Woomy-TikTok ランキング

空白代行

ここで小説を書いてます
本を読むきっかけになりたいです
↓『#90秒で恋がしたい』発売中.⊹˖ᯓ★. ݁₊

ご本人の方はこちら
フォロー中
49
フォロワー
141,077
総いいね
8,074,504
動画数
582
更新: 2026/09/30
PR依頼 @un_underscore さんはWoomy未登録です。依頼は保管され、登録されると届きます
PR依頼フォーム
PR投稿パフォーマンス 1件
平均
Average
再生
29,031
保存
52
いいね
979
コメント
4
シェア
3
DL
0

中央値
Median
再生
29,031
保存
52
いいね
979
コメント
4
シェア
3
DL
0
選択中投稿のリアルタイム集計
0 件選択されています
再生(平均) 0
再生(中央値) 0
保存(平均) 0
保存(中央値) 0
投稿一覧 84 件
最新のPR投稿2件
空白代行のTikTok投稿
PR
0:56
29,031 29,031回再生 投稿から32日23時間11分後(791時間)(2026.08.24 16:20時点で取得) 30日経過・確定

『19時 シンデレラ城で待ってる』 修学旅行2日目、バスの中で元彼から手紙が回ってきた_ バスは、ディズニーに向かっていた_ 「なに、だれから?」 となりで寝ていた親友が、覗いてきた_ 「前から回って来た」 元彼は、私の3つ前の席にいた_ 手紙には、元彼の名前が書いてあった_ 「ええ、あんたら別れたばっかよね?」 「うん、普通に気まずい」 「なんて書いてるの?」 「19時に、シンデレラ城で待ってるって」 「行くの?」 「行けないよ」 「なんでよ」 親友が、私の手に触れた_ 「ちょっと」 私は、手紙を引っ込めた_ 「見せてよ」 「やだ」 「あんたさ、転校すること、まだ言えてないんでしょ?」 「声大きいって」 バスが揺れた_ 「ほんとはまだ好きって、伝えなよ」 「いいって、私はそもそも、遠距離したくないから振ったんだし」 私は、窓の外を見た_ 「後悔するよ?」 「しないよ、私より可愛い子はクラスにたくさんいるし、その子たちは週5で会えるんだよ? すぐに薄れるって」 「絶対そんなことないって」 親友が、私のほほをつついた_ 「もういいって、終わったことだから」 私が顔を逸らすと、親友はため息を吐いた_ カバンを開けて、旅のしおりを取り出した_ 「終わってないって」 そう言って、表紙の端を破った_ 「ここにさ、最後のラブレター書いてあげな」 紙切れと一緒に、ペンを渡してきた_ 「もういいって」 「なんで?」 「ほんとに終わったことだから」 私は、手紙を握り締めた_ 「泣いてるじゃん」 親友が、私の右ほほに触れた_ 「泣いてない」 私は、まぶたを擦った_ バスが停まって、 親友と目が合った_ 「なんでさ、泣いたあとの顔って、こんなにも盛れるんだろうね?」  親友は笑って、私の前髪を整えた_ 「可愛くないし……」 私は首を振った_ 「その顔、あいつにも見せてあげな」 親友はそう言って、元彼を指差した_ 「むりだって……」 「だいじょぶ、あたしは先に降りて待っとくから」 親友が、私の頭を撫でて立ち上がった_ 「ちゃんと伝えなよ? 転校しても好きってこと」 親友がバスを降りると、元彼が立ち上がった_ こっちを見て、すこしだけ笑った_ 私が目を逸らすと、元彼は歩き出した_ 「待って」 そう、言いたかった_ でもいまさら、 呼び止めることはできなかった_ 元彼は、バスを降りてしまった_ 私は、後ろを振り返った_ 「あ、ちょっといい?」 「え?」 後ろにいた子と、目を合わせた_ 「これ、回って来た」 私は、手紙を渡した_ 「え……」 その子は、いちばん後ろの席だった_ さっき私は、 『これ、いちばん後ろまで回して』と、 前の席の子から手紙を受け取った_ 私は中身を勝手に見て、 勝手に傷ついた_ 『19時 シンデレラ城で待ってる』 それは、私宛てではなかった_ 修学旅行2日目、 元彼はちゃんと、 私を元カノにしてくれた_ もう私は、 心置きなく転校できる_ そう、 思うしかなかった_ それでもまだ、 私だけが、 バスを降りることができなかった_ 「ほら、行くよ」 声がして、 私はゆっくりと、顔を上げた_ ひさしぶりに笑って、 また私は、歩き出した_       #人生最終日の僕よ #wacci #PR    

著作権楽曲
979 いいね 979投稿から32日23時間11分後
(791時間)

(2026.08.24 16:20時点で取得)
4 コメント 4投稿から32日23時間11分後
(791時間)

(2026.08.24 16:20時点で取得)
3 シェア 3投稿から32日23時間11分後
(791時間)

(2026.08.24 16:20時点で取得)
52 保存 52投稿から32日23時間11分後
(791時間)

(2026.08.24 16:20時点で取得)
0 DL 0投稿から32日23時間11分後
(791時間)

(2026.08.24 16:20時点で取得)
2026.08.24 16:20 時点 30日経過・確定 投稿から32日23時間11分後(791時間)
空白代行のTikTok投稿
PR
0:59
1,154,049 1,154,049回再生 投稿から72日20時間16分後(1,748時間)(2026.04.09 15:12時点で取得) 30日経過・確定

「BeReal やってる?」入学式から今日まで20回は聞かれた_ 高校生になって10日目、私はみんなに「やってない」と嘘をつきまくった_ 中学のみんなとは離れてしまったから、新しく友達を作らないといけないのに、私はクラスのみんなと繋がりを持とうとしなかった_ 今日も相変わらず、校舎の隅にある非常階段でお弁当を食べていた_ デザートのポッキーを咥えていたら、下から階段を駆け上がって来る音がした_ 「やばい、2分経つって」 現れた男の子は私に気づくことなく、踊り場に立ってスマホを構えた_ 遠くに見える海を、BeReal で撮り始めた_ 私はその後ろで息を潜めていた_ 「え……」男の子が突然振り返って「びっくりしたあ」と、口角を上げた_ 画面を私に向けて「お化けかと思った」と、内カメに映り込んだ私を拡大した_ 私はポッキーを咥えたまま「は?」と、眉間にシワを寄せた_ 「ごめんごめん、すぐに撮り直すからちょっと待ってて」そう言って彼は、またスマホを海に向けた_ 私はポッキーをかじって「BeReal そんなに楽しい?」って、聞いた_ 彼は振り返って、「ぜんぜん」って笑った_ 私は「なのに撮ってるの?」って、笑った_ 彼はスマホを見つめて「友達が入院しててさ、外に出られないからこうして撮ってあげてるわけ」と、笑みを浮かべた_ 撮った写真を私に向けて「ほら、一緒に出かけてる気分になるでしょ?」と、スマホを揺らした_ 写真には、キラキラと光る海と彼の顔が映っていた_ 私は画面を見つめて「めっちゃ真顔じゃん」って、ポッキーを揺らした_ 彼はスマホを覗き込んで「そうかな?」って、首を傾げた_ 「撮ってあげようか?」私は立ち上がって、スカートを叩いた_ 「いやいいよ」彼が恥ずかしそうに笑うから、私は手にしていたスマホを彼に向けた_ 「ちょっと」 「はい、撮った」 私は、久しぶりにBeReal を撮った_ 「送るからスマホ貸して?」 「いやいいよ」 「なんで? めっちゃいい顔してるよ、ほら」 私は踊り場に降りた_ 「いやいいよ」 「送ってあげなよ? 笑ってる顔も見たいはずだよ?」 「いやあ、なんかキラキラの押し売りみたいで気が引けるって言うか……」 「ああ、私も映っちゃってるからか、ごめんごめん」 私はスマホを閉じた_ 手すりから身を乗り出して、海を見つめた_ 「案外、BeRealも悪くないね」私は言った_ 「そう?」 「だって、気兼ねなく生活を覗けるって、ある意味いちばんいい距離感だなって」 「まあ、そうかもね」彼も遠くを見つめて笑った_ 「ほんとはこうして、一緒に見られたらいちばんだけどね」そう言って彼は頬杖をついた_ 海を見つめる彼の横顔を、私はしばらく見つめた_ 「友達が退院したらさ、ここで3人で写真撮ろうよ」 私は言った_ 彼はこっちを向いて、軽く口角を上げた_ 「いいね」そう言って、また海を眺めた_   そのあと、教室に戻った私は衝撃の事実を知ることになる_   「え、先輩なの?」 「うん、その人、ふたつ上の先輩だよ?」 前の席のクラスメイトが、私のスマホを覗き込んで言った_ 「やば、私めっちゃタメ口使ってた……」 「ええ、いいじゃん」 「いやいやよくないって」 「だって、この先輩かっこいいって有名だよ? うちらのクラスにも、もうすでに沼ってる子いるもん」 確かに、画面に映る先輩の顔はよく見るとかっこよかった_ 「でもね、彼女いたらしいよ?」クラスメイトが小声で言った_ 「え」開いた口が塞がらない私に、クラスメイトは顔を近づけた_ 「なんか、心臓の病気で亡くなったらしい」 「え……」私は、スマホを握りしめた_ さっき先輩は言っていた_ 『ほんとはこうして、一緒に見られたらいちばんだけどね』 私は、クラスメイトの目を見つめた_ 「ねえ、どうしよう……」 「なに?」 「いや、なんでもない……」 私は、写真を見つめた_ 私は今日、あんなに嫌いだったBeReal を久しぶりに撮った_ あんなに繋がりたくなかったクラスメイトと、いまこうして向き合って話すことができていた_ 明日から、学校に来るのが楽しみになっていた_ それでも私は、また明日も校舎の隅に向かってしまう_ キラキラと光る海の向こうで、先輩のことを探してしまう_ 「もしかして、恋しちゃった?」 クラスメイトの声が、私の心臓を鳴らした_ 「え……」 スマホの中で、先輩が笑っていた_ 「私……」 そんなのダメだって、わかってるのに……   キラキラと、私のほほに光が差した_   「たぶん、好きかも……」                                  

著作権楽曲
46,511 いいね 46,511投稿から72日20時間16分後
(1,748時間)

(2026.04.09 15:12時点で取得)
47 コメント 47投稿から72日20時間16分後
(1,748時間)

(2026.04.09 15:12時点で取得)
344 シェア 344投稿から72日20時間16分後
(1,748時間)

(2026.04.09 15:12時点で取得)
4,088 保存 4,088投稿から72日20時間16分後
(1,748時間)

(2026.04.09 15:12時点で取得)
0 DL 0投稿から72日20時間16分後
(1,748時間)

(2026.04.09 15:12時点で取得)
2026.04.09 15:12 時点 30日経過・確定 投稿から72日20時間16分後(1,748時間)
すべての投稿新しい順
1:00
1,380,750 1,380,750回再生 投稿から4日16時間45分後(112時間)(2026.09.30 11:10時点で取得) 暫定・あと15日で確定

ママに「浮気された」って言ったら「じゃあ一緒に会いに行こっか」って、頭を撫でられた_ 「正気か?」 パパが、ソファから起き上がった_ 「あんたも来る?」 ママは笑って、車の鍵を手にした_ 「時間も時間やし、怖いからやめとけ」 パパは立ち上がって、ビールの缶をゴミ箱に捨てた_ 「じゃあ、パパは置いて行こ?」 「ねえママ、ガチ?」 「うん、リップだけ塗らせて?」 ママはそう言って、私のメイクポーチを出した_ 「使うね?」 「いいけど、本気で会うつもり?」 「とりあえず、向かお」 ママが髪を結ぶと、パパが指を鳴らした_ 「やっぱ行くわ」 「え?」 「プロスピのガチャ今日までやから、コンビニでチャージさせて」 パパはふらつきながら、靴下を履いた_ 「ではでは、出発しますか」 ママが、テレビを消した_ 「まじ?」 私は、パパと目を合わせた_ 「たまにはいいやん、3人でドライブ」 パパが片目を閉じて笑った_ 「まじか……」 私は、後部座席に乗せられた_ 「前に送ってあげたとこよね?」 ママはそう言って、エンジンを掛けた_ 「うん、パパの地元の近くだよ? ほんとに行くの?」 「ガソリンはちゃんとあるね」 ママはライトをつけて、車を発進させた_ 助手席でパパは、プロスピをしていた_ 「日付変わる前にさ、コンビニ寄ってほしい」 パパが、窓を外を指差した_ 「なんかほかに買ってこようか?」 「うん、飲み物お願い」 ママは、ウィンカーを出した_ 「あ、あと職場用のタイツもお願い、明日履くやつ伝線してたから」 ママはそう言って、駐車場に車を停めた_ 「黒よね?」 「うん、60デニール」 「はいよ」 パパは、ひとりでコンビニに向かった_ 「ねえママ、着くの12時すぎるよ?」 「いつも夜遅くまで電話してるじゃん、どうせあっちも起きてるでしょ」 「あっちの両親が、ぜったい引くって」 「やつを外に呼び出せばいいじゃん?」 「むりむり、ママも横にいるわけでしょ?」 「もちろん」 ママが笑うと、パパが走って来た_ 「みそきんあったよ」 「なんでひとつ?」 ママは、買い物袋を叩いた_ 「ひとり1個やったから」 「だったらラインしろよ」 ママはため息を吐いて、ハンドルを握った_ 「はい、オニチャ」 パパがお茶を渡して来た_ 「で、ママはコーン茶ね」 「そこに置いてて」 「あいよ」 コンビニを出ると、 体育館が見えた_ 「明日って、部活休み?」 「うん、映画観に行く予定」 私は、スマホを見つめた_ 「ちいかわ?」 「うん」 「ママも行こうかなあ」 「ええ、土曜出勤でしょ?」 「あ、夜じゃないの?」 「うん、朝イチで予約してる」 私は、スマホを開いた_ 彼氏にラインを送った_ 『明日の映画、キャンセルしましたか?』 すぐに既読が付いた_ 『いやまだしてない』 『じゃあ、友達と行くのでスクショ送ってください、お金はペイペイで返します』 『わかった』 スクショが送られて来た_ 「ママさ、明日何時から仕事なの?」 私は、鏡の中で目を合わせた_ 「んん、明日はバスで行くからね、早めに出るよ」 「パパは? ゴルフ?」 「うん、新しいクラブ買ったから、はやく試したくてウズウズしてる」 「そっか」 私は、スマホを撫でた_ ひとりで映画館は、ちょっとだけ不安だった_ 「ねえあんた、またクラブ買ったわけ?」 ママがため息を吐いた_ 「まあまあ、ボーナス入るから」 「ほんとさあ」 気づいたら私は、眠ってた_ 「ほら起きて」 肩を揺らされて、 顔を上げるとママが車を降りていた_ 「ついたよ」 「え……」 私は首を振った_ 外は真っ暗で、どこかわからなかった_ 「目、閉じて」 「え?」 「パパは、先に行って待ってるから」 ママはそう言って、私の目を塞いだ_ 「待って、なに?」 「いいから行くよ」 「ねえ待って」 「はい、腕掴んで」 「目隠しやめて?」 「はいはい、歩くよ」 「ちょっと……」 空気が、冷たかった_ 「ねえどこ?」 「すぐにわかるから」 「もしかしているの?」 「どうだろ」 ママは笑って、私の背中を撫でた_ 「はい、止まって」 ママの手が離れて、私はゆっくりと目を開けた_ 「え」 目の前には、田んぼが広がっていた_ 「ホタル……」 「そう、すごいでしょ?」 蛍光ペンみたいな光の粒が、ふわふわと浮いていた_ 「これを見るため?」 「うん、あんたは彼氏に会いたかっただろうけど」 「別に」 遠くのほうでパパが、スマホを見ていた_ 「ほんと、ホタルって不思議」 ママは腕を組んで笑った_ 「うん、初めて見た」 「これだけいるとさ、いちばんを選ぶのも大変そうじゃない?」 ママは笑いながら、しゃがみ込んだ_ 「ママはあの子かなあ、光り方がイケメン」 「どれ?」 「ほら、あのすみっこの」 「ええ、どこ?」 私もしゃがみ込んだ_ 「選び放題だよ、ほら、上も見てみ?」 「ん?」 顔を上げると、星がキラキラと光っていた_ 「わあ、これはやばい」 「でしょ?」 ママが肩を寄せて来た_ 「そうやってニコニコしてれば、どうせ男は寄って来るわけ」 ポケットの中で、スマホが震えた_ 「でも、悪い男も寄って来るよ」 私が下を向くと、ママは笑った_ 「お風呂場で泣くくらいなら、学校でも泣いたらいいのに」 ママは私のほほをつついた_ 「ええ、嫌だよ」 「涙は武器だよ、みんなが目を離せなくなるんだから」 ママは立ち上がって、大きく背伸びをした_ 「パパは置いて行こっか」 ママが笑うと、パパが遠くで両手をあげた_ 「ガチャ、3回目でついに出たあ」 パパが走り出すと、ママが手を握った_ 「逃げよ」 私が笑うと、パパが大声をあげた_ 「ああ、用水路あるやん」 パパの片足がずぶ濡れになった_ 私はママと、お腹を抱えて笑った_ 「ちょっとさあ、助けてよ」 「車汚れるから歩いて帰ってね」 「ママ、ありがと」 私はちいさくつぶやいて、 パパを助けに走った_ 車の中で私は、 バラードまみれのプレイリストを消した_ 最近削除した項目を空っぽにした_ 彼から『話がしたい』ってラインが来てた_ 窓の外をすこし眺めて、 待ち受けだけは、彼の寝顔のままにした_ 「ねえママ、そう言えば写真撮るの忘れた」 「ええ、じゃあ彼氏と行って来な」 「はあい」 私は、彼のラインをブロックした_                                  

