金曜日の夜22時過ぎ。 坂口雅人は会社の飲み会を終えて、ほどよく酔った足取りで夜道を歩いていた。 駅に向かう途中、腹部に緊急信号が走った。 坂口雅人(心の声):「(やばい、トイレ)」 幸い、すぐそばに公衆トイレがあった。坂口は迷わず飛び込んだ。 個室に入りほっと一息つく。 何気なく正面の壁を見ると落書きがいくつか書いてあった。よくあるやつだ。ハートのマークとか、誰かへの悪口とか。 そんな中に、一つだけ毛色の違うものがあった。 「暇な人、電話してみて090-XXXX-XXXX」 坂口雅人(心の声):「(……なんだこれ)」 坂口は目を細めてその番号を見つめた。 坂口雅人(心の声):「(いたずら書きだろ。絶対。つながるわけない)」 でもなぜか頭から離れない。 坂口雅人(心の声):「(酔ってるせいかな。気になる。めちゃくちゃ気になる)」 坂口はスマホを取り出し番号を打ち込んだ。 坂口雅人(心の声):「(まあ、つながらないだろうけど……)」 発信ボタンを押した。 Scene 2|まさかの応答 コール音が一回、二回、三回 電話がつながった。 女性の声:「はい?」 坂口雅人(心の声):「(え、出た!?)」 背後からガヤガヤとした賑やかな声が聞こえる。居酒屋のような雰囲気だ。 坂口雅人:「あ……えっと……」 天野ひかり:「もしもし?」 坂口雅人(心の声):「(若い女性の声だ。どうしよう、なんて言えばいいんだ)」 坂口雅人:「あの……トイレに番号が書いてあって……」 天野ひかり:「あ、電話してくれたんですね」 坂口雅人:「はい……あのこれ、いたずら書きじゃなかったんですね」 天野ひかり:「違いますよ(笑)。私が書いたんです」 坂口雅人(心の声):「(本人が書いた!?なんで!?)」 Scene 3|なぜ書いたのか 天野ひかり:「ちょっと待ってもらえますか」 ガヤガヤした音が少し遠ざかる。席を外したようだ。 天野ひかり:「お待たせしました。友達と飲んでて。ちょっとうるさかったですよね」 坂口雅人:「いえ……あの、なんであんなところに番号を?」 天野ひかり:「なんとなくですね。酔った勢いで書いちゃいました(笑)。電話かかってきたの、初めてです」 坂口雅人:「初めて!?」 天野ひかり:「そうです。書いてから3ヶ月くらい経つんですけど」 坂口雅人(心の声):「(3ヶ月……俺が初めて電話した人間か)」 天野ひかり:「今どこにいるんですか?」 坂口雅人:「公衆トイレの中です」 Scene 4|会ってみることに 坂口は公衆トイレを出て近くのベンチに腰かけながら電話を続けた。 天野ひかり:「ねえ、せっかくだし会ってみませんか?」 坂口雅人:「え?」 天野ひかり:「どうせ私もあと少しで解散だし。そこまで20分ぐらいで着くところにいるので」 坂口雅人:「……わかりました」 Scene 5|待ち合わせ それからしばらく経ち。 公衆トイレの前で待っていると足音が近づいてきた。 女性が一人歩いてくるのが見えた。 坂口雅人(心の声):「(あの人かな?)」 顔は暗くてまだよくわからない。 女性が近づいてきた。 坂口雅人:「あのー先ほど電話した者ですかね?」 天野ひかり:「……そうです」 ひかりは坂口の顔を見た瞬間、一瞬だけ表情が止まった。 天野ひかり(心の声):「(うわっ!おっさんかよ…)」 しかし顔には出さなかった。 天野ひかり:「はじめまして。天野です」 坂口雅人:「坂口です。あの、わざわざすみません」 天野ひかり:「いえ、私が誘ったんで」 Scene 6|香りとの遭遇 2人はとりあえずベンチに並んで座った。 夜風が少しだけ吹いた。 その瞬間ひかりの鼻に何かが届いた。 天野ひかり(心の声):「(……あれ?)」 天野ひかり(心の声):「(この匂い……どこから?)」 ひかりはさりげなく隣を見た。 天野ひかり(心の声):「(この人から匂いがする……)」 天野ひかりは匂いに正体が気になってしょうがない。 Scene 7|匂いの正体 ひかりがベンチの上でわずかに身を乗り出し坂口の首元のあたりへ顔を近づけた。 坂口雅人:「なんですか!?」 天野ひかり:「何かつけてますか?匂いがすごく良くて」 坂口雅人:「あ、練り香水です。ステラホワイトっていうやつ」 天野ひかり:「興奮しちゃう匂いですね」 ひかりの息遣いが段々と荒くなっていく 天野ひかり:「ハァハァ」 坂口の耳元で興奮するひかりに我慢できなくなり、つい抱きしめてしまう坂口 天野ひかり:「あッんんッ♥」 ひかりの体がビクンッと反応した 天野ひかり:「ねぇちょっと来て」 そういうと立ち上がり公衆トイレへと向かった。 男子トイレの個室に入ると便器に座らされる坂口 ひかりは座っている坂口の太ももの上に乗ると坂口にキスをした。 何度も何度も...情熱的にお互いの唇と舌が絡み合う。 天野ひかり:「今日出会えて良かった。電話してくれてありがとう」 坂口雅人:「電話かけるの怖かったけど、勇気出して電話してよかったです。」 そのままトイレの中で合体する2人。 その後、公衆トイレから出てきた2人は、お互い目が合うと、なんとなく視線を逸らした。 天野ひかり:「またしたくなったら、いつでも電話してください」 坂口雅人:「……はい」 ひかりはくすっと笑ってだんだんと遠ざかっていく。 坂口は動けなかった。ひかりの背中が角を曲がって見えなくなるまで、ただじっと見送った。 坂口雅人:「まさか電話したら、こんなことが起こるなんてな……」 スマホを取り出しAmazonのアプリを開く。検索バーに打ち込む。 「ステラホワイト」 坂口雅人:「もう1個頼んでおくか」 ポチッ。 坂口雅人(心の声):「(トイレの落書きに感謝する日が来るとは思わなかった)」 静かな夜道を坂口は一人歩き始めた。 #漫画 #マンガ #モテおじ #モテるおじさん #pr
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