 女性は荷物を整え静かに本を開いた。 誠二を見ることもなくごく自然に読み始めている。 誠二:(心の声)(……気のせいか) 誠二も本に視線を戻した。 たださっきよりほんの少しだけ集中できなかった。 Scene 4|3冊目、手が触れる 2冊目を読み終え誠二は本棚へ返しに向かった。 3冊目を探しながら棚を眺めているとまた隣に気配がした。 誠二:(心の声)(……また来た) さきが誠二のすぐ隣に立っていた。 同じように本棚を眺めている。 誠二:(心の声)(次はこれにするか) 誠二が手を伸ばすとさきの手が同じ本に触れた。 誠二:「あっ、すみません」 さき:「こちらこそ、ごめんなさい」 二人の手が一瞬重なって離れた。 誠二:「よかったら先に読んでください。私は違うのを読むので」 さき:「いえいえ、それは申し訳ないです。私が後から取ろうとしたのでお先にどうぞ」 誠二:「気にしないでください。私は後で大丈夫ですよ」 さきは少し黙り込んだ。 一拍置いて息を飲む。 さき:「それでは……私、隣に座っているので、一緒に読みませんか?」 誠二:「……」 思考が、0.5秒止まった。 誠二:「……私は、それで構いませんよ」 さき:「ありがとうございます」 さきは静かに微笑んだ。 Scene 5|隣で読む 二人は席に戻り同じ本を並んで読み始めた。 言葉はほとんどない。 ページをめくる音だけが二人の間に存在していた。 誠二:(心の声)(この状況は一体なんだ) 誠二:(心の声)(何で若くて可愛い女の子が私の隣で一緒に本を読んでいるんだ) 誠二はふと思い出した。 先日、会社で部下に加齢臭の悩みを打ち明けた時のことだ。 部下:「部長、これ使ってみてください。清潔感があってすごく良い香りなのでオススメですよ」 誠二:「貰っていいのか?」 部下:「いいですよ!あとちょっとしか残ってないですけど(笑)」 貰った練り香水のステラホワイトを今朝、家を出る前に塗ってきたんだ 誠二:(心の声)(加齢臭の悩みを話したら練り香水を渡されるとは思わなかったが) 誠二:(心の声)(まさか……それのおかげか?) 信じがたかった。 しかし他に説明がつかなかった。 時々、隣からさきの視線を感じた。 誠二:(心の声)(……気のせいではない) 誠二は冷静を保ちながら本のページを追い続けた。 ただ内容はいつもの半分も頭に入らなかった。 Scene 6|図書館を出る 3冊目を読み終え誠二は席を立った。 誠二:「じゃ、返してきますね」 さき:「ありがとうございます」 本を棚に戻し席に戻ってくる。 誠二:「私はそろそろ帰りますね」 さき:「あっ……私ももう帰ります」 二人は荷物をまとめ並んで図書館を出た。 春の午後の光が二人を包んだ。 さき:「本を読むのが趣味なんですか?」 誠二:「はい。好きで、週末はいつも来ています」 さき:「そうなんですね。私も最近本を読むのにハマっていて…今日、初めてここに来たんです」 誠二:「そうでしたか」 さき:「私もこれからここに通ってみようかな」 さきは少し恥ずかしそうに視線を足元に落とした。 誠二:「そしたら、またいつかここで会えるかもしれないですね」 さき:「はい」 さきは顔を上げ誠二を見た。 さき:「その時は……また隣で一緒に読んでも良いですか?」 誠二:「構わないですよ」 さき:「やったー、嬉しいです」 さきはぱっと表情を明るくした。 さき:「ではまた、会えるのを楽しみにしています」 そう言ってさきは軽やかな足取りで去っていった。 誠二はその背中をしばらく見送っていた。 Epilogue|新しい楽しみ 帰宅後。誠二はソファに座りスマホを手に取った。 今日のことを静かに振り返る。 本棚での偶然。 隣に移動してきた女性。 一緒にページをめくった午後。 そして「また会えるの楽しみにしています」という言葉。 スマホを開き、Amazonの検索欄に打ち込む。 「ステラホワイト」 誠二:(心の声)(これからあそこで会う機会も増えるかもしれない) 誠二:(心の声)(新しく買っておくか) カートに入れて即注文。 誠二はスマホを置き天井を見上げた。 週末の図書館がずっと好きだった。 静かで本があって誰も話しかけてこない。 でも今日からもう一つ楽しみが増えた。 誠二:(心の声)(来週も、行くか) 口元に小さな笑みが浮かんでいた。 #漫画 #マンガ #モテおじ #モテるおじさん #pr

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金曜日。夜22時。 相沢ゆうなはアパートの階段を重い足取りで上がっていた。 ゆうな:「今日も疲れたー」 6連勤の最終日だった。 バイト先のカフェで6時間立ちっぱなし。 足の裏が鉛のように重い。 部屋に入り鞄を床に投げる。 ゆうな:「明日、友達と出かけるの楽しみだな」 それだけが今週の心の支えだった。 着替えようとクローゼットを開けた瞬間。 ゆうな:「……あっ」 連勤ですっかり忘れていた。 明日着ていく服がない。 下着もない。 ゆうな:「今日はもう遅いし今から洗濯したら周りに迷惑だよね……」 ゆうな:「お金もったいないけど……コインランドリー行くしかない」 ゆうなは洗濯物をまとめてカゴに入れ近所のコインランドリーへと向かった。 Scene 2|コインランドリーへ 夜22時15分。24時間営業のコインランドリー「コインズ」。 店内は無人だった。 