著作権楽曲
50,605 いいね 50,605投稿から4日16時間45分後
(112時間)

(2026.09.30 11:10時点で取得)
53 コメント 53投稿から4日16時間45分後
(112時間)

(2026.09.30 11:10時点で取得)
461 シェア 461投稿から4日16時間45分後
(112時間)

(2026.09.30 11:10時点で取得)
4,199 保存 4,199投稿から4日16時間45分後
(112時間)

(2026.09.30 11:10時点で取得)
0 DL 0投稿から4日16時間45分後
(112時間)

(2026.09.30 11:10時点で取得)
2026.09.30 11:10 時点 暫定・あと15日で確定 投稿から4日16時間45分後(112時間)
0:58
26,758 26,758回再生 投稿から5日16時間38分後(136時間)(2026.09.30 11:10時点で取得) 暫定・あと14日で確定

映画館で別れ話をされた「どうしてここでするの」って聞いたら「泣いても問題ないから」って言われた_ もう、ふたりで観ることのない映画の予告が、スクリーンに映し出された_ 私のお腹の中には、赤ちゃんがいる_ 150グラムにも満たない、ちいさな命_ この子ができてすぐ、母親から『まだ親になる資格はない』と言われた_ 彼は大学受験を控えていたし、私たちの両親は、子どもを産むことに反対した_ ふたりにとって、今日が最後のデートだった_ 「ごめんね、私のせいで」 私は、ハンカチを彼のひざの上に置いた_ 「ううん、ぜんぶ俺が悪いから」 彼は、ハンカチを握り締めた_ 「2年半も一緒だったから私、またラインしちゃうかも」 すこしだけ笑うと、彼がこっちを向いた_ 「俺も、おはようくらいは送るかも」 彼は下を向いて、ハンカチを口もとに当てた_ 私が産むなんて言わなければ、いまごろ彼と別れなくてもよかったのかもしれない_ 彼は、私の両親からあんなに酷いことを言われたのに、ずっと諦めなかった_ それでも、まだ高校生の私たちにとって、ふたりでどうにかできる問題ではなかった_ 何度も話し合って、決めたことだった_ 彼の止まっていた受験勉強も、何度も説得して、また始めさせた_ いまは私も、おばあちゃんの家で静かに暮らせてる_ きっと、クラスのみんなには笑われてるかもしれないけど、 この子の命だけは、守りたかった_ 「始まるね」 「うん」 私たちは、映画が終わってしまわないように、強く、手を握り合った_ 彼と過ごす、最後の121分が始まる_ 照明が落ちて、 スクリーンが光った_ まぶたの裏に、彼との日々が流れた_ 出席番号25番と26、 プリントはいつも、彼から受け取った_ そのうち目が合うようになって、 朝読書の本を交換し合ったり、 先生に見つからないように手紙を書いたり、 夏休みが明けた頃には、 手を繋いで帰るようになった_ となりを見ると、彼が背中を丸めていた_ 映画はまだ続いてるのに、彼は両手で顔を塞いでいた_ 私は、そっと彼の背中に触れた_ 彼の顔が上がって、私はもういちど手を繋いだ_ まばたきと同時に、 光があふれた_ そこには、ウェディングドレスを着た私がいて、タキシード姿の彼が、鏡の中で笑っていた_ 彼の両腕には赤ちゃんがいて、私がドレスを揺らすと、3人とも、真っ白な部屋で笑い声をあげた_ きっと、私のエンドロールには、かならず貴方の名前が入る_ 高2の冬、 彼が東京の大学に行くとわかったとき、 私はバスの中で子どもみたいに泣いた_ その日は学校に行けなくて、 昼過ぎに彼も学校を抜け出してきた_ 遠距離なんて、 大人がやることだと思っていた私は、 布団の中でずっと泣き続けた_ そんな私を、 彼はなにも言わずに抱きしめてくれた_ 窓の外からは、公園で遊ぶ子どもたちの声がしていた_ 彼の制服からは、太陽の匂いがした_ 息を吸い込むと、 カーテンの影が、ゆらゆらと揺れた_ 耳もとに触れる息がくすぐったくて、 しわだらけのシーツの上で、 私たちはおでこを寄せ合った_ すこしだけ笑って、 初めて一緒に眠りについた_ 目を開くと、照明が上がった_ 彼はもう、となりにいなかった_ 私はお腹に手を当てて、身体を起こした_ オレンジ色の灯りを頼りに、すこし重たくなった足を絨毯に沈めた_ 扉が開いて、彼もまぎれた光の中に、私の身体は包み込まれていく_ 「だいじょうぶ、ふたりなら」 彼と交わした約束が、 私の足を止めた_ このまま、 しゃがみ込んでしまいたい_ 出口はそこなのに、 もうどこにも行きたくない_ それでも彼が、 こうなっても前に進めるようにと、 ここを選んでくれたのなら、 私は、歩き出さないといけない_ 店員さんと、目が合った_ これからはもう、 私ひとりで前を向かないと_ 「ううん、3人だよ」 彼の声がして、 私は、お腹を押さえた_ 顔を上げても、 彼はもういなかった_ でも、 左手にはまだ、 彼の温もりが残っていた_   『赤ちゃん、できたかも……』 『え?』 『ごめん、なんでもな……』 『なまえ、決めないとね?』   そうやって、 ふたりで決めたことだから_ きっと、 彼のエンドロールにも、 かならず私の名前は入る_ 漢字を思い出せなくてもいいから、 どんなにちいさくてもいいから、 出席番号26だけでもいいから、 どうか、 彼がこれから先、 誰かと幸せになったとき、 すこしでも私が、 貴方を照らせますように_ 映画館を出ると、 冷たい風が吹き抜けた_ いつかまた、 3人で、 内緒でもいいから、 映画館に来れますように_ つぎはそこで、 笑って会えますように_                                  

著作権楽曲
1,186 いいね 1,186投稿から5日16時間38分後
(136時間)

(2026.09.30 11:10時点で取得)
3 コメント 3投稿から5日16時間38分後
(136時間)

(2026.09.30 11:10時点で取得)
13 シェア 13投稿から5日16時間38分後
(136時間)

(2026.09.30 11:10時点で取得)
103 保存 103投稿から5日16時間38分後
(136時間)

(2026.09.30 11:10時点で取得)
0 DL 0投稿から5日16時間38分後
(136時間)

(2026.09.30 11:10時点で取得)
2026.09.30 11:10 時点 暫定・あと14日で確定 投稿から5日16時間38分後(136時間)
0:54
115,507 115,507回再生 投稿から7日16時間41分後(184時間)(2026.09.30 11:10時点で取得) 暫定・あと12日で確定

「それ、だれの誕生日?」彼氏のスマホのロック番号が変わっていた_ 「ああ、これ?」彼氏は笑って「推しの誕生日」って、テーブルにスマホを置いた_ そのまま立ち上がって、キッチンに逃げた_ 「私よりもさ、好きなひとできたってこと?」 「推しだよ? 推しは好きとは違うでしょ?」 彼氏はそう言って、冷蔵庫を開けた_ 最近の彼氏は、様子がおかしい_ 「今日もお風呂が長かったけど、なにしてたの?」 私は、除光液の蓋を開けた_ 「動画観てたよ?」 彼氏は缶ビールを開けて、グビグビと音を立てて飲んだ_ 「なんの?」 「推しの」 「ああ、そう」 私は、ボロボロになったネイルを拭き取った_ 同棲する前は、10分で上がってた_ それなのに最近は、1時間以上お風呂にいる_ 「あのさ、スマホ見てもいい?」 私は、彼氏のスマホに爪を当てた_ 「ええ」彼氏は冷蔵庫を閉めて「ちょっと待ってね」って、お酒とケーキを持って来た_ 私のとなりに座って「別にいいけどさ、それをしちゃったら、この先も見ないと不安になったりしない?」って、ケーキの蓋を開けた_ 私は、除光液を見つめた_ 今日、大学で友達からも言われた_ 『同棲してたら、結婚のタイミング見失わない?』 私は『一緒にいないと、安心できないから』って返したけど、いまもまだ、魚の骨みたいに喉の奥に引っかかっていた_ 「でもまあ、最近の俺あやしいもんね?」 彼氏はそう言って、フォークを握った_ 「とりあえず、食べよ?」 彼氏は、なにか言いたそうだった_ 「はい、どうぞ」 いつも彼氏は、なんでもない日にケーキを買って来る_ 「はい、あげる」 そして、私のいちごをふたつにしてくれる_ 初デートで私が、最後までいちごを取っていたから、3回目のデートのとき『こうしたら、最初のひとくちも幸せでしょ?』って、いちごを乗せてくれた_ そんな肩を寄せ合ういちごに、私はドキドキしたのを覚えてる_ そうやって私と彼は、好きを言い合うことなく、付き合った_ だからもし、お別れしたくなったときも、 きっと、同じように口にできないんだろうなって、いま気づいた_ 私は、いちごを指で摘んだ_ 「やっぱり、見るのやめる……」 「そう?」 彼氏は、ショートケーキをフォークで倒した_ 「一緒に住んでるとさ、なんでもあやしく見えるもんね?」 彼氏はそう言って、ケーキを口に入れた_ 「たとえば?」 「ティックトックのおすすめ欄、俺は見せらんない」 「なんで?」 「だって、すぐ女の子流れて来るし、踊ろうと思えば、踊れるくらい見ちゃってる」 「それくらい別にいいけど……」 私は、ショートケーキをつついた_ 「いいね欄は特に、見られたら困るな」 彼氏はそう言って、天井を見上げた_ そんなことで私が怒るわけもないのに、 彼氏はひっしに、 嫌われようとしてるみたいだった_ 「あ、パスワード変えてごめんね?」 ケーキのスポンジが崩れて、 いちごが、ゆっくりと落ちた_ 「別にいい、もう」 私は、フォークを置いた_ 「俺ね、わざと見せつけたんだよ?」 「なにが」 「パスワード変えたこと、ぜんぜん気づかないから」 急に、彼氏の手を握りたくなった_ 「なんで俺が、パスワード変えたか言うね?」 「知りたくない」 「じゃあ、これ見て」 そう言って彼氏は、私の目の前にスマホを置いた_ 「ここにパスワード打って?」 私は、検索欄に数字を打った_ 『0831』 彼氏が、肩を寄せて文字を打った_ 『0831 意味』 画面が変わった_ 『8』文字 『3』つの単語 『1』つの意味 『831』は、 『 " I Love You" 』 私は、彼氏と目を合わせた_ 彼氏のほほが、ゆっくりと動いた_ 「結婚しよ?」 口もとのクリームが、口角と一緒に上がった_ 「え……」 口を押さえると、 「やっと、言えた」 彼氏が、倒れてきた_ 「え……」 抱きしめられた_ 「やばい、めっちゃ恥ずい」 彼氏が、耳もとで笑った_ テーブルの上のビールは、 ノンアルだった_ それなのに、 彼氏のほほは、あつかった_ 「こんな私でいいなら……」 「いいの?」 「うん……」 真っ赤なほほを、 寄せ合った_ 同棲して1年と4ヶ月、 「来月、ここに連れてくから」 彼氏のいいね欄には、 「いちご狩り?」 「うん、福岡のいちご、食べてるとこ見たくて」 旅行で泊まりたいホテルに、 観光スポット、 屋台の動画が並んでいた_ もちろん、 「ねえ、これはなんですか?」 「ああ、これは」 女の子にもいいねしてた_ 「さっきお風呂場で、この髪型してほしいなあって思って」 「はいはい」 「ほんとだよ?」 「別にいいもん、私だって、イケメン見つけたし」 「ええ、だれ?」 「見たい?」 「うん」 「見せない」 「ええ、見せてよ」 「ちょっと、ビールこぼれるって」 「いいから、見せてよ」 「待って待って、わかったから」 彼といると、 ぜんぶがどうでもよくなる_ 「待ってこれ、俺が文化祭で歌ってるやつ」 「ね? かっこいいでしょ?」 こんな時間に、 ケーキも食べてしまう_ 「待ってよ、黒歴史なんだから」 「再投稿しちゃお」 それでもやっぱり、 不安になることもある_ 「ほんとやめてよね」 「いいじゃん、私は好きだよ?」 それでも、 「そのいまの顔、めっちゃ好き」 それはやっぱり、 そんなきみが、好きだから_                                  

