エピローグ ― 君へ 夜のスタジオで、 俺はペンを走らせていた。 うまく言葉にできない感情が、 胸に溜まっていた。 失った恋。 守れなかった日常。 それでも確かに、 人生の一部だった時間。 誰かを本気で想ったから、 今の俺がいる。 書きながら、 ふと彼女の顔が浮かんだ。 もう届かなくていい。 でも、消えないでいてほしい。 そんな気持ちで、 最後の一行を書いた。 ——君へ。 この曲が、 誰かの背中をそっと押せたなら。 あの夜、 手を離してくれた彼女にも、 ちゃんと届く気がした。 別々の道を選んだけど、 同じ想いが、 今もどこかで生きている。 それでいい。 恋は終わっても、 愛は、形を変えて残るから。 〜彼女側の「君へ」を 聴いた夜〜 夜、子どもが眠ったあと。 洗い物を終えて、ソファに座ったまま動けなくなった。 テレビから流れてきた曲。 イントロの数秒で、分かってしまった。 ——ああ、これは。 画面の中の彼は、 遠い人になっていた。 誰のものでもなく、 誰かの夢になっていた。 それなのに。 言葉の端々が、 音の隙間が、 あまりにも知っている感情で。 私はリモコンを置いて、 ただ聴いた。 泣かなかった。 昔みたいに、 胸が張り裂けることもなかった。 でも、 静かに、深く、 染みてきた。 あの夜、 何も言わずに手を離したこと。 彼の背中を押したこと。 自分の人生を選んだこと。 全部、 間違ってなかったと 初めて思えた。 「……ちゃんと、生きてるね」 小さくそう呟いて、 私はカーテンを閉めた。 曲が終わる頃、 心の中でだけ、答えた。 ——ありがとう。 #timelesz#寺西拓人#妄想シリーズ #君へ
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