ゆうなは手際よく洗濯物を機械に放り込み、スイッチを押した。 ゆうな:「洗濯と乾燥合わせて1時間か」 ゆうな:「1回家帰ってご飯食べちゃおう」 ゆうなは店を出た。 その時、気づかなかった。 洗濯物を入れる際に、ブラジャーが一枚、床に落ちていたことを。 Scene 3|克己の夜 一方その頃。会社の飲み会が終わり、田中克己は千鳥足で帰宅していた。 50歳。会社員。 特に自慢できることは何もない。 22時半。玄関のドアを開ける。 克己はリビングのソファにゴロンと倒れ込んだ。 克己:「いや~、飲みすぎた。明日は仕事休みだし、風呂入っていっぱい寝るぞー」 起き上がり洗面所に向かうと積み上がった洗濯物のカゴが目に入った。 克己:「……そういえば1週間分溜まってたな」 克己:「コインランドリー行ってくるか」 克己は洗濯物をまとめてビニール袋に突っ込み家を出た。 Scene 4|発見 夜23時。コインランドリー「コインズ」。 店内は無人だった。 克己は洗濯物を機械に入れ、スイッチを押した。 克己:「さて帰るか。」 踵を返した瞬間、床に何かが見えた。 克己:「なんか落ちてるな。タオルか?」 近づいてみる。 それは、タオルではなかった。 克己:「おいおいおい」 克己:「ブラジャーが落ちてるぞ!」 克己は思わず声に出した。 店内に響いた。 無人で良かった。 克己は少し考えた。 克己:(心の声)(知らないふりして帰るか) 克己:(心の声)(でも誰かのものだしな) 克己:(心の声)(落とし物BOXに入れておくのが正解だろ) 答えはすぐに出た。 克己はブラジャーを拾い上げた。 そして──気づいたら、顔が近づいていた。 克己:「いかんいかん!」 克己は勢いよく顔を引いた。 克己:(心の声)(酔っているせいか、匂いを嗅いでしまいそうになってしまった) 克己:(心の声)(50歳にもなって何をやってるんだ俺は) 克己は理性を取り戻し、落とし物BOXへと向かった。 その瞬間。 コインランドリーのドアが、勢いよく開いた。 Scene 5|冤罪 入ってきたのは──若い女性だった。 ゆうな:「何してるんですか!?」 克己:「え」 ゆうなの目が、克己の手元に釘付けになっていた。 ゆうな:「それ、私の下着です!」 克己:「あっ違う!これは床に落ちてたので落とし物BOXに──」 ゆうな:「嘘だ!下着泥棒!」 克己:「ち、違います!本当に落ちてたんです!」 ゆうなは克己に近づきブラジャーを力強くひったくった。 ゆうな:「警察呼びますよ」 克己:「呼んでください!本当に落ちてただけなので!」 克己:(心の声)(でも顔を近づけかけたのは事実だ) 克己:(心の声)(それは言えない) 二人の間に、険悪な沈黙が流れた。 ゆうなは克己を睨みつけながら、スマホを取り出した。 その時だった。 ゆうなの鼻が、かすかに動いた。 ゆうな:(心の声)(……?) 怒りで頭に血が上っていたはずなのに。 何か甘い香りが漂ってくる。 ゆうな:(心の声)(なんの匂いだろう) ゆうなは思わず克己との距離を詰めていた。 克己:「……あの、近いんですが」 ゆうな:「……っ」 ゆうなはハッとして一歩後ろに下がった。 ゆうな:(心の声)(なに、今。なんで近づいた私) スマホを持つ手が止まっている。 ゆうな:(心の声)(この匂い……なんかすごく好きかも) 克己はゆうなが急に黙り込んだので恐る恐る様子をうかがった。 克己:「……あの、信じてもらえないかもしれないんですけど、本当に拾っただけで」 ゆうな:「……」 ゆうな:「ねえ、何かつけてます?」 克己:「え?」 克己は今日の飲み会の時 克己:「……なんか良い匂いがするな」 克己:「お前、何かつけてるのか?」 部下:「あ、気づきました?ステラホワイトっていう練り香水なんですよ」 克己:「練り香水?」 部下:「Amazonで買えるんですけど田中部長も付けてみますか?」 克己:「じゃ……ちょっとだけ付けてみようかな」 部下から良い匂いがしたので何か付けているか?と聞いたところ ステラホワイトという練り香水を教えてもらった。 そして今に至る。 ゆうな:「匂い。香水か何か」 克己:「あ……練り香水を少し。ステラホワイトっていう」 ゆうな:「ステラホワイト」 ゆうなは克己の首元に顔を近づけ、静かに匂いを吸い込んだ。 ゆうな:「……いい匂い」 ゆうな:「さっきはごめんなさい」 克己:「え?」 ゆうな:「下着泥棒とか言って」 克己:「まあ、状況的にそう見えますよね」 ゆうな:「この匂い嗅いでたら、なんかもう怒れなくなっちゃいました」 ゆうな:「その香水ってAmazonで買えます?」 克己:「買えますよ」 ゆうな:「……彼氏につけさせようかな」 克己:(心の声)(彼氏いるのか) 克己:「良い選択だと思います」 ゆうなはくすっと笑い ゆうな:「ありがとうございました。下着、拾ってくれて」 克己:「いえ……疑われましたけど」 ゆうな:「ごめんなさい」 ゆうな:「でも……おかげで良い匂いに出会えました」 ゆうなはそう言って、自分の洗濯物を取り出しカゴに入れコインランドリーを出ていった。 克己はしばらく閉まったドアを眺めていた。 克己:「冤罪にならなくて良かった」 克己は心の底からそう思い洗濯が終わるのを店内で静かに待つことにした。 #漫画 #マンガ #モテおじ #モテるおじさん #pr

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