著作権楽曲
8,340 いいね 8,340投稿から7日16時間41分後
(184時間)

(2026.09.30 11:10時点で取得)
22 コメント 22投稿から7日16時間41分後
(184時間)

(2026.09.30 11:10時点で取得)
203 シェア 203投稿から7日16時間41分後
(184時間)

(2026.09.30 11:10時点で取得)
849 保存 849投稿から7日16時間41分後
(184時間)

(2026.09.30 11:10時点で取得)
0 DL 0投稿から7日16時間41分後
(184時間)

(2026.09.30 11:10時点で取得)
2026.09.30 11:10 時点 暫定・あと12日で確定 投稿から7日16時間41分後(184時間)
0:59
14,341 14,341回再生 投稿から8日14時間26分後(206時間)(2026.09.30 11:10時点で取得) 暫定・あと11日で確定

別れて3ヶ月、クローゼットの中で俺は、元カノを待っていた_ 玄関の扉が開いて、足音がした_ 「どうしよ……」 元カノとは、俺の浮気が原因で別れた_ でも本当は、浮気なんかしてなかった_ そのことを話したくて、 俺は今朝、元カノにラインをした_ 『傘、忘れてる』 すぐに既読がついて、 『捨てといて』って返ってきた_ それでも俺は、 『傘の捨て方わからん、どうにかしてほしい』って送った_ そしたら、 『ごめん、もう顔も見たくないから』って返ってきた_ 俺はそこで、諦めるはずだった_ それなのについ5分前、 『やっぱ近くに用事あるから、寄ってく』と、ラインが来た_ 『その代わり部屋にはいないでほしい、鍵はポストに入れてて』と、追ってラインが来た_ 俺は『わかった』と送って、 あわてて鍵をポストに入れた_ そして、 部屋に戻った_ そのまま、 クローゼットの中に隠れた_ まだ迷っていた_ 本当のことを伝えるべきか_   3ヶ月前、 俺は大学でサッカーをしていたら、 めまいがして倒れた_ そのまま病院に運ばれて、 『急性骨髄性白血病』 と言われた_ ネットで調べたら、 『治すことはできるけど、再発した場合、生存率は30%ほど』と出てきた_ 俺はそこから、 彼女が笑うたびに、 涙が出て来るようになった_ 一緒にいても、 トイレにこもることが増えて、 お風呂の時間も長くなって、 「なにしてるの?」って、 彼女を不安にさせた_ 初めて喧嘩になって、 俺は思わず、 「別れよう」って口にした_ 黙って泣き出す彼女に、 「いま好きな人がいるから」と嘘をついた_ これでもう、 俺のいないところで、 彼女が泣くことはない_ そう思うと、 楽になれた_ それから俺は治療を受け続けて、 再発の可能性は低いと言ってもらえた_ いまさら、 別れたことを後悔した_ それから俺は、体調をまた崩して、 入院をしないといけなくなった_ 昨日の夜、荷物をまとめていたら、 枕もとにあった本のあいだに、 チェキが挟まっていた_ それは、 彼女が家を出る前に撮った写真だった_ 写真の中で俺は、 スマホを開いたまま眠っていた_ 画面には、ツーショットが映っていた_ 俺のほほは、涙で濡れていた_ チェキには、文字が書いてあった_ 『ほんとに もういいの?』 文字がボヤけて、 俺は、声を出して泣いた_ ひと晩中、悩んで、 今朝、 彼女に連絡をした_ 『傘、忘れてる』 そして、 傘を取りに来た彼女と、 話しがしたかった_ 本当のことを伝えて、 謝って、 いまの気持ちを確かめたかった_ 彼女の足音が止まって、 浴室の扉が開く音がした_ もしかしたら、 俺のことを探してる_ そんな気がして、 俺はクローゼットの扉を開けた_ 彼女を呼ぼうとした瞬間、 浴室に彼女の声が響いた_ 「いま駅に向かってる、あと10分待って」 電話だった_ 相手は、だれなのかわからなかった_ 扉の閉まる音がして、 玄関に向かうと、 傘がなくなっていた_ 彼女も、 いなくなっていた_ でも、 鍵がどこにもなかった_ ポストにも入ってなくて、 俺は急いで駅に向かった_ たとえ怒られてもいいから、 はやく、顔を見たかった_ 雨のせいで、 服も髪もずぶ濡れになった_ こんな姿で再会するのは、 すこしだけ嫌だった_ それでも俺は、 確かめたかった_ 浴室には、 香水の匂いが残っていた_ ふたりで選んだ、 カモミールの香り_ ラインもブロックされてなかったし、 チェキだって、 読みかけの文庫本のあいだに挟まってた_ 栞と一緒だったから、 まだふたりは続てる、 そう、思いたかった_ 交差点に、彼女がいた_ 声を掛けようとした瞬間、 傘の中に、 男の人が入った_ 「あ……」 俺は、足を止めた_ 電柱の裏に、隠れた_ 「そっか……」 俺は、背中を向けた_ 両手で顔を擦って、 歩き出した_ 家に着いてすぐ、 シャワーを浴びた_ シャンプーが目に入って、 涙があふれた_ ドライヤーは、 いつもより時間が掛かった_ 雨は、朝になっても降り続けた_ 病院に向かう前、 俺はポストを開けた_ 「え……」 手紙が入っていた_ 『もういいよ』 彼女の文字だった_ 『もういい、私は怒ってないから』 読みながら俺は、 まぶたを押さえた_ 『本当は私、友達からぜんぶ聞いてた』 『診断書も、別れる前に見つけてた』 手が震えた_ 『それなのに私、知らないふりしてた』 『私も、聞くの怖かったから』 まぶたを擦った_ 『嘘をつくあなたを、嫌いになろうとした』 手紙を握り締めた_ 『おかげでちゃんと、嫌いになれた』 『違う幸せも見つけた』 『顔も、もう見たくない』 首を振った_ 『戻りたいとも、思えない』 『ただ』 文字が、ボヤけた_ 『元気でいて』 ポストには、 鍵も入っていた_ 『嫌いになったけど』 『愛を分け合えた証拠だから』 『いつか笑って話そ』 『あのときはごめんねって』 俺は、しゃがみ込んだ_ 『だからそれまで、ばいばい、またね』 握り締めた鍵には、 まだちょっとだけ、 彼女の熱が残っていた_ チャイムは鳴らしてくれなかったけど、 玄関の前には、 水滴が落ちていた_ ポツポツと、 彼女の足あとが、 別の道へと進んでいた_ 傘を開くと、 雨が止んだ_ 雲の隙間に、 白い光が見えた_ 俺は久しぶりに、 空を見上げた_ やっとひとりで、 歩き始めた_                                  

著作権楽曲
650 いいね 650投稿から8日14時間26分後
(206時間)

(2026.09.30 11:10時点で取得)
1 コメント 1投稿から8日14時間26分後
(206時間)

(2026.09.30 11:10時点で取得)
4 シェア 4投稿から8日14時間26分後
(206時間)

(2026.09.30 11:10時点で取得)
58 保存 58投稿から8日14時間26分後
(206時間)

(2026.09.30 11:10時点で取得)
0 DL 0投稿から8日14時間26分後
(206時間)

(2026.09.30 11:10時点で取得)
2026.09.30 11:10 時点 暫定・あと11日で確定 投稿から8日14時間26分後(206時間)
0:59
135,843 135,843回再生 投稿から14日17時間11分後(353時間)(2026.09.30 11:10時点で取得) 暫定・あと5日で確定

『傘、忘れてる』元カレから3ヶ月ぶりにラインが来た_ 『捨てといて』って送ったけど、近くに行く予定があったし、取りに行くことにした_ 鍵はポストに入ってて『散らかってるから玄関までにして』って言われてたけど、私は靴ひもを解いた_ 初めてこの部屋に入ったとき、ドライヤーをしてもらった_ そのときに使ったシャンプーの匂いが、あまりにも良すぎて、なんのやつだったか思い出したくて浴室を開けた_ 「ああ、これか」 私はボトルを持って、写真を撮った_ 洗面台には、クロミちゃんのコンタクトケースがまだ残っていた_ 歯ブラシも2本_ でも、色は変わっていた_ 『まだ?』 彼氏からラインが来て、私は急いで部屋を出た_ 駅までもうすぐってところで、鍵を持って来てしまったことに気づいた_ 「どうしよ」 戻ろうとしたけど、彼氏が走って来た_ 「ほんと遅いって、駅まで迎えに来てくれるんじゃなかったの?」 「ごめんごめん、忘れものして」 「やっぱコンビニで傘買えばよかった、服も濡れちゃったし、ほんと最悪」 「天気予報、調べてないのが悪いじゃん……」 私は傘を持ち上げて、彼氏を中に入れた_ 「その傘は? 2本あるんだし、俺そっち使うよ」 「あ、そうだね、はい」 「これをさ、元カレの家に取りに行ったん?」 「え」 顔を上げると、彼氏が顔を近づけて来た_ 「今日のメイク、いつもと違うね?」 頭を触られた_ 「リップも見ない色だし、前髪は雨のせい? それとも巻いた? かわいいじゃん」 彼氏が笑った_ いつもより張り切ったメイクが、涙で崩れた_ 「泣かんでよ」 彼氏が、肩を抱き寄せた_ 「遅れた理由って、やっぱこれやろ?」 「ごめん……」 「さすがに気づくって」 いつも彼氏は、私の変化に気付いてくれる_ 『前髪また切ってる』とか、『その服どこで買った』とか、元カレとは違って、かならず口にしてくれた_ 「俺さ、そろそろ離れてあげないとって考えてた」 「え……」 彼氏が、私のほほに触れた_ 「でも俺、見送りたくはないからさ」 水溜りが揺れて、彼氏が離れた_ 「そっちからいなくなって?」 「待って」 私は、服を掴んだ_ 「俺と付き合ったの、いい雨宿りになったやろ?」 「待ってよ……」 彼氏は、背中を向けた_ 彼氏の服は、初めて出会ったときに着ていたお揃いのバンドTだった_ 私は、彼氏を後ろから抱きしめた_ 「ほんとごめん……」 狭いライブハウスで、倒れそうになってた私を、外まで運んでくれたのがいまの彼氏だった_ ライブの途中だったのに、ずっと私のそばにいてくれた_ 会場の外で泣き続ける私に『やっぱ音漏れだけでも感動するね』って、私を笑顔にしてくれた_ 「あのときは、ほんとごめんね?」 彼氏はそう言って、私の腕を解いた_ 「あのとき俺、なにも知らなかったからさ」 振り返って、私の肩に触れた_ 「あのときも、元カレのこと思い出しちゃって、泣いてたんでしょ?」 そう言って、私の頭を抱きしめた_ 「お邪魔したね? でも楽しかったよ」 彼氏の首から、香水の匂いがした_ 「それじゃあ、行くね」 彼氏が離れた_ 私はもう、声が出せなかった_ 歩き出す背中を、ただじっと見つめた_ いつも彼氏は、私の真似ばかりした_ 部屋に行くたびに、 『ねえこれ、私の家と同じシャンプー』 『ああ、俺も同じやつに変えた』 『ねえこれ、私の家から持って来たの?』 『ああ、それは俺の香水、同じやつ買った』 『ねえこれは?』 いつも、私と同じものを部屋に増やしていた_ 『なんでそんなに同じにするの?』 『だって、そのほうが安心するやろ?』 『安心?』 『こっちの家にも、好きなものが溢れてたら、落ち着くかなあって』 きっと彼氏のことだから、最初から気づいていた_ それがぜんぶ、長く使い続けた元カレと選んだものって_ 『それに俺さ、ひとりで部屋にいるとき、同じ匂いがすると安心するんだよね』 彼氏は強がりながらも、 『なんか、どこかに隠れてるんじゃないかって、いつもひとりでニヤニヤしてる』 ほんとうは、独り占めしたかったはず_ 「ごめんなさい……」 どんなにまぶたを擦っても、 足が崩れそうになっても、 もう、彼氏はいなかった_ 『別に俺はいいですって、またライブはありますし、つぎも、となりになれたらいいですね?』 そんな彼氏の笑顔は、もうどこにも見えなかった_ 「迷惑かけて、ごめんなさい……」 涙が止まらなくて、手のひらから彼氏の肌の匂いがした_ 雨はまだ降っていたけど、傘は使わなかった_ 私は雲を見上げて、 帰り慣れた家に向かって、 やっと、ひとりで歩き出した_                                  

著作権楽曲
5,762 いいね 5,762投稿から14日17時間11分後
(353時間)

(2026.09.30 11:10時点で取得)
4 コメント 4投稿から14日17時間11分後
(353時間)

(2026.09.30 11:10時点で取得)
68 シェア 68投稿から14日17時間11分後
(353時間)

(2026.09.30 11:10時点で取得)
351 保存 351投稿から14日17時間11分後
(353時間)

(2026.09.30 11:10時点で取得)
0 DL 0投稿から14日17時間11分後
(353時間)

(2026.09.30 11:10時点で取得)
2026.09.30 11:10 時点 暫定・あと5日で確定 投稿から14日17時間11分後(353時間)
1:00
13,615 13,615回再生 投稿から15日14時間後(374時間)(2026.09.30 11:10時点で取得) 暫定・あと4日で確定

入社してすぐ先輩から飲みに誘われた_彼女がいることは2軒目のバーを出たあとに知った_ 「え、彼女いるんですか?」 「あ、うん」 先輩に、おんぶされてるときだった_ 「おかげで酔いが覚めました、もう降ろしてください」 「あ、ほんと?」 先輩はそう言って、私を降ろした_ 「彼女いるのに、こんなことしちゃうんですね?」 「こんなことって?」 「飲みに誘いましたよね?」 「それは廊下で泣いてたからね? 仲間としてほっとけないよ」 「ほんとにそれだけって、彼女さんに説明できます?」 「んん、難しいよねえ」 先輩は笑いながら、ガードレールに腰掛けた_ 「どうせ説明してもさ、疑われるに決まってるよね?」 「なので私、帰りますね?」 「え、家まで送るよ?」 「いいですって」 私はタクシーを停めた_ 「今日の事、いちおう誰にも言わないでね?」 「言いませんよ、言ったところで誰も幸せにならないと思うので」 「それはよかった」 先輩は笑って、手を振った_ 私はタクシーの中で、先輩のインスタを探した_ 彼女のアカウントも、すぐに見つかった_ 私はいちおう、スクショした_   つぎの日の夜、 私は日曜なのに、ひとりで職場にいた_ 「え?」 そこに、先輩が現れた_ 「なにしてるの?」 「先輩こそ」 「俺は忘れ物取りに来たんだけど、そっちは?」 先輩が近づいて来た_ 「月曜までに必要な書類の作成です」 「え、こんな雨の日にわざわざ?」 「はい、おかげで傘、吹き飛んじゃいましたけど」 私は立ち上がって、先輩から離れた_ 「帰り送ろうか?」 「はい?」 コーヒーメーカーのスイッチを入れた_ 「この雨で、タクシーも捕まらないみたいだし」 「じゃあその傘、貸してください、歩くので」 「ごめん、これは彼女に貰ったやつだから貸したくない」 「あの、そんなに彼女が大切なら、私に近づくのやめたらどうです?」 ガリガリと、コーヒーメーカーが音を立てた_ 「え、なんで?」 「その気になれば私、彼女さんと連絡とれますよ?」 「え? そうなの?」 窓の外が光った_ 「いつ私がバラすかもわからないのに、それでも送るんですか?」 「え、別に俺は、後輩を助けようとしてるだけだよ?」 「でももし、その後輩が好意を持ってたら?」 ゴロゴロと、雷が鳴った_ 「え? いまなんて?」 「もういいです」 部屋が、真っ暗になった_ 「え」 「停電?」 「待って……」 「そこにいて、いまライト付けるから」 スマホの明かりが、近づいて来た_ 「やけどしてない?」 「あ、はい」 顔を上げると、先輩が天井を見上げていた_ 「クーラー、止まっちゃったね」 「はい」 背中に汗が流れて、雷がまた鳴った_ 私は耳を塞いだ_ 「やっぱ、駅まで送るよ?」 先輩が顔を覗き込んで来た_ 「いいですって……」 「こんなとこに、ひとり残せないよ」 先輩は、スマホを揺らした_ 「ほら、行こ?」 私は目を細めて、 「わかりました……」 荷物をまとめた_   「ごめん、こっち乗って?」 外に出ると、先輩が助手席のドアを開けた_ 「え?」 「いま後ろ、荷物がいっぱいで」 私は頭を低くして、助手席に乗り込んだ_ 「なんかごめんね? 無理やり」 「いいえ、彼女さんに謝るべきです」 「え? なんで?」 先輩は、ハンドルを握った_ 「助手席ですよ? 普通乗せたらダメです」 「まあ、バレなければいいでしょ?」 先輩は、アクセルを踏んだ_ 「このあと俺、美容院終わりの彼女を迎えに行くんだけど、シートが生ぬるいと怪しまれるかな?」 先輩は笑いながら言った_ 「先輩って、彼女さんのこと大切じゃないんですね?」 「え、大好きだよ?」 「そうは見えません、隠し事多いし」 交差点の先に、駅が見えた_ 「大切だからこそ、俺は隠してあげてるんだけどね」 「彼女さんからしたら、自分だけに優しくしてほしいですけどね?」 信号が青になった_ 「ええ、恋人を優先してても、幸せになれるとは限らないでしょ?」 「でも、バレたときのリスクがありますよね?」 タクシーが、目の前を横切った_ 「あぶねっ」 その瞬間、 車がガードレールに突っ込んだ_ 目を開けると、煙の匂いがした_ 先輩は、意識を失っていた_ そのまま私も、 「さいあく……」 意識を失った_   「で、いまの話、看護師さん的にどうなると思います?」 病室で私は、スープを飲みながら聞いた_ 入院7日目となると、薄味にも慣れて来た_ 「んん、そうねえ」 看護師さんは、天井を見上げた_ 「そのうち彼女さんから、連絡が来るとか?」 「やっぱ、そうなりますよねえ」 私は、手を合わせた_ 「ごちそうさまでした」 「それで? まだ連絡はなし?」 「はい、インスタは把握してますけど」 「そろそろ来るんじゃない? うちの彼氏とどう言ったご関係ですか?って」 看護師さんは笑いながら、食器を片付け始めた_ 「そのときは私、雨のせいで乗らないといけなかったんですって話しますよ? でもねえ」 「でも?」 「飲みに行った事だけは、隠してあげないと」 「どうして?」 「先輩ってまだ、目を覚ましてないですよね?」 「ああ、そうね、別の病院にいるけど」 「それなら私が言わない限り、おんぶさせた事はバレないですよね?」 「え?」 「私はね、先輩に別れてほしくないんですよ」 「そうなの?」 「はい、彼女さんと幸せになってほしいんです」 「それであなたはいいの?」 「はい、それにまだ、この話には隠してる事がありまして」 「なに?」 看護師さんは、食器を置いた_ 「私ですね」 「うん」 「入社するずっと前から」 「うん」 「同棲してる彼氏がいます」 「え」 「それにほら、婚約もしてます」 「え……」 「それなのに他の人に目移りしたとか、絶対にバレたらまずいじゃないですか?」 「待って待って」 「いやあ、先輩を見てて思いました、やっぱ恋人だけを大切にしないとダメだなって」 「ええ」 「それでですね、このあと彼氏が来るんですけど」 「え……」 「絶対に、いま話したことは、内緒ですよ?」                                  

著作権楽曲
373 いいね 373投稿から15日14時間後
(374時間)

(2026.09.30 11:10時点で取得)
2 コメント 2投稿から15日14時間後
(374時間)

(2026.09.30 11:10時点で取得)
1 シェア 1投稿から15日14時間後
(374時間)

(2026.09.30 11:10時点で取得)
34 保存 34投稿から15日14時間後
(374時間)

(2026.09.30 11:10時点で取得)
0 DL 0投稿から15日14時間後
(374時間)

(2026.09.30 11:10時点で取得)
2026.09.30 11:10 時点 暫定・あと4日で確定 投稿から15日14時間後(374時間)
0:44
135,337 135,337回再生 投稿から44時間24分後(2026.09.11 17:10時点で取得) 確定待ち

彼氏が事故を起こした_助手席には、女の人が乗っていた_ 同乗していた女から、DMが届いた_ 『会って、お伝えしたいことがあります』 私は、待ち合わせのファミレスまでタクシーで向かった_ 駐車場には、傘を差した女性が立っていた_ 「雨の中すみません」 私がタクシーから降りると、女性が傘を近づけて来た_ 「あ、いいです、傘あるので」 私はそう言って、傘は開かずに入り口まで走った_ 「窓際にしますか?」 店内に入ってすぐ、私は奥のテーブルを指差した_ 「はい」 頷く女性の髪からは、甘い香りがした_ 「それで、伝えたいことってなんですか?」 席に着いてすぐ、私は聞いた_ 「その前にひとつだけ、聞いてもいいですか……」 女は言った_ 「はい」 「彼は、無事ですか?」 「あ、無事ですよ」 私は、おしぼりの袋を破いて言った_ 「彼から、どこまで聞いてますか……」 女は、私の目を見て言った_ 「あの、彼って呼び方やめてもらえますか?」 「あ、ごめんなさい……」 女はすぐに頭を下げた_ 「彼氏はまだ、入院してます」 「え……」 「あれから1ヶ月、目を覚ましていません」 「え」 「そちらは? お怪我、治りました?」 私は、女の左手を見つめた_ 「はい、先週ギプスも取れて、いまはもう平気です……」 「すみませんね、うちの彼氏のせいで」 「いいえ……」 女の人は、首を振った_ 「私のせいなので……」 「それって、うちの彼氏となんかあったってことですか?」 私は、おしぼりを丸めた_ 「いいえ、先輩とは職場以外で会ったことはありません」 「いいですよ別に、説教しに来たわけではないので」 「ほんとに違います、ただ、あの日だけは……」 女の人は、窓の外に目を向けた_ 「あの日は日曜で、仕事は休みだったんですけど、私だけが職場に来てました」 「それはどうして?」 「やることがあって、そしたら先輩が来て……」 「え、なぜ?」 「忘れ物を取りにって……」 「それで?」 「私が、雨止むのを待ってますって伝えたら、送ってこうかって」 「あの日、雨すごかったですもんね?」 私は笑いながら、女の人と目を合わせた_ 「はい、すぐに断ったんですけど、そのあと雷が鳴って停電しました」 「それは大変でしたね?」 私は、髪を耳にかけた_ 「それからタクシーを呼ぼうとしたんですけど、すぐに手配できなくて、そしたら先輩が駅まで送るよって」 「それで車に?」 「いいえ、歩きますって言って駅に向かいました」 「そこからなぜ車に?」 「傘が途中で折れて……」 女の人は、顔を伏せた_ 「先輩が、停まってくれたので……」 「あの、さっき言ってた忘れ物って、なんだったんですか?」 「それです……」 女の人は、テーブルの横を指差した_ 「これですか?」 私は、傘を持ち上げた_ 「はい、その傘です」 「これを取りに?」 「はい、先輩言ってました、あなたから貰った大切な傘って」 「でも休みの日に、わざわざ取りに行きますかね?」 「なんか、先輩はその傘を使って、あなたを迎えに行きたかったみたいです」 「私をですか?」 「はい、あの日、先輩には内緒で美容院に行ってたんですよね?」 「え?」 「先輩、気づいてたみたいです、あなたがお仕事って嘘をついて、内緒で髪を切りに行ってること」 「ああ……」 「先輩も驚かせようとしてたみたいです、車は近くに停めて、美容院の前に隠れて待っとくって言ってました」 「なにそれ……」 「きっと、切り立ての髪が崩れる前に、先輩は見たかったんだと思います、それに相合傘、久しぶりにしたいって言ってました」 「ああそうですか……」 私は、傘を置いた_ 「車で待っとけって話ですね」 私は、顔を上げて言った_ 「先輩の車に、私が乗らなければ……」 「もういいですよ、駅前で事故を起こしたのはあいつなので」 「でも……」 「どうせ目を覚ましても、私は別れようと思ってるので」 「え……」 「どんなことがあっても、助手席に女の人を乗せるとか、まじ無理です」 「それは……」 「いいえ、もう顔も見たくないんです」 「ほんとに、私のせいで……」 女の人は頭を下げた_ 彼氏の車には、指輪のケースが落ちていた_ でも、中身は入っていなかった_ 事故現場からも見つからなかった_ 私は、女の人の左手を見つめた_ 「あの、結婚してるんですか?」 「え、これですか……」 女の人は、薬指を撫でた_ 「これは、婚約指輪です……」 「ああ、そんなときにほんと、巻き込んでしまって申し訳ないです」 私は笑って、頭を下げた_ それから会計を済ませて、外に出た_ 「雨、止まないですね」 「はい、むしろ強くなりましたね……」 女の人はそう言って、傘を開いた_ 「タクシー、呼びますね?」 私はスマホを開いた_ 「いいえ、歩きます」 女の人は、空を見上げた_ 「じゃあ、うちも歩きます」 私は、傘のひもを解いた_ 「その傘、かわいいですね……」 女の人が、私の傘を見つめて言った_ 「はい、開くとクラゲみたいになるんですよ」 傘を開くと、なにかが落ちた_ 「あ……」 手を伸ばそうとしたら、 スマホが鳴った_ 「え」 彼氏の弟からだった_ 「出てもいいですか?」 「あ、はい」 女の人は、傘を閉じた_ 「はい、もしもし……」 視線の先で、雷が鳴った_ 「はい、そうですか……」 水溜まりが、光っていた_ 「わかりました……」 頷きながら私は、しゃがみ込んだ_ 「あ、はい……」 水溜りに、指をつけた_ 「すぐに、向かいます……」 指輪を掴んだ_ 電話を切って、女の人を見上げた_ 「彼氏のことなんですけど」 「はい……」 雨粒が、ほほを掠めた_ 「目を、覚ましました」 一瞬だけ、 女の目が揺れた_                                  

著作権楽曲
2,688 いいね 2,688投稿から44時間24分後
(2026.09.11 17:10時点で取得)
11 コメント 11投稿から44時間24分後
(2026.09.11 17:10時点で取得)
27 シェア 27投稿から44時間24分後
(2026.09.11 17:10時点で取得)
247 保存 247投稿から44時間24分後
(2026.09.11 17:10時点で取得)
0 DL 0投稿から44時間24分後
(2026.09.11 17:10時点で取得)
2026.09.11 17:10 時点 確定待ち 投稿から44時間24分後
0:43
23,765 23,765回再生 投稿から2日20時間3分後(68時間)(2026.09.11 17:10時点で取得) 確定待ち

あなたが事故を起こしてから、私はいろんなことに気づいたよ_ 隠し事、かなりしてたみたいだね? 2年もいたのに、ぜんぜん気づかなかった_ まず、夜は外食が多くなったよね_ 付き合いたての頃はさ、仕事終わりに車の中で『今日はどっちの家にする?』って、決めてたでしょ? そのあとスーパーに寄って、映画を観ながら食べるご飯、私はあの時間が好きだったの_ それなのに最近のあなたは『ファミレスにしよ』って、勝手に車を出すようになってたでしょ? せっかく買ったお揃いのお茶碗も、ランチョンマットも、使うことはなかった_ お泊まりもさ、土曜と日曜だけになったよね_ でもね、気づいたよ_ そう言えば、目を見て話すこと増えたよなって_ もしかしてさ、ファミレスに行きたがったのって、向かい合ってご飯を食べたかったから? 『チーク変えた?』とか『ハーフアップもいいじゃん』とか、よく気づいてくれるようになったし、会話も増えてた気がする_ お家だと映画のせいで『いまは話しかけないで』とか、私が泣きすぎて、ティッシュとばかり仲良くするから、 それが寂しかったとか? あとさ、事故のあとに知ったけど、残業増やしてたらしいね? あなたの家から、旅行のパンフレットが何冊も出てきたことも、弟さんから聞いたよ? もしかして、なにか内緒で進めてた? お泊まりのときはよく、ドライヤーしてくれたよね_ 私ね、気づいてたよ_ いっつも後ろから、私のスマホ覗いてたでしょ? 画面に反射して、顔が映ってたよ_ 私の親指が、推しの動画で止まってたら、あなたは毎回おびえた犬みたいな顔してた_ あれね、わざと止めてたんだよ? なんか、嫉妬してる眉毛が可愛くて_ 昨日もね、ドライヤーしてたら、 『ほらまた寝てる、前髪、乾かすよ』って、 頭を撫でられた気がして、 振り返ったんだけど、 やっぱりあなたはいなかった_ 起きてほしいのはこっちだよ_ いつまであなたは寝ているの? もう1ヶ月だよ? 今日、病院に向かう途中、 お花を買ったよ_ アネモネだって_ 紫のだったからさ、避けるべきと思ったけど、 病室に飾ってみたらね、やっぱり似合ってた_ ところでさ、 あなたが車で事故を起こした日_ あの日はなにをしようとしてたの? 後部座席にすごい量の花束、積まれてたらしいけど、 なにを私に隠してたの? あの日、私ラインしたよね? 『残業で遅くなるから、今日は会えない』って_ あなたは既読も付けずに、 どこに向かってたの? あなたのせいでね、 肌の調子も悪いし、体重も5キロ増えた_ 最近は外食ばっか_ ねえ、沖縄行こうとしてたでしょ? 私もね、同じパンフレット、家にあったんだよ? でもね、もう捨てちゃった_ 貯めてたお金も、ぜんぶ美容に使った_ あとさ、 ずっと気になってるんだけど、 車の中から、指輪の箱が出てきたらしいけど、 中身、 どこにやったの? 見つかってないらしいけど、 どこかに飛んでったとか? そんなことあるかな? とりあえずさ、 早く起きてくれないかな? ねえ、聞こえてる? アネモネの花言葉はね、 『見捨てられた』だよ? 私、ずっと待ってるんだよ? どうしても、 聞きたいことがあるから_ ねえ、 ほんとはさ、起きてるんじゃないの? 寝てるフリしてない? ほら、起きて_ わき腹つつくよ? 私さ、もうすぐここを出るんだけど? お見舞いは、今日が最後って決めてるんだけど? もう来ないよ? 聞こえてるならさ、答えてよ_ ああそう、起きないのね_ わかった_ これだけ話しかけても、 無視するのね_ じゃあもういい_ はっきり聞くね? 「事故があった日」 「助手席に乗ってた人」 「あの女は、だれ?」                                  

著作権楽曲
1,310 いいね 1,310投稿から2日20時間3分後
(68時間)

(2026.09.11 17:10時点で取得)
4 コメント 4投稿から2日20時間3分後
(68時間)

(2026.09.11 17:10時点で取得)
20 シェア 20投稿から2日20時間3分後
(68時間)

(2026.09.11 17:10時点で取得)
72 保存 72投稿から2日20時間3分後
(68時間)

(2026.09.11 17:10時点で取得)
0 DL 0投稿から2日20時間3分後
(68時間)

(2026.09.11 17:10時点で取得)
2026.09.11 17:10 時点 確定待ち 投稿から2日20時間3分後(68時間)
0:57
16,102 16,102回再生 投稿から4日20時間36分後(116時間)(2026.09.11 17:10時点で取得) 確定待ち

深夜1時、元彼に電話を掛けた_公衆電話から掛けたのに、すぐに出てくれた_ 「もしもし、私だけど……」 『うん? どうした』 2年ぶりなのに、元彼は私の声を覚えていた_ 「いま私、夜景を見に来てて」 『うん』 「車の中で彼氏と喧嘩になって、途中で降ろされた」 『は?』 「スマホもカバンも、車の中で……」 『なに? 帰れなくなったん?』 「うん……」 『それで? なんで俺に?』 「思い出せた番号が、これだけで……」 本当は、電話番号なんか覚えていなかった_ ラインもインスタも、2年前に消していた_ ただ、昨日の夜、 クローゼットの奥から交換日記が出てきた_ 当時、遊びで始めた交換日記には、 お互いのプロフィールが書いてあった_ そこには、 元彼の電話番号が書いてあった_   『どこの山にいるん?』 「え?」 私は、受話器を握り締めた_ 『場所、どこにいるん?』 「前に、一緒に来たとこ……」 『わかった、向かうわ』 「え……」 私は、ガラスの外を見つめた_ 路肩には、自分の車が停まっていた_ 私は、嘘をついた_ 本当は彼氏なんかいないし、夜景もひとりで見に来た_ 元彼とはもう関わらないつもりだったけど、 昨日の夜、私は気づいてしまった_ 交換日記に、別れたことを後悔させる、たった3行のやりとりが残っていた_   彼と別れる前、私は病院で診断を受けた_ 『将来、子どもは産めないと思ってください』 そんなことを知らない彼は、私に合鍵をくれた_ 『来月から一緒に住もう』 付き合って1年目の、夜景を見ているときだった_ 私は『それはできない』と伝えた_ 『どうして?』 『私と、家族になりたいってことでしょ?』 『うん』 『ごめん、いまは家族になる将来が見えない』 私は、子どもが産めなくなったことを言えなかった_ 彼は顔を上げて、合鍵をポケットに入れた_ 『なんかごめん、いまの話はやっぱなし』 彼が無理やり笑うから、 私は目を閉じて言った_ 『もし傷ついたなら、恋人もやめていいよ』 その帰り、車の中で別れることになった_   あのとき流れていた音楽が、 受話器の奥からは聴こえていた_ 『15分あれば着くと思う』 「うん、わかった……」 私は、受話器を持ち替えて交換日記を開いた_ 付き合ってすぐに始めた交換日記は、 ぜんぜん続かなかった_ それを昨日、久しぶりにめくってみたら、 『こどもの名前はなににする?』と、 私が質問をしていた_ それに彼は答えていた_ 『こどもはいらないかな』 『ずっとふたりきりがいいから』 私はそれを読んだとき、 涙が止まらなかった_ どうして忘れていたんだろうって_ あのとき夜景を見ながら、 どうして本当のことを伝えなかったんだろうって_ 彼の気持ちも聞かずに、 どうして将来が見えなくなったなんて、言ってしまったんだろうって_ ずっとふたりきりがいいって、 また言ってくれたかもしれないのに_   『あのさ?』 「うん」 私は、交換日記を閉じた_ 『夏フェス、ひとりで来てなかった?』 「え」 『後ろ姿が、すごい似てる人いてさ』 「今年の?」 私は、受話器を握り直した_ 『うん、髪、短くしたんだね?』 「よく、気づいたね……」 目の前のガラスに、短くなった髪が映った_ 久しぶりに、私の口角は上がっていた_ 「声、掛けてよね」 私は、言った_ 『いやあ、俺もひとりだったらさ、声掛けれたんだけどね』 口角が、下がった_ 「そっかそっか、そうだよね」 私は、いまになって気づいた_ 2年も経ってれば、元彼に彼女がいてもおかしくなかった_ 『もうすぐ着くけど、そこから彼氏の家まで送ればいい?』 遠くに、車の灯りが見えた_ 「ううん……」 私は、首を振った_ 『え、どうするん?』 「彼氏、来た……」 『え?』 赤色の車が、山の麓に停まった_ 「戻って来た」 よく乗せてもらった、元彼の車だった_ 『ほんとにそれ、彼氏の車?』 「うん」 私は、自分の車を見つめた_ 付けっぱなしのライトが、ガードレールを照らしていた_ 『なんかされたりしない?』 「うん、大丈夫」 『もしあれなら……』 「ううん、行かないと、なんかごめんね」 私は、くちびるを噛み締めた_ 「あとはひとりで、どうにかする」 『そっか』 「ほんと、ごめん……」 『いいよいいよ、暑くて寝付けなかったし、おかげでぐっすり眠れそう』 「うん……」 『じゃあ、切るよ?』 「うん……」 『ほんと、気をつけてね?』 「うん、ありがと……」 『ばいばい』 「うん、ばいばい……」 私は、受話器を下ろした_ 通話が切れて、 私はしゃがみ込んだ_ 手にしていた交換日記を、胸に当てた_ 「はやく、行かないと……」 私は、ゆっくりと立ち上がった_ 扉を開けて、外に出た_ 車に乗り込んで、ハザードを消した_ すこしだけ、 窓の外に目を向けた_ 元彼の車が、まだ光っていた_ でも、これでもう、 彼は愛想を尽かしたはず_ これだけ振り回したんだから、 私の声も嫌いになったはず_ 私は、交換日記を開いた_ 「これで、終わりにする……」 元彼の電話番号を、 破こうとした_ でも、 手が震えた_ ポタポタと、 インクが涙で滲んだ_ 指でなぞると、 ただの黒い沁みになった_ 「これでもう、読めなくなったから……」 私は、ハンドルを握った_ 眩し過ぎる灯りを背に、 「幸せになってね」 思い出の頂上に向かって、 つぎはひとりで、 ゆっくりとアクセルを踏み込んだ_                                  

著作権楽曲
508 いいね 508投稿から4日20時間36分後
(116時間)

(2026.09.11 17:10時点で取得)
1 コメント 1投稿から4日20時間36分後
(116時間)

(2026.09.11 17:10時点で取得)
2 シェア 2投稿から4日20時間36分後
(116時間)

(2026.09.11 17:10時点で取得)
35 保存 35投稿から4日20時間36分後
(116時間)

(2026.09.11 17:10時点で取得)
0 DL 0投稿から4日20時間36分後
(116時間)

(2026.09.11 17:10時点で取得)
2026.09.11 17:10 時点 確定待ち 投稿から4日20時間36分後(116時間)
0:59
139,511 139,511回再生 投稿から7日20時間59分後(188時間)(2026.09.11 17:10時点で取得) 確定待ち

『もしもし、私だけど……』2年ぶりに、元カノから電話が掛かってきた_ 「うん? どうした」 『スマホ、なくしちゃって』 「スマホ?」 『いま私、公衆電話から掛けてて』 時計に目をやると、深夜の1時だった_ 「なんで俺に?」 『番号、これしか思い出せなくて……』 「交番行きなよ?」 『いま、山にいて……』 「山?」 『うん、夜景を見たくて、車で来たんだけど……』 「あれ? 免許とったん?」 『ううん、彼氏と……』 「ああね」 俺は、ソファに横になった_ 「それで? なんで俺に電話?」 『彼氏と喧嘩になって、置いてかれて……』 「は? 山に?」 『うん、スマホもカバンも車の中で……』 「まじか」 『歩いてみたけど、途中で怖くなって、ここに逃げ込んだ……』 元カノの声は、震えていた_ 「どのくらいそこにいるん?」 『たぶん、2時間くらい……』 「お金は?」 『ポケットに、コンビニのお釣り入ってた』 「俺に掛けるとき、いくら入れた?」 『100円玉、2枚』 「じゃあ、そろそろ切れるね」 『え……』 「どこの展望台?」 『え?』 「はやく」 『前に、一緒に来たとこ……』 「わかった、向かうわ」 俺は、家を飛び出した_ 「15分あれば着くから、切るよ?」 『待って……』 「なに?」 俺は、スマホを耳に当てた_ 『怖い……』 「なにが」 『ひとりになるのが……』 「小銭は? まだあるん?」 駐車場まで走った_ 『うん、400円ある……』 「じゃあ、入れな」 車に乗り込んで、エンジンを掛けた_ 『入れた……』 「それでギリ持つやろ」 電話をスピーカーに変えた_ 『ごめんね……』 「水分は? ちゃんと取ってるん?」 ハンドルを握った_ 『うん、カルピスある……』 「ぬるいやろ?」 『ううん、美味しいよ』 元カノが、すこしだけ笑った気がした_ 「音楽、うるさくない?」 『うん、落ち着くからそのままがいい……』 俺は、音量を上げた_ 「まださ、あそこには住んでるん?」 信号は、ほとんど点滅していた_ 『うん、変わらないよ』 「駅前のお弁当屋さん、なくなったよね?」 『え、そうなの?』 「え、なんで知らんの?」 俺は、笑った_ 『電車、使わなくなったから』 「あ、そうなん?」 『うん、駅前に行くことがない』 「職場が変わったとか?」 『ううん、変わってないよ』 「あ、車で?」 『うん、送ってもらってる……』 「ああね」 遠くに、山が見えた_ 「もうすぐ着くけど、そこから彼氏の家まで送ればいい?」 『ううん……』 「スマホは? 取り返しに行かんの?」 『いまはまだ、考えたくない……』 「ああそう、とりあえず着いたらさ」 『あ……』 「ん?」 俺は、アクセルを緩めた_ 『彼氏、来た……』 「え?」 『戻って来た……』 俺は、車を路肩に停めた_ 山の真ん中に、テールランプの灯りが見えた_ 「ほんとに彼氏?」 『うん、近くに停まった……』 「なんかされたりしない?」 『うん、大丈夫……』 「もしあれなら……」 『ううん、なんかごめんね……』 「いいよ、別に」 俺は、スマホを握った_ 「暑くてぜんぜん寝付けなかったし、おかげでいい具合に疲れたから、すぐに眠れそう」 『うん……』 「じゃあ、切るよ?」 『うん……』 「気をつけてね?」 『うん、ありがと……』 「ばいばい」 『うん……』 電話を切った_ 「なんなん、ほんと……」 山を見上げると、車の灯りが頂上に向かっていた_ 「俺も、夜景見に行くか……」 ハンドルを握った_ 「いや、違うか……」 首を振った_ 「あと5分早かったら、どうなってたんやろ……」 ハンドルに、顔を伏せた_   『ねえねえ、こっち向いて?』 『ん?』 久しぶりに声を聞いたからか、 別れる前に、 ふたりで夜景を見に行った日のことを思い出した_ 『ねえ、一瞬だけでいいから』 『あぶないから、いまはむり』 あの日は免許取り立てで、俺はぜんぜんとなりを見れなかった_ 『あれ? 押したのに撮れないよ?』 『ほらあ、だから俺言ったじゃん』 用意してた使い捨てカメラは、すぐに彼女がいっぱいにした_ 『ええ、頂上でも撮りたかったあ』 『またいつでも来れるって』 『記念日に、撮りたかったの』 『じゃあ、また来年だね』 『ぜったいだよ?』 『うん、ぜったい』   「あ……」 俺は、顔を上げた_ 「今日って……」 スマホを見つめた_ 日付が変わった深夜2時、 待ち受けには、 懐かしい数字が並んでいた_ 「そっか……」 ハンドルを握って、空を見上げた_ 「でも明日、仕事だし、帰らないと……」 明かりをつけた_ 「ほんと、疲れた……」 彼女が繋げた夜の道を、 あくびを堪えながら、 引き返し始めた_                                  

著作権楽曲
5,453 いいね 5,453投稿から7日20時間59分後
(188時間)

(2026.09.11 17:10時点で取得)
7 コメント 7投稿から7日20時間59分後
(188時間)

(2026.09.11 17:10時点で取得)
60 シェア 60投稿から7日20時間59分後
(188時間)

(2026.09.11 17:10時点で取得)
573 保存 573投稿から7日20時間59分後
(188時間)

(2026.09.11 17:10時点で取得)
1 DL 1投稿から7日20時間59分後
(188時間)

(2026.09.11 17:10時点で取得)
2026.09.11 17:10 時点 確定待ち 投稿から7日20時間59分後(188時間)
0:50
26,361 26,361回再生 投稿から32日13時間35分後(781時間)(2026.09.30 11:10時点で取得) 30日経過・確定

「浴室の鏡に真っ赤な文字?」 「はい、これなんですけど」 写真には、真っ赤な文字で、 『ねえまだあ』と、書かれていた_ 「なるほど……」 俺は、腕を組んだ_ 今日は大学の講義のあと、 後輩とファミレスに来ていた_ 「ほかには?」 「これです」 スライドされた写真には、スーツを着た後輩が映っていた_ 「部屋で、親に送るために撮ったんですけど……」 「ああ、ベランダにいるね」 「やっぱ、ですよね?」 「うん、人に見えるね」 カーテンの隙間には、人らしき影が見えた_ 「オカルト研究部の先輩なら、なにかわかるかなって……」 後輩はそう言って、両手を合わせた_ 「どうにか彼女を、家に泊めれるようにしたくて……」 「わかったけどさ、普通に泊めてもよくないか?」 俺は、アイスコーヒーを口にした_ 「いやいや、無理ですよ……」 「どうして?」 「だって、守れる自信ないし……」 「別に霊は、なにもしてこないやろ?」 俺は、氷を揺らした_ 「いやそれが、寝てるときに、手を握られたこともあるんです……」 「それは、はっきりと?」 「はい、暗くてよく見えなかったんですけど……」 「ベッドだっけ?」 「あ、はい」 「そのベッドの写真、ある?」 「はい、あると思います」 後輩は、スマホを手にした_ 「あった」 テーブルの上に、スマホを置いた_ 「この、奥のやつのやつです」 誕生日を祝ってるツーショットで、ベッドが映り込んでいた_ 「ああ、なるほど、わかったわ」 俺は、顔を上げた_ 「ほんとですか?」 「その前にさ、ふたつほど質問させて?」 「はい」 後輩は、テーブルに肘をついた_ 「まず、赤い文字の写真、もっかい見せて」 「はい」 「これさ、文字が光ってるのわかる?」 「あ、はい、キラキラしてますね……」 後輩は、画面を拡大した_ 「これは、ラメ入りのリップだね」 「リップ、ですか……」 「うん、じゃあつぎの質問」 俺は、スマホを指差した_ 「彼女さんとの写真、いまどれくらいある?」 「そんなにまだ、多くないです」 「じゃあさっき、見せてくれたツーショット、あれは元カノだね?」 「え?」 「かなり遡ってたし、最近のならあんなにスクロールしないはず」 「はい……」 後輩は、下を向いた_ 「いやいや別にね、元カノの写真を残してたことを攻めたいわけじゃないから、それはまた別案件」 俺は笑いながら、テーブルを2回叩いた_ 「その元カノとはさ、いつ別れた?」 「3ヶ月前、ですかね……」 「長かった?」 「はい、2年くらい」 「じゃあ、よく家に泊めたりも?」 「はい、そのときはなにも起きてなかったので……」 「合鍵は? 渡してた?」 「あ、はい……」 「その2年間、いつ来ても入れるようにって、ドアのチェーンしてなかったとか?」 「はい、してなかったです……」 「その癖は、別れたいまでも続いてるとか?」 「あ、はい、いつもチェーンしないです……」 「じゃあまずは、その癖を抜かないとだね」 「それって、つまり……」 後輩は、顔を上げた_ 「そうだね、元カノが勝手に上がってたかもね」 「え……」 「今度また手を握られたら、ベッドの下、確認してみな」 「やばすぎますって……」 「元カノのこと、彼女さんには話せそ?」 俺は、テーブルに肘をついた_ 「いや、無理ですよ……」 「まあそうなるか、元カノがたまに住み着いてたとか、変な疑い掛けられそうだしね」 「でも、ずっとお泊まりしたいって、言われてるんですよ」 「またいつ来るかもわからないし、早く鍵を変えたらいいよ」 「でも今日このあと、ご飯行くんですけど、もし泊まりたいって言い出したら……」 「事故物件ってことにしたら? そしたら怖くて泊まらんやろ」 「それ、いいかもです」 後輩は軽く頷いて、窓の外を見つめた_ 「でもね? まずは元カノの写真を消しな?」 「あ、はい、いますぐ消します……」 後輩は、スマホを手にした_ 「でもまあ、それだけ無関心だったってことやろ?」 「いいえ、すぐに消すべきでした……」 後輩は、スマホを見つめた_ 「あとひとつだけ、聞いてもいい?」 俺は、人差し指を立てた_ 「はい……」 「元カノ、目の下にホクロない?」 「え……」 「あるよね?」 「あ、はい、右に、いや、左だっけ……」 「右だよ」 俺は、右ほほを指差した_ 「なんで、ですか……」 アイスコーヒーが、氷の音を立てた_ 「さっきまでいたから」 「え」 後輩は、スマホを置いた_ 「そこ、うしろ」 俺は、人差し指を向けた_ 「え……」 「後ろの席」 「待ってください……」 後輩は、ゆっくりと後ろを見た_ 「誰も、いないですけど……」 「いや、さっきまで座ってた」 「え……」 「店を出るときも、その子ずっと、こっち見てた」 「そんなの、怖すぎますって」 後輩は、顔を塞いだ_ 「ごめんごめん、人違いかも、いるわけがないよね」 俺は、窓の外に目を向けた_ 「あ……」 ガラス越しに、 女の人が立っていた_ 「だめだ、いる……」 女はパクパクと、 口を動かした_ 俺は思わず、 赤いリップの動きを真似た_ 「ねえ、まだあ……」 後輩が、顔を上げた_ 「やめてくださいよ……」 後輩の目が、ゆっくりと左に流れた_ 「え」 後輩が口を開くと、 女が笑った_ 「待って……」 後輩は口を塞いだ_ 女がゆっくりと、 鍵を揺らした_ ガラスに顔を近づけて、 女は言った_ 「やっときづいたあ」                                  

著作権楽曲
641 いいね 641投稿から32日13時間35分後
(781時間)

(2026.09.30 11:10時点で取得)
2 コメント 2投稿から32日13時間35分後
(781時間)

(2026.09.30 11:10時点で取得)
10 シェア 10投稿から32日13時間35分後
(781時間)

(2026.09.30 11:10時点で取得)
21 保存 21投稿から32日13時間35分後
(781時間)

(2026.09.30 11:10時点で取得)
0 DL 0投稿から32日13時間35分後
(781時間)

(2026.09.30 11:10時点で取得)
2026.09.30 11:10 時点 30日経過・確定 投稿から32日13時間35分後(781時間)
0:59
513,970 513,970回再生 投稿から37日16時間55分後(904時間)(2026.09.30 11:10時点で取得) 30日経過・確定

深夜3時半、彼氏と電話をしていたら、女の人の声がした_ 『ねえまだあ』と、はっきり聞こえた_ つぎの日、 バイトあとの彼氏を、居酒屋に誘った_ 「昨日、部屋にひとりだったんだよね?」 「うん、そうだけど?」 彼氏は、ビールをひとくち飲んだ_ 「電話してるときにね、変な声がして」 「俺の部屋から?」 「うん」 「まじかあ、やっぱりかあ」 彼氏は、おしぼりを口に当てた_ 「やっぱりって?」 私は、グラスを置いた_ 「そのうちさ、言おうと思ってたんだけど」 「うん?」 「その前に、これ見てほしい」 彼氏は、テーブルの上にスマホを置いた_ 「この写真、親に見せるために撮ったんだけど」 「うん」 写真には、スーツを着た彼氏が映っていた_ 「ここ、わかる?」 「え……」 「やっぱ、だよね?」 カーテンの隙間に、人が立っていた_ 「待って、むりっ」 私は、顔を塞いだ_ 「でね、隠してたことなんだけど」 「うん……」 指を開くと、彼氏と目が合った_ 「俺ん家、事故物件なんだよね」 「え……」 「寝てるとき、手を握られたこともあるし」 「待って待って……」 「だからさ、いつも終電で帰らせてた」 彼氏は、唐揚げのレモンを摘んだ_ 「じゃあ、ビデオ通話しなくなったのも……」 「ううん、それは別に、霊が映り込んだらとか、そんなんじゃないよ」 彼氏は笑って、レモンを絞った_ 「じゃあ……」 「すっぴん、見られたくないんでしょ?」 「うん……」 「ビデオにしたらさ、いつも布団に潜るじゃん? さすがに夏は可哀想だなって」 「ああ、なんかごめん」 私は、唐揚げを見つめた_ 「あ、レモン、ダメだったよね?」 「ううん、今日はいいよ、揚げ物控えてるし」 「ごめんね、もっかい頼もうか?」 彼氏は、メニュー表を開いた_ 「でもさ、そろそろ時間が……」 私は、グラスを握った_ 「あ、終電の時間か」 彼氏は、腕時計を見つめた_ 眉間にシワを寄せて、 口角を下げた_ 「今日は、帰ってほしくないかも」 彼氏は、首に手を当てて言った_ 「ねえ、酔ってるの?」 私は笑って、おしぼりを丸めた_ 「だって、ここからひとりは怖いじゃん……」 彼氏は、まぶたを擦った_ 「じゃあなに? ずっとここにいるの?」 「うん、家帰ったらだれかいそうだし……」 「じゃあ、家で飲もっか?」 「え?」 彼氏が、顔を上げた_ 「そこのコンビニでお酒買ってさ」 「俺ん家で?」 「うん」 「怖くないの?」 「んん、怖いは怖いけどさ」 「そんな無理しなくても」 「私がさ、追っ払うよ」 私は、グラスを持ち上げた_ 「私にまかせて?」 水滴が、テーブルの上に落ちた_ 「俺がさ、そっちの家に行くのは?」 彼氏が、首を傾げた_ 「え、私の家?」 「うん」 「ええ、散らかってるからなあ」 「ぜんぜん待てるよ、俺」 「んん、でもさあ」 私は、グラスを置いた_ 「ちょっとだけ、私もお化け見たいしなあ」 水滴をなぞりながら、私は言った_ 「別に見えはしないよ?」 彼氏は笑いながら、唐揚げを摘んだ_ 「私には見えるかもよ? だって声聞けたし」 「そんなにさ、はっきり聞こえたの?」 「うん、はっきり聞こえた」 「たまたまさ、人の声に聞こえたとか?」 彼氏は、唐揚げを口に入れた_ 「それはないかな」 「ええ、それで言うなら俺も、昨日の電話、気になる音聞いたけどね」 彼氏は、指についた油を見つめた_ 「なにが?」 私は、おしぼりを渡した_ 「いやなんかね、そっちの部屋から水の音したんだよね」 「え?」 「トイレの流れる音みたいな」 「トイレ?」 「うん、ベッドにいたんだよね?」 「うん、いたけど」 「じゃあ、やっぱり聞き間違いかも」 彼氏は笑って、おしぼりを丸めた_ 店員さんが来て、 「ラストオーダーですが」と、しゃがみ込んだ_ 「あ、どうしよっか」 私は、彼氏を見つめた_ 「あ、もう出ます」 彼氏は、店員さんを見つめた_ 「じゃあ、行こっか」 彼氏が、スマホを手にした_ 「え、帰るの?」 私は、カバンを肩にかけた_ 「うん、行くよ」 彼氏が、お会計を済ませた_ 「いくらだった?」 店を出てすぐ、私は財布を出した_ 「いいよいいよ、また今度で」 「ありがと……」 私は、財布を閉じた_ 「じゃあ、行こっか」 「どこに?」 「玄関で待ってたらいいよね?」 「え、私の家なの?」 「うん」 「待ってよ、そっちの家は?」 「いやいや、怖いよ」 彼氏は笑いながら、歩き出した_ 「待ってよ」 「なに?」 彼氏が、立ち止まった_ 「だって私、気になるもん」 「なににそんな、おびえてんの?」 彼氏が振り返った_ 街灯の明かりが、顔を照らした_ 「手、震えてるけど大丈夫?」 彼氏が笑いながら言った_ 「私、そっちの家に泊まりたい」 「いやいや、やめとこ?」 「ううん……」 私は、カバンを握りしめた_ 「じゃあなに? 俺ん家がいいの?」 「うん、今日は一緒にいたい」 私は、まぶたを擦った_ 目が合った_ 彼氏が、ゆっくりと近づいて来た_ 「わかったよ」 私の頭を撫でて、 口角を上げた_ 「じゃあ、ここで聞いておくけど」 彼氏が、顔を近づけた_ 「うん?」 目を見つめた_ 「浮気してるよね?」 「え……」 「家に、男いるやろ?」 街灯の灯りが、 チカチカと光った_                                  

著作権楽曲
6,513 いいね 6,513投稿から37日16時間55分後
(904時間)

(2026.09.30 11:10時点で取得)
17 コメント 17投稿から37日16時間55分後
(904時間)

(2026.09.30 11:10時点で取得)
105 シェア 105投稿から37日16時間55分後
(904時間)

(2026.09.30 11:10時点で取得)
471 保存 471投稿から37日16時間55分後
(904時間)

(2026.09.30 11:10時点で取得)
0 DL 0投稿から37日16時間55分後
(904時間)

(2026.09.30 11:10時点で取得)
2026.09.30 11:10 時点 30日経過・確定 投稿から37日16時間55分後(904時間)
0:47
170,212 170,212回再生 投稿から39日16時間22分後(952時間)(2026.09.30 11:10時点で取得) 30日経過・確定

「なんでさ、彼氏いるのに告白オッケーしたん?」夏祭りの帰り、彼が言った_ 「え? なに言ってんの?」 「俺さ、振られると思って告白したんだけど」 彼と付き合って1時間、 彼は笑いながら、私の手を離した_ 「私、彼氏とは別れてるよ?」 「じゃあ、なんかの罰ゲームとか?」 「なんでそうなるの?」 「俺の友達から、頼まれたらしいじゃん?」 「なにを?」 私は、歩くのをやめた_ 「夏祭りで告白して、俺と付き合ってあげてって」 「それは……」 「ほんとのこと言ってよ?」 「ごめんなさい」 私は、下を向いた_ 「なんて言われたの?」 「それは……」 髪飾りが、落ちそうになった_ 「心臓、悪いって聞いたから……」 「ああ、そう言うことね」 彼は信号を見上げて、歩き出した_ 「待って」 「俺が悪かったね、つい友達に『今年が最後の花火になる』って、話したから」 「でも私ね」 「ううん、さっきの告白はなしにしよ」 信号が点滅して、 警察官が笛を鳴らした_ 「俺のこと、可哀想って思ったんだよね」 私は、転けそうになった_ 人に押されて、 右ほほが突然、 彼の左胸に当たった_ 「すこし我慢して」 「え……」 顔を上げると、彼が肩を抱き寄せた_ 「下向いてていいから、ちゃんと歩いて」 「うん……」 私は、頭を預けた_ 心臓の音が、早かった_ 自分のなのか、 わからなかった_ 「走れる?」 本当にこのまま、 彼の心臓が止まるなんて、 信じられなかった_ 最初は、 ただ前の席になっただけの、 クラスメイトだった_ プリントはいつも、 彼の手から受け取った_ だんだんと、 目が合うようになって、 用もないのに、 振り返ってくるようになった_ 『映画館はひとりが好き』とか、 『ホラーが苦手』とか、 席替えまでの3ヶ月、 彼も私も、 『また近いといいね』って、 笑い合える仲になった_ 彼は1度も、 恋バナはしてこなかった_ 私には彼氏がいたけど、 言うタイミングはなかった_ 彼氏と別れてすぐ、 彼の友達から、 『あいつ、たぶん好きだよ』って、 好きバレをくらった_ 『でも、あいつ心臓がね……』 そこで私は、 彼の持病を知って、 ただの友達とは思えなくなった_ 可哀想としか、 見えなくなった_ 「あぶなかったね」 信号を渡ったあと、 彼はすぐに離れた_ 「喉、乾いた……」 私は、コンビニを見つめた_ 「俺はいいかな、これあるし」 彼は、温くなったコーラを揺らした_ 「もうすこしだけ、話したい……」 「ごめん、親が駅に着いたらしい」 彼は、スマホを見ながら言った_ 「いかなきゃ」 「ねえ、別れるの?」 私は言った_ 「夏休みだから、つぎに会えるのは9月だね」 「ねえ、そうじゃなくて」 「大丈夫だよ、俺たちは友達のままだよ」 「ねえ」 手を伸ばしたけど、 彼は歩き出した_ 「私……」 声が、うまく出せなかった_ 「私ね……」 まぶたを擦った_ 「もういいって、無理しなくて」 顔を上げると、 彼は背中を向けたまま、上を見上げた_ 私は、彼に近づこうとした_ 「じゃあ、俺もほんとのこと言うね」 彼が、コーラを握り締めた_ 「俺、ずっと忘れられない人いる」 心臓が、弾けそうだった_ 「俺、その人のことを考えながら、告白してた」 車の音がうるさくて、 私は首を振った_ 「俺もさ、中途半端な気持ちで告白してたし」 彼がいま、 振り返ったら、 私は気づいてしまう_ 「だから、忘れよ」 彼と、目が合った_ 「むり……」 だって、 心臓がうるさいから_ 「もういくね」 彼が、背中を向けた_ そのまま、 人混みに紛れて、 見えなくなった_ 私は、 動けなかった_ ただ、 まぶたの下だけが震えていて、 足の親指に、生温い雫が落ちた_ 空は真っ暗で、 星はひとつも見えなかった_   『じゃあもしだよ? もし、付き合ってる人が映画館行きたいって言ったら、席は離すってこと?』 たった1度だけ、 私は放課後の教室で、 彼に踏み込んだことがある_ そのとき彼は、 すこしだけ迷って、 『んん、ひとりになりたいかな』と、 笑いながら言った_ あのとき見た彼の横顔は、 いまでも残っていて、 あの日だけは、 彼氏と手を繋いで帰らなかった_ 顔を塞ぐと、 シトラスの香りがした_ 右ほほにはまだ、 胸の温もりが残っていた_ 『また近いといいね』 心臓が鳴って、 私は、 背中を追いかけた_                                  

著作権楽曲
8,274 いいね 8,274投稿から39日16時間22分後
(952時間)

(2026.09.30 11:10時点で取得)
11 コメント 11投稿から39日16時間22分後
(952時間)

(2026.09.30 11:10時点で取得)
64 シェア 64投稿から39日16時間22分後
(952時間)

(2026.09.30 11:10時点で取得)
681 保存 681投稿から39日16時間22分後
(952時間)

(2026.09.30 11:10時点で取得)
0 DL 0投稿から39日16時間22分後
(952時間)

(2026.09.30 11:10時点で取得)
2026.09.30 11:10 時点 30日経過・確定 投稿から39日16時間22分後(952時間)
1:19
383,633 383,633回再生 投稿から45日14時間40分後(1,094時間)(2026.09.30 11:10時点で取得) 30日経過・確定

夏祭りで元カレを見つけたんだけど、なぜか神社の階段で泣いてたわけ_ いや、待ってってなって、 声をかけようとしたらさ、女の人が走ってきたわけ_ やばいってなって私、鳥居の後ろに隠れたの_ そしたらさあ、 ふたりとも、こっちを向いて座るからさ、 動けなくなって_ いま私、見つかったら、お化けって思われない?ってなって_ でさあ、 花火が上がり出して、 ふたりとも喧嘩してたのか知らんけど、 めっちゃ顔を近づけてさあ、 仲直りのハグかよってなって、 見たくもないのにさあ、目が離せなくて_ そもそもね、 元カレ、心臓が弱くてね_ 何回か私も、病院に着いて行ったことあるんだけど、 いっつも『そのうちパッて、いなくなるかも』って、笑いながら言ってたわけ_ でね、 中学を卒業するときに、 『ひとりになりたい』って言われて、 別れることになったの_ それなのにさあ、 普通に彼女作ってるし、 2年前の、 私との別れはなに?ってなるじゃん? こうなったらさ、 このまま飛び出して、 聞いてやろうかなって、 何回か立ち上がったわけ_ でもね、 さすがにそれはできなくて_ ふたりとも歩き出したからさ、 私、後ろから着いて行ったわけ_ なにやってんだろって、何度も思ったよ? でもさあ、 許せなくて_ で、ようやく駅で別れたからさ、 私、走って追いかけたわけ_ 「元気そうじゃん」って声かけたら、 「え?」って、元カレ振り返って、 私、聞いたの、 「いまの彼女?」って_ そしたら、 「うん」って言われて、 私、言ったの、 「ひとりになりたいんじゃなかったの?」って_ そしたら「あの子は別だから」って_ は?ってなるじゃん? で、私「なにそれ」って言ったわけ_ そしたらさ、 「あの子とは、一緒にいたいって思えるから」って_ もうさ、 うざって、なって、 「私のこと、そもそも好きじゃなかったんだね?」って、聞いたら、 「もういい?」って、帰ろうとするわけ_ だから私、服を掴んでさ、 「ほんとの理由教えろ」って、 「別れた理由、はっきり言え」って、 止めたわけ_ そしたら元カレ、 「今年が最後だから」って、 「花火が見れるの、今日で最後だったから」って、 意味わかんないこと言い出して、 「なに? そんな悪いわけ?」って聞いたら、 「まあ、そうだね」って_ 私、鼻で笑ってさ、 「それで焦って彼女作ったんだ?」って言ったら、 「そうだね、いまは誰かといたい」って_ もうね、私、 じゃあ、あのとき引き止めたらよかったの?って_ 卒業式の日に、 『ひとりになりたい』って言われて、 もっと私、ひっしになればよかったの?って_ 聞きたかったけど、 聞いたところでね、 うん_ 「そう言うことだから、いくね」って、 元カレ言い出すからさ、 私、聞いたの_ 「彼女はそのこと知ってるの?」って_ そしたら振り返って、 「いまはまだ、言えてない」って_ だから私言ったの_ 「ぜったい悲しませるよ」って_ そしたら、 「頑張るよ」って、笑みを浮かべるわけ_ だからさ、 「可哀想だね」って、言ってやったわけ_ そしたら、 「最後の彼女だし、頑張って伝えるよ」って、 笑うわけ_ その顔がさ、 もうね、 見てらんなくて_ 初めての彼女になれたとき、 あんなにはしゃいでたのがさ、 急に恥ずかしくなって_ 初めてって、 ぜんぜんよくないじゃんって_ 中学で出会わなければ、 最後になれたのかなって_ 最初が最後になるなんて、 あり得ないよなって_ だからね、私、 言ってやった_ 「彼氏待ってるから」って_ 「これで最後だね、バイバイ」って_ 手を振ってやった_ そしたら、 あっちも手を振って、 「元気でね」って、 ずっと見てくるからさ、 私、背中を向けてね、 なにも言わずに、去ってやった_ あっちは笑ってたけどさ、 私ね、笑わなかった_ だって、 見れなかった花火のほうが、 ずっと残るし、 後悔するじゃん? でね、 信号が青だったから、 走って渡ったわけ_ いちおうね、 振り返ったの_ いちおうね_ そしたらね、 元カレ、 改札も抜けずに、 柱に手をついて、 顔を伏せてるわけ_ で、 私、 信号が赤になったからさ、 早く青になれって、 何度も背伸びしてさ_ 通り過ぎる車の奥で、 元カレ、泣いててさ_ 早く早くって、 もうそれしか考えられなくて_ 青になってね_ 私、走ったの_ もうすぐってところで、 女の人が走ってきたわけ_ またかよって、 また彼女かよって、 動けなくなってね_ 彼女がね、 元カレの背中を撫でながら、 こっちを見てきたわけ_ 私、すぐに背中を向けてね、 もう振り返らずに、 そのまま引き返したの_ 元カレは泣いてたけどさ、 どうせね、 彼女がどうにかするんだし、 追いかけちゃったのは、 心臓を押さえてたからで、 つい癖でね_ 大丈夫かなって_ そもそもさ、 心臓が悪い元カレってなに?って話じゃん? ずるいよね_ だってさ、 一生忘れらんないじゃん_ 初めての元カレが、 こんなんだから私、 いまだにひとりだし_ ぜんぶ、元カレのせい_ もういいんだけどね_ ほんと、 元気でいてくれたらさ、 それでよかったんだけどね_ なんかさ、 なんかね、 うん、 ほんと、 もっかいくらい、 会っておきたかったなって_                                  

著作権楽曲
17,251 いいね 17,251投稿から45日14時間40分後
(1,094時間)

(2026.09.30 11:10時点で取得)
34 コメント 34投稿から45日14時間40分後
(1,094時間)

(2026.09.30 11:10時点で取得)
107 シェア 107投稿から45日14時間40分後
(1,094時間)

(2026.09.30 11:10時点で取得)
1,560 保存 1,560投稿から45日14時間40分後
(1,094時間)

(2026.09.30 11:10時点で取得)
2 DL 2投稿から45日14時間40分後
(1,094時間)

(2026.09.30 11:10時点で取得)
2026.09.30 11:10 時点 30日経過・確定 投稿から45日14時間40分後(1,094時間)
0:57
198,382 198,382回再生 投稿から39日20時間42分後(956時間)(2026.09.11 17:10時点で取得) 30日経過・確定

『夏祭り行く?』好きな人にラインをしたら『うん、彼氏とね』まさかの恋人がいた_ 俺は、返事を返せなかった_ つぎの日、女子2人と男子3人のいつメンで、夏祭りに行った_ 途中、みんなとはぐれてしまって、いつメンのひとりから『神社で待ってて』と、ラインが来た_ 俺は、階段に座ってスマホを見ていた_ 「あれ?」 後ろから声がして、振り返ると浴衣姿の彼女がいた_ 「え、ひとり?」 俺はすぐに立ち上がった_ 「そっちこそ」 彼女は笑って、前髪を押さえた_ 「彼氏は?」 「ちょっと、喧嘩して」 彼女は、階段に腰を下ろした_ 「え、逃げてきたの?」 「うん、すこしここに隠れさせて」 彼女は、背中を丸めた_ 「俺、離れとくね」 「ううん、できればそこにいて?」 「え?」 俺は、彼女を見つめた_ 「でもさ……」 「ちょっとだけ、付き合って?」 彼女は、階段を叩いた_ 「じゃあ、すこしだけ……」 俺は、階段の1段目に座った_ 「もしここで彼氏が来たら、俺逃げるからね?」 俺は、後ろを振り返って言った_ 「優しいね」 彼女は笑って、髪飾りを揺らした_ 「俺はただ、彼氏さんに心配をさせたくないだけ」 俺は前を向いて、コーラを握り締めた_ 「別にいいよ、夏祭りで喧嘩するような彼氏だし、心配させるくらいがちょうどいい」 「まあでも、どうしても両思いってわかってるとさ、傷つけることに躊躇いがなくなるんだよ、仲がいい証拠だね」 俺はそう言って、コーラを首に当てた_ 「でもさ、ふつう追いかけて来ない?」 「まあ、離れて見ないと、綺麗に見えないこともあるだろうし」 スマホを見ると、花火の時間が迫っていた_ 「きっと彼氏さんも、いまごろ探してるよ」 待ち受けを閉じると、足もとの影が揺れた_ 「そっちはさ、遠くから見てるだけだけど、いいの?」 「え?」 俺は、顔を上げた_ 「もっと近くで、私と話したいんじゃないの?」 彼女の声が、すぐ後ろからした_ 「なに言ってんの?」 俺は、地面を見つめた_ 「あ、始まった」 背中をつつかれて、 顔を上げると、花火が上がった_ 「ねえ、いまのうちだよ?」 彼女が言った_ 「なにが?」 空が、また光った_ 「いまなら、花火の音でかき消されるかもよ」 「なに言ってんの」 花火の音が、心臓に響いた_ 「言ってみなよ」 「なにが?」 「隠してること」 「いまはさ、彼氏の心配しなよ」 下を向くと、シャンプーの匂いがした_ 「来る前にさ、言いなよ」 「それはさすがに」 「いまのうちだよ?」 彼女が、耳もとで言った_ 俺は、遠くを見つめた_ 花火が上がると同時に、 振り返った_ 彼女と目を合わせて、 「ずっと好きだったよ」 音が鳴った_ 「あたしも」 「え……」 すぐに暗くなって、 「ずっと前から好きだった」 また、花火が上がった_ コーラが、足もとに落ちた_ 炭酸が弾けて、 「あ、いたあ」 後ろから声がした_ 俺は、コーラに手を伸ばした_ 顔を上げると、 「ちょっと、早かったかな?」 いつメンのみんなが笑っていた_ 「え……」 「ほんとごめん」 いつメンのひとりが、手を合わせて笑った_ 「わざとさ、おまえを迷子にさせた」 「え?」 「あのね」後ろから、彼女が肩を叩いた_ 「あたし、彼氏いないよ」 「え?」 「彼氏いるのは、うそ」 「え、どう言うこと……」 おでこを押さえると、みんなが近づいてきた_ 「いつまでもおまえが告白しないからさ、おれらで仕組んだわけ」 「え?」 前髪を上げると、みんなが笑った_ 「あとの片付けは、ふたりでやってね」 そう言ってみんなは、走って行った_ 「ごめんね」 彼女が、横に来た_ 「ううん、びっくりした……」 俺は、コーラを握りしめた_ 「嘘ついてごめんね……」 「ううん」 「傷つけたよね……」 「うん、すこしだけ」 俺は、彼女の手を握った_ 「でもこれは、両思いのあかしだし」 俺が笑うと、彼女が首を振った_ 「傷つけたぶんは、ちゃんと癒す」 彼女が、胸に飛び込んできた_ 「これで許して」 「ちょっと待って、まだ早いかも」 心臓がうるさくて、 「逃げんで」 まだすこしだけ、 「あ、ほら、花火終わるって」 目を離してしまった_ それでも、 「もお、こっち見てよ」 「近いよ」 「いいから、こっち見て」 「わかった……」 初めて好きな人を、 「ずっと、好きだよ」 下の名前で呼べた_                                  

著作権楽曲
6,771 いいね 6,771投稿から39日20時間42分後
(956時間)

(2026.09.11 17:10時点で取得)
42 コメント 42投稿から39日20時間42分後
(956時間)

(2026.09.11 17:10時点で取得)
116 シェア 116投稿から39日20時間42分後
(956時間)

(2026.09.11 17:10時点で取得)
734 保存 734投稿から39日20時間42分後
(956時間)

(2026.09.11 17:10時点で取得)
0 DL 0投稿から39日20時間42分後
(956時間)

(2026.09.11 17:10時点で取得)
2026.09.11 17:10 時点 30日経過・確定 投稿から39日20時間42分後(956時間)
1:00
34,342 34,342回再生 投稿から43日20時間37分後(1,052時間)(2026.09.11 17:10時点で取得) 30日経過・確定

元カノから『私はこのスマホを拾った人です』とラインが来た_ 開こうとしたら、続けてラインが来た_ 『このスマホの持ち主は、もう亡くなったと思ってください』 『私は、このスマホを使っていた人がどんな人か知りたいです』 『この人のこと、教えていただけませんか?』 「は?」 俺は思わず、大学の食堂で声を出した_ 「どうしたの?」 「いや、なんか変なラインが来て」 元カノは、1年前に突然いなくなった_ 家のポストには、お揃いのネックレスと合鍵が入っていた_ 元カノの家には、3回行って3回とも留守だった_ 「だれから?」 「ん? いや、知らない人から」 俺は、コーヒーを飲み干した_ 「ちょっとさ、先に帰ってて」 カバンを手に、食堂を出た_ 歩きながら、文字を打った_ 『そのスマホの持ち主は、嘘つきでした』 既読は付いたけど、なにも返ってこなかった_ 中庭のベンチに座って、また返事を打った_ 『寝る前に「好きだよ」って言ってたくせに、朝起きたらいなくなってました』 送信ボタンを押した_ 時計台を見上げて、また打った_ 『いつも歯ブラシセットを持ち歩いてて、ずっと置いとけばいいのに、毎回「今日も泊まっていい?」って、確認をする人でした』 『たぶん、いつ別れてもいいように、そうしていたんだと思います』 既読は付くけど、やっぱり返事はなかった_ 『それでも、記念日は毎月祝ってくれたし、お揃いのネックレスも誕生日にくれました』 『もしかしたら、人を信じるのが怖かったのかもしれません』 『だからもっと「好き」って言葉を、伝えるべきでした』 そこまで送ると、返事が来た_ 『ありがとうございます』 『もう十分です』 それでも俺は、止めなかった_ 『どうして、なにも言わずにいなくなったんですか?』 『もし、嫌いになったのなら、ちゃんと教えてほしかったです』 『できれば会って、謝ってほしいです』 そこまで送って俺は、画面を閉じた_ 待ち受けが光って、 『それなら、会ってあげてください』と、 住所が送られて来た_ 地図を開くと、 ここから14キロ先の病院だった_ 「は?」 俺は、顔を上げた_ 「どう言うこと……」 中庭を出て、タクシーを捕まえた_ 病院に向かってる途中、もう1度ラインを開いた_ 送って来た相手は、元カノなのか_ それとも、 違うだれかなのか_ 何度も、ラインを見返した_ 病院が見えて、入り口に男の人が立っていた_ タクシーを降りると、頭を下げられた_ 男の人は兄だと言って、俺の名前を知っていた_ 「案内します」 兄にしては、ぜんぜん似てなかった_ 「中に」 病室の扉が開いた_ 元カノは、ベッドの上で眠っていた_ 近づくと、男の人がとなりに立った_ 「妹はいま、眠ってます」 そう言って、元カノの頭を撫でた_ 「ひとつだけ」 俺は、元カノを見つめて聞いた_ 「ラインをしたのは、貴方ですか?」 「いいえ」 男の人は首を振った_ テーブルの上には、スマホがあった_ 「じゃあ、さっきまで起きてたんですね」 元カノのスマホには、チェキが挟まっていた_ 「はい、でも、すこしだけ違います」 男の人が、顔を上げた_ 「え?」 「打ったのは妹ですが、あなたが知ってる妹ではないです」 「はい?」 俺は、男の人を見つめた_ 「記憶がないんです」 「は……」 「妹は、2日前に手術を受けて、そこからなにも思い出せないんです」 「手術って」 「ちいさいときからの持病です」 「それって」 「はい、あなたには隠していたと思います」 カーテンが揺れた_ 「じゃあなんで、俺にラインを」 「それは、わかりません」 男の人が、元カノのほほに触れた_ 閉じたまつ毛が、光っていた_ 「思い出したいの?」 男の人は、元カノに呼びかけた_ 「いいです、別に」 俺は、カバンを握り締めた_ 「帰ります」 「でも」 「いいんです」 「じゃあ、どうして会いに?」 男の人と、目が合った_ 「ただ、謝ってほしかっただけです」 俺は、背中を向けた_ 「ほんとに、それだけですか?」 足もとで、カーテンの影が揺れた_ 「はい」 俺は扉を開けて、振り返った_ 「それに、思い出したところで、もういいことはないですから」 頭を下げて、廊下に出た_ 「また、いつでも来てください」 男の人は言った_ 俺は、なにも言わずに扉を閉めた_ 廊下を歩きながら、 スマホを出した_ 外に出て、 ベンチに座った_ ラインを開いて、 親指を浮かせた_ 病室で見た待ち受けは、 洗濯物を干す俺だった_ トーク画面の上には、 『忘れないように、ピン留めしとくね』 元カノが記念日に設定した、 『明日も好きだよ』 俺が送ったラインが残っていた_ スマホが震えて、 着信音が鳴った_ ゆっくりと顔を上げて、 俺は画面を耳に当てた_ 「うん……」 「わかった……」 「すぐに向かう……」 立ち上がって、 「大丈夫だよ、合鍵あるから」 鍵を失くした彼女のもとへと、 「すぐに向かうから、待ってて」 病院を背に、歩き出した_                                  

著作権楽曲
933 いいね 933投稿から43日20時間37分後
(1,052時間)

(2026.09.11 17:10時点で取得)
4 コメント 4投稿から43日20時間37分後
(1,052時間)

(2026.09.11 17:10時点で取得)
1 シェア 1投稿から43日20時間37分後
(1,052時間)

(2026.09.11 17:10時点で取得)
59 保存 59投稿から43日20時間37分後
(1,052時間)

(2026.09.11 17:10時点で取得)
0 DL 0投稿から43日20時間37分後
(1,052時間)

(2026.09.11 17:10時点で取得)
2026.09.11 17:10 時点 30日経過・確定 投稿から43日20時間37分後(1,052時間)
0:59
43,144 43,144回再生 投稿から44日21時間16分後(1,077時間)(2026.09.11 17:10時点で取得) 30日経過・確定

「いままでありがと」彼氏が突然、花火の途中で言った_ 「なに?」 私は、かかとを上げた_ 「ん?」 彼氏は笑って、私の髪飾りを撫でた_ 「なんか言ったよね?」 「え、聞こえてた?」 彼氏はりんご飴を揺らして、花火を見上げた_ 「今日も可愛いねって、言ったの」 彼氏は笑って、嘘をついた_ 今年になってから、 彼氏はとなりを歩かなくなった_ いつもファミレスでは、となりに座ってたのに、正面に座るようになった_ 電車でも、横には座らず、目の前に立つようになった_ 「ねえ」 私は、彼氏のそでを掴んだ_ 「嘘つかんで」 腕を引っ張った_ 「このあとさ、海行かない?」 「え?」 「海で、はだしになって話がしたい」 彼氏は、下駄を揺らした_ ふたりとも、足の指が赤かった_ 砂浜には、座ってるカップルが2組いた_ 「ねえ見て、俺の足あと可愛くない?」 彼氏は下駄を脱いで、砂を叩いていた_ 私もはだしになって、足あとを並べた_ 来月で2年、 記念日までは、もうすぐだった_ 「あぶないよ」 彼氏は、波のそばでしゃがみ込んでいた_ 「ねえ、どうしたの?」 私は、後ろから覗き込んだ_ 砂浜に、文字が書かれていた_ 『おれね』 彼氏の指が、文字をなぞった_ 『左目が』 それ以上はもう、 『見えてなく……』 「帰ろっ」 最後まで見ずに、私は腕を掴んだ_ 「電車、逃しちゃうよ」 手を握ると、彼氏は首を振った_ 「俺ね」 彼氏の声が響いた_ 「ずっと、見えてなくて」 「いいからほら、行くよ」 私は、彼氏の手を引っ張った_ 「こっちも、そのうちらしくて」 彼氏は、右目を押さえた_ 「なに言ってんの、行くよ」 顔を近づけると、彼氏は手を離した_ 「帰らないの?」 「ううん……」 彼氏は、首を振った_ 「今日は、こっちがいい……」 彼氏が、私の左手を掴んだ_ 付き合いたての頃、 私が『こっちの顔のほうが盛れる』って言ったから、 彼氏はいつも右を歩いてくれた_ 今年なってからは、 『たまには俺が左でもいい?』って、 聞いてくるようになった_ 最近は、 私の後ろを歩くようになった_ 彼氏は、右目しか見えてなかった_ それでも、私が振り返ると、 彼氏はかならず笑ってくれた_ 私がスマホを触ってても、 皿を洗ってるときも、 洗濯物を干してるときも、 彼氏はかならず、顔を覗き込んできた_ 『今日も可愛いね』って、 頭を撫でてくれた_ 砂浜の文字が、ぼやけていった_ 『こっちも、そのうちらしくて』 私は、彼氏の右ほほに触れた_ 親指で、まぶたを撫でた_ 「だいじょうぶ、どこにも行かせない」 私は、彼氏の目を見つめた_ 「来年はもう……」 「ううん、来年も」 「このままだと俺、なにも……」 「ううん、見れるよ」 「でも……」 彼氏は、目を閉じた_ 「だってほら」 私は、彼氏の頭を抱き寄せた_ 「音、聞こえるでしょ?」 胸のそばで、彼氏のほほが動いた_ 「うん……」 いまでもやっぱり、 彼氏の近くにいると、 「聞こえる?」 「うん……」 心臓があわててしまう_ 「こっち向いて」 私は、彼氏の顔を覗き込んだ_ 「ね?」 「うん、見えた……」 彼氏は、目を閉じて笑った_ 「あ」 手にしていたりんご飴が、彼氏の浴衣に付いた_ 「あ……」 「これ、荷物になるから早く食べて」 私は、りんご飴を近づけた_ 「ん」 彼氏の鼻に付いた_ 「あ」 彼氏のほほが、赤く染まった_ 「拭くから、目閉じて」 私は、彼氏の目を塞いだ_ 「いつもありがとね」 鼻先が触れた_ 「ん……」 彼氏のくちびるは、甘かった_ 「行くよ」 私は立ち上がった_ 「うん」 彼氏が、手を伸ばした_ 「繋がないよ?」 「え……」 「いま私、手汗やばいから」 私は片目を閉じて、走り出した_ 「待ってよ」 彼氏が追いかけてきた_ 「待たないよ」 「なんで」 「私のこと、いつも後ろから見てるじゃん」 私は振り返った_ 「後ろからジロジロ見やがって」 私が笑うと、 「ごめん」 彼氏も笑った_ 「後ろ姿、そんなに可愛い?」 肩を揺らすと、すずの音が鳴った_ 「うん、今日は特に」 彼氏が結んだリボンが、潮風に揺れた_ 帰りの電車は、 人が多くて、 かかとが下ろせないくらい、 近かった_ 彼氏の胸は、 ずっと熱かった_ 私は、窓の外を見つめた_ 真っ暗な空に、 彼氏の横顔が映った_ 目が合って、 私もゆっくり、 笑みを浮かべた_                                  

著作権楽曲
1,501 いいね 1,501投稿から44日21時間16分後
(1,077時間)

(2026.09.11 17:10時点で取得)
6 コメント 6投稿から44日21時間16分後
(1,077時間)

(2026.09.11 17:10時点で取得)
17 シェア 17投稿から44日21時間16分後
(1,077時間)

(2026.09.11 17:10時点で取得)
103 保存 103投稿から44日21時間16分後
(1,077時間)

(2026.09.11 17:10時点で取得)
0 DL 0投稿から44日21時間16分後
(1,077時間)

(2026.09.11 17:10時点で取得)
2026.09.11 17:10 時点 30日経過・確定 投稿から44日21時間16分後(1,077時間)
0:49
15,931 15,931回再生 投稿から31日19時間46分後(763時間)(2026.08.24 16:20時点で取得) 30日経過・確定

修学旅行2日目、バスの中で手紙が回ってきた_後ろの子にだったけど、私は嘘をついた_ 「これ、いちばん後ろに回してだって」 後ろの子は頷いて、椅子の隙間から手紙を受け取った_ 手紙の裏には、2つ前の男子の名前が書いてあった_ 『19時 シンデレラ城で待ってる』 ふたりは確か、2週間前に別れたはずだった_ 「なに、だれから?」 後ろから、話し声が聞こえた_ 「なんか、前から回って来た」 彼女のとなりには、ポンパドールをした女子が座っていた_ ふたりとも、同じ髪留めで前髪を上げていた_ 6歳から一緒だった彼女が、別の人と笑ってると、ちょっとだけ腹が立つ_ 中学のときはよく、私を家に泊めてくれた_ 高校に上がってからは、恋人ができたことも、別れたことも、ほかの人から聞くようになった_ そんな彼女には、できるだけ落ち込んでいてほしかった_ ちょっとだけでいいから、一緒に泣いた朝を、思い出してほしかった_ 窓の外に、観覧車が見えた_ 「わあっ」 みんなの声が、バスに響いた_ ひとりだけ、後ろを振り返ってる男子がいた_ 眉間にシワを寄せて、手紙の行方を気にしていた_ スマホは先生が回収したから、彼はこのまま、ひとりでシンデレラ城を見ることになる_ 彼と目が合って、私はすぐに逸らした_   「あのさ」 バスを降りてすぐ、彼に話しかけられた_ 「手紙、渡してくれた?」 「ああ、手紙ね」 私は、彼の顔を見上げた_ 「ごめんけど私、後ろの人に回してって、彼女に嘘ついた」 「え……」 「あんたさあ、直接言えないわけ?」 「うん……」 彼は、おでこを押さえた_ 「告白もさ、ラインだったらしいじゃん?」 「うん……」 「顔を見てさ、ちゃんと言えよ」 ほんと、こいつの顔を見てると、叫びたくなる_ 男のくせに、ウジウジしやがって_ 彼女と付き合える資格があるくせに、なんで? 私はいくら手を繋いでも、 一緒の布団で寝ても、 彼女とは友達のままなのに、 「ねえ、なんで?」 私は、彼を睨みつけた_ バスの中に、彼女の影が見えた_ 窓ガラスに頭を当てて、まだ座っていた_ 「言えよ……」 私は、前髪をかき上げた_ 「好きなら好きって、直接言えよ」 声が震えた_ 「盗られてもいいわけ?」 私は、彼を見上げた_ 「いや……」 「じゃあ、早く」 私は、彼の肩を叩いた_ 彼が、顔を上げた_ バスを見上げて、くちびるを噛み締めた_ 「言ってくる」 横顔が、眩しかった_ 「行ってこい」 私は、彼の耳もとで手を叩いた_ パチンと、 私の想いも弾けた_ 『告白されるならさ、下駄箱に手紙とかよくない?』 中学のとき、よく彼女と布団の中で恋バナをした_ 『んん、私は直接がいいな』 『ええ、なんで?』 私が寝返りを打つと、 彼女は天井を見つめた_ 『残るのが嫌』 『残る?』 『うん、もし別れたらさ、捨てられないし』 あのとき私は、 この子は、嫌いになり方を知らない人なんだなって、思った_ バスが揺れて、 彼の影が、窓ガラスの中を流れた_ 彼女が顔を上げて、 彼の口が動いた_ 私は、 彼女が笑う前に、 背中を向けた_ 観覧車を見上げて、 「ほら、行くよ」 新しい友達のもとに、 走り出した_                                  

著作権楽曲
493 いいね 493投稿から31日19時間46分後
(763時間)

(2026.08.24 16:20時点で取得)
0 コメント 0投稿から31日19時間46分後
(763時間)

(2026.08.24 16:20時点で取得)
4 シェア 4投稿から31日19時間46分後
(763時間)

(2026.08.24 16:20時点で取得)
20 保存 20投稿から31日19時間46分後
(763時間)

(2026.08.24 16:20時点で取得)
0 DL 0投稿から31日19時間46分後
(763時間)

(2026.08.24 16:20時点で取得)
2026.08.24 16:20 時点 30日経過・確定 投稿から31日19時間46分後(763時間)